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EV化によって失われる税収は2兆円、職を失うのは32万人→これこそ日本がEV推進をためらう理由?

EV化は日本にとって国家の赤字を増やす要因となりうる

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sankeibizによると、EVに新たな課税がなされる可能性が浮上、とのこと。
日本の場合は現在ガソリン1リットルあたり24.3円(現在は暫定税率で48.6円)の揮発油税を(ガソリン車ドライバーが)負担していることになりますが、このままEVの普及が進めばこの揮発油税による税収が減少し、財政赤字がいっそう増す、という内容です。
加えて記事では2050年には先進国において、ガソリンに関する税収が80%も減少する可能性も指摘しています。

EVは受益者負担の原則に反する?

同じく時期では木村康石油連盟会長の言として「EVもガソリン車と同じ道を走っているので、相応の負担が適当」と発言。
EV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)は揮発油税に当たる税金を支払っておらず、しかし同じ道路を走っているのは「不公平だ」ということですね。
なお揮発油税は「自動車の普及に伴う道路整備」という特定名目のために徴収されており、つまりは「自動車を運行するのであれば、それが走る道路の整備費用も負担すべき」という考え方になりそう。
ただし当時(この税制が制定された1954年)は電気自動車という概念すら無かったと思われ、自動車=ガソリン含む揮発油を必ず消費する、という考え方であったのだと想像できます。

要は道路を利用して利益を享受するものが財源を支払う「受益者負担」の思想といえますが、その後1968年に自動車取得税、1971年に自動車重量税を導入し、道路整備のための財源に活用(これが多重課税だと言われる理由)。

とにかく「同じ道路を走るのに、ガソリン車に乗る人は税金を払い、EVに乗る人がそれを払わないのは不公平」というのが石油連盟の言い分といって良さそうで、なんとなく言っていることは理解できます。

ただ、EVに課税するとまた「自動車に対する二重課税」になってしまうので、これはやや正しくない気も。
しかしながらほかに引っ張ってくる財源がないのも実情であり、「ほかに手がない」のかもしれませんね。

自動車産業が基幹となる日本は他の国と事情が異なる

とりあえず今の現状では「EVが普及すればするほど税収が減る」ことになり、現在日本における揮発油税の収入は2兆4600億円とのことなので、EVが増えればどんどんこれが減り、極端な話「路上を走る車が全部EVになれば」2兆4600億円の税収がなくなるということですね。

他の国に比べると日本はEVに対してあまり積極的ではないという印象がありましたが、この数字を見るに、国としては「EV比率を実は増やしたくない」ということもあるかもしれない、と勘ぐってみたくなるところ。※ただし何も行わないと(環境面において)他国から避難されるので、一応ポーズとしてEV購入に関して助成金を出している?
なお日本全体の税収は55兆4686億円なので、揮発油税による「2兆4600億円」はけして小さな数字ではない、ということもわかりますね。

くわえてEVはガソリン車に比較すると40%ほどもパーツが少なく、ということはその「パーツが少なくなったぶんの」工場は受注がなくなり、EVを組み立てるにも「40%の人が不要になり」、販売後の整備に関してもそれは同じ。
もちろんEV向けの新たなパーツや工作機械、生産設備を用意するという「新たな需要」が発生はしますが、なんらかのインパクトは不可避。

加えて日本の自動車産業は54兆円あまりと言われ、製造に関わる人びとの就労人口は80万人(日本の製造業における11%を占める)。
当然ながらこの自動車産業全体の規模や就労人口についてもEV化によって「減少」は避けられないことになるので、自動車産業を基幹産業とする国「日本」にとってEV化は必ずしも良いわけではない、と言えそうです(これが自動車生産を持たない、また自動車製造業が占める比率の低い国であればまた事情は変る)。

そういった意味においても、実のところ日本は「EV化を進めたくない」のかもしれません。

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