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ベンツの買収に動いた中国吉利汽車。その第一号車は「メルセデス・ベンツEクラス」のまんまコピーだった・・・。

2018/02/16

| メルセデス・ベンツは積年の夢 |

現在、大胆にもメルセデス・ベンツ(ダイムラー)の株式取得を進め、メルセデスをコントロールしようとしている中国の吉利汽車(Geely)。
今回中国のテレビ番組で過去に組まれた特集が動画としてアップされており、その歴史が紹介されています。
なお、メルセデス・ベンツは吉利汽車から提携を打診された際「断った」としており、そのため吉利は株式市場を通じて敵対的行動に出たわけですが、ダイムラーのヒゲ会長、ディーター・ツェッツェ氏は「ここ一年は吉利と話をしたこともない」と相手にもしていない様子。

吉利の第一号はメルセデス・ベンツEクラスのコピー

なお、この動画を見るとメルセデス・ベンツが提携を断ったのはまさに「正解」。
動画内で紹介される吉利汽車の設立者、李書福氏の夢は「中国のメルセデス・ベンツ」を自分の会社で作ること。
そして驚くべきは、その吉利汽車の「第一号車」がメルセデス・ベンツの完全コピーだということで、動画をを見ると「まさにメルセデス・ベンツEクラスそのもの」。

「中国のベンツを作りたい」というのは、「メルセデス・ベンツのような素晴らしい車を中国で作れるようになりたい」ということではなく、「まんまベンツを作るアル」という意味であったということですね。

なお、この車は1996年に作られており(20年ちょっとでそのメルセデス・ベンツを買収しようかというところまで来ているのは驚異的)、ナンバープレートは「浙 J 0011 试」。
これは「浙江省登録で、テスト用の車」であることを意味します。

番組自体は2009年のもので、李書福氏は1990年代前半に、中国にはキャデラックやメルセデス・ベンツのような高級車がないことに不満を覚えていたと語っており、自身で「中華ベンツ」を作ろうと決意した模様。
この車は「吉利一号」と命名されていますが、この時点で吉利汽車は車を生産しておらず、ほかメーカーもまだ本格的に車を生産していない状態。

第一号車は手作り

よって生産を自前で行うことも、生産を委託することも出来ない状態ですが、当時(中国メーカーの)第一汽車(FAW=First Automobile Works Group)はすでにアウディとの提携によって「アウディ100/200」を生産していて、李書福氏はこのアウディ100を「中華ベンツ」のベース車として選択。

そういった経緯もあって、ここに世にも奇妙な「アウディベースのメルセデス・ベンツ(中華製)」が誕生したわけですが、まず彼はそのアウディ100を購入して自身の工場へ運び込んでから分解し、ボディはグラスファイバーやスチールで自作。
インテリアは第一汽車の所有する高級車ブランド「紅旗(中国の高級官僚が乗ったり、パレード用に使用される)」の車から流用した、とのこと。

李書福氏は当時を振り返って「一日に2時間しか寝ずに働いた」としていますが、これが「コピー」でなければ感動秘話だったのかもしれません。

なお、成り行きを見ると「メルセデス・ベンツ」は李書福氏にとって積年の夢でもあり、買収に対して野心を燃やすのも納得できるような気はします。
ただ、メルセデス・ベンツとしては「その歴史がベンツのコピーから始まった」会社に乗っ取られることだけは避けたいところですね。

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