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北米マツダの社長が20年ぶりに日本人に。「スバルをベンチマークにリピート率を引き上げる」

2017/07/25

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東洋経済にて、「マツダ、最重要の米国で挑む「ブランド改革」という記事が掲載に。
これによると、まずマツダの北米法人の代表に日本人が就くのは20年ぶり、とのこと。
現在のところマツダについて北米のシェアは20%だそうですが、なんと利益ベースでは「半分以上」を稼ぐとのことで、市場としての重要性は非常に大きいようですね。
※CX-9など高額モデルが売れているため

今回、東洋経済のインタビューにマツダ北米統括会社社長、毛籠勝弘専務執行役員が応えており、その内容が興味を惹かれるものだったのでそれについて考えてみたいと思います。

まず、現在のマツダ(北米)で問題となっているのは「再購入率」。
要は「続けてマツダを買う」という人が少ない、ということですね。
2011年は26%、2016年では39%に上昇している(業界平均は55%)としながらも、「販売網が弱い」と分析しています。

「販売網と商品は車の両輪」としており、せっかくいい商品があっても販売網が弱いと無意味としていて、ここを強化して再購入率を向上させれば利益が劇的に改善する、ということですね。

なお、以前の北米でにおけるアンケートではテスラにおける「(希望)再購入率」はなんと91%。※ここでは実際に購入したかどうかではなく、単に「また買いたい」と考えているだけの数字
この調査だとマツダは7位の74%でさほど悪い数字ではなく(後に出てくるベンチマークのスバルは76%)むしろ良い方。
ただ、「買いたい」と考えても「実際に買ってない」のが問題なのでしょうね。

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なお実際に「また買ったかどうか」という調査も別にあって、これだとスバルは自動車メーカーでは最も高い67.7%。
そう考えるとマツダの39%、というのは経営者にとって頭の痛い数字かもしれません。

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話を記事に戻すと、販売店強化について取り組んだ課題の一つが「評価」。
営業担当者には販売台数に応じた報奨金を出すのが一般的ですが、マツダでは現在台数だけによる奨励金支給を取りやめ、「商品価値やマツダブランド」をどれだけ訴求できているか、ということを顧客へのアンケート実施によって図り、加えて店舗の内外装やホームページまでも評価対象にしている、とのこと。
これら「価値の訴求」「店舗やHP」が奨励金に占める要素の半分以上を持つに至っており、これによって販売店や営業さんはより「顧客に満足してもらう」ように行動して欲しい、という狙いのようです。

これについてマツダは業界屈指のリピート率を持つスバルを研究したそうですが、スバルは1店舗あたりマツダの「倍」を販売するそうで、それだけ数が出れば販売後のメンテナンスでの収入も増え、より運営が楽になることに。

マツダではこの考え方に従い店舗の統廃合を進めているそうですが、現在は徐々にその効果が出てきているようではありますね。

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なお、なぜスバルがそんなに「1店舗あたりの販売」や「乗り継ぎ」が多いのかということを考えますが、アクティブでワイルドなデザイン、価格に比較してパワフルなこと、そして4WDという要素が大きいんじゃないかと思います。
スバルははじめて乗用車に4WDを持ち込んだメーカーであり、同じく4WDで有名なアウディよりも多くの4WDを販売しているメーカーでもあります。
加えてラリーでの活躍もそのイメージを押し上げているかもしれません。

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さらにその歴史を振り返ると「意外と革新的なこと」もスバルは行っていて、そういった積み重ねが人々にスバルに対する期待を抱かせるんじゃないか、と考えているのですね。

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なお、マツダはスバルに比べると「ロータリー」以外にはエポックメイキングなものがなく、スバルが「スバルじゃないとダメ」な理由があるのに対し、マツダには「マツダじゃないとダメ」という理由が希薄なんじゃないかとも思います。

マツダは日本においてバブル期に「多チャンネル展開」を行い、その後も「Zoom-Zoom」にてブランディングを強化したり、と日本の自動車メーカーの中ではかなり「革新的」な行動を取っています。
ただし、それらは「車の性能を向上させる」取り組みではなくブランディングやマーケティングに関するもので、一方スバルは実直に「車そのものの性能を向上させることに力を入れてきた」とも考えられますね。

つまりマツダは「ブランディング、マーケティング」というソフトウェア的な考え方を軸としているのに対し、スバルは「クルマ」というハードをコアバリューとしている、と言い換えても良いかもしれません。
そして、そこがマツダとスバルとの差である可能性が大きく、しかし現在マツダはやはり「マーケティング」「ブランディング」に寄っていて、マツダ固有の技術(トヨタだとハイブリッド、スバルだとシンメトリー4WDのような)についてはやや弱く、そこが「もう一度買う」というところに結びつかないのかも、と考えています。

たとえばシンメトリー4WDだと身をもってその走行性能の高さを実感する場面もあるでしょうし、ハイブリッドだと燃費の良さを実感できるかもしれません。
ですが、マツダ車に乗って「スカイアクティブ凄え。買ってよかった」というのは体験して感じにくいんじゃないか、ということです。

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