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納車一ヶ月目、アウディTT雑感。ファミリー内での地位、ドライブフィール、快適性など

さて、アウディTTに一ヶ月ほど乗って見た雑感。
実際に自分のものとして運転し、様々なところへ行ってみると、今までには気づかなかったようなことを感じたりします。
まずは大まかなところですが、運転したフィーリングや車の性格については「他のアウディっぽくない」、というところ。

現在、アウディはTTを「リアルスポーツ」、R8を「スーパースポーツ」と表現していますが、これはいささかぼくにとって違和感の「あった」表現で、というのも経験上「アウディの作る車の乗り味は大体一緒」と考えていたため。

ですが現在アウディは多くのラインアップを持ち、従来のセダンやクーペ、ハッチバック、ワゴン(アバント)といったところに加えてSUVやR8のようなスーパーカーを持つに至っており、そしてそれぞれ新しいラインアップが第二世代へと進化するにあたり、「各々の」役割が明確になってきたように思います。

言うなれば「アウディブランドの一員として」というところから「Q」というサブブランド、「R」というサブブランド、そして「TT」というサブブランドへ成長、といった感じですね。

その過程においては「Q」として求められる要件、例えば快適性であったり走破性能であったりということになりそうですが、そういった方面をさらに特化して他ラインアップと差別化をはかり、加えてQ2/Q3/Q5/Q7/Q8とらいイナップが拡大する中でさらに「Qシリーズの中でも」性格を分けてゆく必要がある、ということになります。

そうしないと自社内で製品同士が食いあったり、他社のシェアを獲得できなかったりするため、そこで各車のキャラクターは明確にしなくてはならないということになりますが、これは意外と難しい作業。
例えばトヨタの車に乗ると「小さい車から大きな車までなんとなく似た乗り味」になっていますが、いろいろなものを共通化したりするとこういった現象に(もちろん他にも要因はある)。

つまりメーカーにとっての「効率化」と「キャラクターの明確化」はコスト的に相反する関係にあり、また技術的にも意外と難しい、ということになります(どこをどうすると、どうドライバーに与える印象がどう変化するのか、を知っていないとできない)。

例えばポルシェはこれが非常にうまくできているメーカーで、「911」だと今では22車種ものラインアップを持ちますが、近縁種の「911カレラ」と「911カレラS」でも全く異なるドライブフィールを持っています。
使用しているパーツはほぼ同じであるはずですが、ポルシェは「どこをどうすれば意図した結果が得られるのか」を熟知していて、そこを変更/調整することで思ったような(ターゲットにマッチした)性格を演出している、と考えて良さそうですね。

現段階でアウディはこれを行なっている「過渡期」にはなると思われるものの、新シリーズ投入当初はコストの関係もあり、また市場の反応もわからないので、「ある程度方向性を調整できるよう」、そこまで明確にキャラクター設定はできていなかった(していなかった)のかもしれません。

前置きが長くなりましたが、TTは現在「3世代め」となり、TTの方向性や、アウディ内でのラインアップがずいぶん明確になってきた、と言えます。
そこで現行TTを登場させる際、アウディは「より明確なキャラクター設定」をTTに対して行なってきたのかもしれません。

そう考える理由として、現行TTは二世代目のTT(8J)とは大きく乗り味、フィーリングが異なること。
実際にぼくは8J TTを所有していましたが、その頃に他のアウディを試乗したり代車として借りて乗って感じたのは「TTは他アウディのボデイ形状違いである」という認識。

アウディの乗り心地の良さ、快適さをそのままにデザインオリエンテッドなクーペにしたのが「TT」だと考えていたのですが、現行の8S TTではそれが大きく変わり、「見た目は(8J TTよりも)他のアウディファミリーに近づいたのに、乗り味は他のアウディとは大きく異なるものになった」という認識に変化しています。

現実的には、8J TTはアルミの(多分)専用プラットフォームを持っており、現行TTは他のアウディ(全部ではない)はもちろん、フォルクスワーゲン(やはり全部ではない)とも共通するMQBプラットフォームへと変更され、むしろ他車との物理的な共通性は上がっているわけですね。

しかしながら現行TTは冒頭で述べたような「リアルスポーツ」と言ってもいいんじゃないかというレベルの動力性能、シャシー性能を持っていて、これは明らかに他のアウディとは異なる傾向。

そんなわけで、ざっとした8S TTの印象として、「8J TTはデザイン的・構造的には他アウディと異なっていたのに、乗り味は他アウディと近かった」のに対し、「8S TTはデザイン的・構造的に他アウディと近くなったのに、乗り味は他アウディと違うものになった」というものを持っています。

後は細かいところですが、現状で特筆すべき点は下記の通り。

●燃費
けっこういい。8J TTに比べるとパワーアップしており、特にぼくの場合はFF→4WDへと変わっているものの、10%程度は向上していそう。

●クワトロシステム
アウディ得意の4WDシステム「クワトロ」ですが、TTの場合その正体は「ハルデックス7」。
高速カーブや加速しながら曲がる際の安定性は特筆モノ。

●乗り味
クラッチの繋がり方、ステアリングに対する応答性が他アウディに比べてかなりダイレクトでソリッド。
ミニの「ゴーカートフィーリング」に近いかもしれない。

●快適性
スポーツ性に加えて快適性も大きく向上。
「ヒートインシュレーションガラス(つまり断熱ガラス?)をフロントとフロントサイドに使用することで夏でもあまり車内が暑くならず、日差しも気にならない。
加えて「デラックスエアコンディショナー」は秀逸。
見た目だけのデラックスかと考えていたが、どうも吹き出し口のフィンに角度がついており、風が「トルネード状」に出るっぽい。
そのため車内が満遍なく冷え、「特定のところだけ」冷たくならない(さすがデラックス)。

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