■駄文(日々考えること)

人生の損失、あるいはすれ違いと可能性について考える

2018/05/08

| 人と人はつねにすれ違い続ける |

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世の中には、およそ半々の男女がいるわけです。
プラトンではないですが、男は女を求める、女は男を求める(性的な意味合いではなくて)、これは世の常でありますね。
特に生き馬の目を抜くような大都会、東京では異様な数の人と欲望がが溢れかえっています。

人は潜在的に理解してくれる人を求めている

ここでひとつの情景を思い浮かべてみましょう。

大都会の片隅、ぽっかりと開いた空間にベンチが背中合わせに二つ、置いてあります。

そこへフラリとやってくる一人の男。
年は20代後半。企業戦士としての自分に価値を見出せず、心の平安を求めているとでもしましょう。
ベンチに腰掛け、人生の意味を考えます。
家と会社を往復する日々。
忙しい日常の中では出会いもなく、夜半に仕事を終えて、真っ暗な、誰も待ってくれる人がいない部屋へ帰る。
彼女は「あなたと一緒に居ても、希望が得られないの」そう言って出て行った。
オレはこのままでいいのだろうか。
10年後のオレはどうなっているだろう。
ふと空を見上げる。
木々の間から覗く青い空と白い雲。
ああ、あの雲みたいに自由にどこへでも行けたらなあ。もう、ひとりで居るのにも疲れた。
ふと「どこかにいい出会いでもないかな」、そう考えるのです。

視線を彼の反対へ向けると、ひとりの女性がやってきます。
もう少しで20代後半に差し掛かるかもしれない、微妙な年齢です。
長崎から両親の反対を押し切って東京へ出てきたのが3年前。
手に入れようとしたものは何一つ手に入らなかった。
飼っているネザーランドドワーフ(ウサギです)の「田村君」だけが彼女の心に安らぎを与えてくれる存在です。
自分の無力を思い知らされたこの3年間。
周りは自分を利用しようとする人間ばかり、本当に信じることができる人間なんて、自分のまわりには一人もいない。
自分には他人を利用するだけの野心も度胸もなく、周囲に流され、会社では言われたことだけをこなす日々。
1年先の自分すら想像できない。
夜中にふと寂しさをこらえることが出来ず、気がつけば涙が頬を伝うときだってあります。
うつむいていた顔を上げ、空を見上げると、風が木の葉を優しく揺らすのが見えます。
その隙間から見える白い雲。青い空。長崎の空はどんなだっただろう、もう思い出すこともできない。
そう思った瞬間、彼女はこう思うのです。「こんなとき、だれか傍にいてくれる人がいたら」。

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同じことを考えていても、伝わらなければはじまらない

このとき、全くの他人である二人は(背中合わせで)おなじ空を見上げ、だれかに傍にいてほしいと、同じ事を考えているわけです。
背中合わせに座ったこの一組の男女、もしもお互いがお互いの思いを知ることができたなら、もしもお互いの思いを伝えることができたなら。
きっと、新しい恋がはじまることでしょう(お互いの好みがあるので、保証はできませんが)。

しかし、どちらかが行動を起こさない限りはお互いの思いは胸のうちに秘められたまま、伝わることはありません。
やがて、彼らは「さあ、もう行こう」とそれぞれのベンチから腰を上げ、それぞれの現実へと、もと来た方へと戻ってゆくのです。
そして、背中合わせに、しかし同じ空を見て、同じ事を考えた二人はもう二度と出会うことはないかもしれない。
そう考えると、ぼくらの気づかないところでも、無意識のうちに数多くの出会い、別れ、すれ違いがあるのかもしれませんね。

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ぼくたちは日常の小さな出来事を見落としがちだ

ぼくらの周囲は、常に変化します。
森を見て木を見ず、という言葉がありますが、忙しい毎日に追われて、ぼくらは日常の些細なことを見落としがちではないか、と考えるのです。
ぼくらは忙しすぎる日常や人の波に流され、自分の気持ちにすら気づかなくなってはいないか、ということですね。

おなじ毎日を過ごしているつもりでも、ぼくらを取り巻く環境は刻々と変化しています。周りにいる人はもちろん、同じ人であっても言動や服装、髪型。
そして天気や、道端に咲く花、そういったものは毎日変化があるのです。
毎日が同じことの繰り返しで面白くないなあ、何かいいことないかなあ、日常の些細な変化を見ようとせず、そして行動を起こさずに、そう考えているだけの人は自らの日常や未来を台無しにしているのではないでしょうか(ぼくも含めて)。

そういった意味ではぼくらの未来はぼくらの手に委ねられていて、人生における出来事、偶然を必然に変えたり、そのような力はぼくらの中に存在するのだと思います。
とにかく、行動せずに考えてばかりではなにも始まらないですよね。

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