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【試乗:VW アルテオン〜前編】オラびっくりしたぞ。上位ブランド、アウディを食いかねない高コスパセダン

2018/01/14

| 正直、びっくりした |

フォルクスワーゲン・アルテオンに試乗。
アルテオンはフォルクスワーゲンの放つ「5ドアクーペ」で、ゴルフと同じMQBプラットフォームに7速DSG、2リッターターボエンジン(280馬力)を載せた車。
まずはそのスペックを見てみましょう。

アルテオンのスペックはこうなっている


フォルクスワーゲン・アルテオン(Volkswagen ARTEON)

ボディサイズ:全長4865/全幅1875/全高1435ミリ
エンジン:2リッター直4ターボ
出力:280馬力
駆動方式:4WD(4MOTION)
トランスミッション:7速DCT
車体重量:1700kg
価格:549/599万円

日本だとグレードは「R-Line 4MOTION」「R-Line 4MOTION Advance」の2つですが、エンジンやトランスミッション、駆動方式は「一本化」され、相違としては「R-Line 4MOTION Advance」に文字通り駐車支援システム“Park Assist”、アラウンドビューカメラ“Area View”、ヘッドアップディスプレイ、デジタルメータークラスター“Active Info Display”、ダイナミックコーナリングライト、メモリー/マッサージ機能付きパワーシートといった先進(アドバンス)装備が与えられる、といったもの。※タイヤサイズも”Advance”だと20インチに

ぼくはかねてよりフォルクスワーゲンは他自動車メーカーにとっても「脅威」だと考えていて、それは「販売台数世界一」によるスケールメリットが大きく、同じグループにアウディ、ベントレー、ポルシェ、はてはランボルギーニやブガッティを有しており、それらから技術的なフィードバックを得られること(ほかブランドにも”逆”の形で還元される)、そしてほかブランドの利益が大きいためにVWブランドでは「薄利多売」ができることが理由。
要は他の自動車メーカーから見ると「不当に安い」とも言える現象が生じるわけですね。

なお、この「薄利多売」「グループ内ほかブランドの利益の大きさ」については数字として出ているものがあり(ちょっと前のものですが)、VWが一台売って得られる利益は8万円、アウディは51万円、ポルシェは230万円。

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アルテオンはエンジン、4WDシステム、プラットフォームをアウディのエントリークラスと共有している

話をアルテオンに戻すと、エンジン(2リッター/1984cc)についてはおそらくアウディ「TTS(776万円、286馬力)」に積まれるものと同じで、極言するならば、この4気筒エンジンはポルシェ・マカン(699万円、252馬力)とも同一であり、いかにアルテオンが上位ブランドからの「恩恵」を受けていることがわかりますね。

アルテオンに採用される4WDシステムは「ハルデックス5」となり、これはアウディの横置きエンジンモデル(MQBプラットフォーム採用車種のA3やTTなど)に使用されるもので、前後100:0~50:50とフレキシブルな変化を見せます。※同じ「クワトロ」でもエンジン横置き(MQB)とエンジン縦置き(MLB)ではその方式が大きく異る

「クーペスタイルのサルーン」ということになると、同じグループ内では「アウディA5」がそれに該当しますが、アウディA5は686万円、エンジンは2リッター直4で252馬力、タイヤサイズは18インチ。
トランスミッションはアルテオンと同じ7速で、駆動方式も同じ4WDとなっています。
ボディサイズは4690/1845/1365となっており、数字だけ見ると「アルテオンのほうが大きく立派」。

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同じグループ内のアウディA5より大きく、パワフルで、タイヤサイズも大きく、かつ140万円も安い、というのがアルテオンということになりますね。

ただ、両者における大きな違いは「プラットフォーム」。
アルテオンは横置きエンジン用のMQB、A5は縦置き用のMLB。
MQB系はアウディだとA3やTTなど比較的コンパクトな車に採用され、VWだとゴルフへの採用、セアトやシュコダなどへも使用されます。
MLB系はラグジュアリークラスに採用されるもので、アウディだとA6、A6、A7やA8、Q5、Q7、ベントレー・ベンテイガ、ポルシェだとカイエン、ランボルギーニだとウルスに採用されるもの。

加えて4WDシステムもアルテオンでは「ハルデックス」、A5では「セルフロッキング・センターディファレンシャル」によるトルク配分を行う”クワトロ”システムを採用。



要はアウディA5は「見えないところにお金がかかっている」ということにもなりますね(これはS5や、RS5など上位モデルの投入を想定しているためで、そのためにポテンシャルの高いプラットフォームが必要だからだと思われる)。

アルテオンの外観を見てみよう

さて、フォルクスワーゲン・アルテオンの外観チェック。
正直、「え?これがフォルクスワーゲン?」という驚きを禁じ得ないほどの格好よさ。
このフロントフェンダーの折り返しは他の車では見られないほどの「角度」で、ここまではっきりとプレスラインを押し出している車もそうそうない、と思います。

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フロントグリルとヘッドライトは「水平基調」で、水平線が幾十にも重ねられたタイプ。
最近の一つの流行でもあり、トヨタ・カムリも採用するデザイン(スター・ウォーズに出てくるカイロ・レンのマスクのような)。

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バンパー下半分はフォルクスワーゲン・アウディグループお馴染みの「ハの字」で、これは同じグループに属するポルシェやランボルギーニと同じ部分。

テールランプは「ダーク」仕上げ。
ウインカーは「シーケンシャル」で、フォルクスワーゲン・アウディグループで言う「ダイナミック・ターンインジケーター」を採用しています。
レンズ表面には凹凸が設けられ、内部構造もヘッドライト同様にかなり「お金のかかった」もの。

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パネルの構成はかなり複雑。
前後フェンダーは大きく張り出しているように見えますが、これは「デザインの妙」とも言えるもので、ボディサイドのアンダー部分を絞り込むことで「相対的に」フェンダーを膨らんでいるように見せるもの。

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上部だとプレスラインを膨らませることによってリヤフェンダーを張り出しているように見せています。
なおプレスラインの角度はかなり強く、最近のアウディにも共通する部分。
機能だけではなく、デザインやその形状においてもグループとしてのメリットが感じられるところですね。

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リアクォーターウインドウも「クーペ」風。
アウディTTはじめ、アウディのクーペモデルに採用されている形状を持たせることで、全体の形状を「クーペっぽく」見せることに成功しているようです。

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「アドバンス」グレードのホイールは20インチ、しかもダークグレー(マット)仕上げ。
結構ツライチになっていて、ホイールハウスとのクリアランスもかなり「狭く」、純正の状態でもチューニングカーっぽく見えます。

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続きは「後編」へ。
他の画像はFacebookのアルバム上に公開しています。

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