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価値が上がるクルマ、維持できるクルマ、下がるクルマはどうやって決まるの?市場理論を考える(後編)

2018/04/22

| どんなクルマの値が下がる? |

さて、「なぜ値が上がるクルマと値が下がらないクルマ、とめどなく値が下がるクルマ」があるかについての考察。
前編では「値が下がりにくいクルマ」につき、その理由として「限定」「突出した装備や付加価値がある」「代替性がない」「もともと割安」「実用品としての需要がある」「特定購買層がいる」ということを挙げましたが、後編では「いったん値は下がるが、そこからは安定するクルマ」「下げ止まらずに値が下がるクルマ」について考えてみたいと思います。

一定ラインから価格が下がりにくいクルマは?

中古になると新車価格から大きく価格は下がるものの、特定のところからは値段が下がらない(下がりにくい)というクルマも存在。
これには2つの理由があると考えていて、ひとつは「新車価格は高いが、中古になると割安」といえるもの。
そしてもう一つは「使いみちは限られるが、この価格(ここまで安くなったなら)なら買ってもいい」と思わせるもの。

たとえば高級輸入クーペは前者の筆頭。
マセラティ・グラントゥーリズモやアストンマーティン・ヴァンテージ(前モデル)、ジャガーF-Typeは新車で買うとけっこうな価格で、そして売るときに「相当に価格が下る」のは火を見るよりも明らか。
よって「中古であれば、買ってから売るときのことを考えたとしても、まだダメージは小さいからいっちょ買ってみようか」という理論が働くわけですね。
同じような例はやはり高級輸入SUVで、BMW X5/6、レンジローバーもこういった傾向があります。
よって、「ちょっとでも安い個体」が出てくれば一瞬で動くことに。

ほか、アウディS/RS、メルセデスAMG、BMW M系も同様の傾向があるようですね。

後者つまり「ここまで価格が下がったのであれば」として買われる代表格が「オープンカー」。
新車ではいずれも高価で、かつ用途が限られるので所帯持ちには手を出しにくいももの、中古で割安になれば「一時的に乗ってみる」「セカンドカーとして」という需要も。
よってBMW3シリーズカブリオレ、メルセデス・ベンツSLK、BMW Z4、アウディA5カブリオレなどは「新車からかなり価格が下がりやすい」「中古相場はかなり下がる」という性質があるものの、”一定のところで”下げ止まる傾向があるようです。

そのほかアウディS1、フォルクスワーゲン・シロッコ(R)など、新車では異常に高く、そのため数が出なかったものの、しかし魅力やパフォーマンスが低いわけではないので「一定価格まで下がると急に(需要と供給が一致して)動き出す」というモデルもありますね。
よってこれらも「極端に安くなる」ことは無い模様。



値が下がり続けるクルマは?

値が下がるクルマの代表格はズバリ「セダン」。
これはメルセデス・ベンツだろうがBMWだろうがアウディだろうが下がり続け、まるで「底なし」。
新車価格で1000万円を超えるクルマであろうとも「数十万円」になってしまうことも珍しくはなく、逆に考えると値が下がった高級セダンはお買い得(古くとも、当時の技術の粋を集めて作られている)。

中でも値下がりが激しいのは「ジャガー」「ホンダ」のセダンで、このあたりは買い支えるファンが「不在」なため。
同じジャガーでもスポーティークーペはセダンほど値が下がらない傾向にありますが、セダンはとことん下がるようですね。
ホンダも同様で、ミニバンやワゴンは実需に支えられ、その実用性の高さで買われることがあるものの、ホンダの中古セダン、とくにレジェンドなど高級セダンは壊滅的だと言って良さそう(レジェンドだと、2007-2008年式あたりでは50万円以下)。

ただしセダンの中でもマセラティ・クワトロポルテ/ギブリやトヨタ・クラウン、レクサスLSといった車種は人気で、これは「特定層からの需要がある」ということが理由なのでしょうね。

中古市場において、コンパクトカーは地方での「足」、ミニバンは「移動用」、商用版は「業務用」、SUVは寒冷地での「生活必需品」、スポーツカーは「走り屋入門」、スポーティークーペは「ファッション感覚」での需要があると思われるものの、型落ちセダンの需要はかなり少ないと考えられそう。

社用車で「型落ちセダン」を使うことも考えにくく、セダンを好むような紳士もやはり型落ちセダンを選ぶとは考えにくいので、中古市場においてセダンは相当に売りにくい、と考えられます。
これは高価格帯になればなるほどその傾向が顕著だと思われ、ベントレーやロールスロイスのセダンは中古車ショップにとって「できれば敬遠したい」車種なのかもしれません。

EVも価格下落が激しい車種

そしてもうひとつ値下がりが止まらないのが「EV」。
日産リーフの中古が30万円以下になったと報じられて話題になりましたが、とにかくEVは価格が下げ止まらない車種ですね。
一部では「バッテリーの劣化」が敬遠されて(人気と需要がなく)中古価格が下がっているとも言われますが、プリウスやアウトランダーPHEVの中古価格はさほど下がっておらず、となると「充電しないと動かない」ということが問題視されているのかもしれません。

EV nissan leaf

実際のところ同じ「EV」でもノートe-powerは日産にとって「30年ぶり」の販売首位となっており、現在もその勢いは継続中。
おそらく今年の「再量販モデル」になるのは間違いないと思われますが、「充電しなくていいEV」というのが爆発的にウケたのだと思われます。

つまり「EVは欲しいが価格が高く、かつ充電しないといけないのが困る」と考えている人が多く、そして「充電」に関する懸念は車両価格が30万円になってもひっくり返すことができない、ということになりそう。
ただしリーフが30万円で購入できるのであれば、それは家に充電設備のある人にとって「異常にお買い得」な選択である、とも考えています(税金が安かったら一台買って足代わりにしたいくらい)。

結局どんなクルマの値が上がって、どんなクルマの値が下がるの?

複雑な要素が絡むので一概には言えませんが、趣味性の高いクルマは一般に価値を維持しがち。
新車販売時には「奇抜すぎて」売れなくとも、その後は登録台数の少なさから価値を上げて「希少車」となる例もありますね。
トヨタFJクルーザーはこの最たる例だと言えそうです(まだこっそり新車販売を行っているようですが)。

そのほか特定の人が買う車も強く、ホンダ・シビック・タイプR(走り屋)やトヨタ・アルファード(マイルドヤンキー)の価格も高値維持。

一方で実用性を持つクルマ、たとえば4WDは寒冷地での需要があるので下がりにくく、SUVやハイエースも「実用面」での需要から価格が下げ止まる傾向があります。

そのほか、ピュアなスポーツカー(軽量でムダがなく、できればマニュアル・トランスミッション)の価値も長きに渡って維持できますが、これはハイテクデバイス満載のスポーツカーに対しても優勢を持つほか、むしろ輝きが色あせないため(スポーツカーの基本はいつでも軽く、締め上げられた足回りでもある)。

そして輸入高級クーペ/オープン/SUVもそれを好む層がいるので意外と高値安定。

中古市場において、その価格は「需要と供給」が決定することになり、よって新車の時人気がなかったからといって中古市場で安く買えるというわけでもなく、新車販売ランキング上位であった車のほうが「中古市場にあふれて」価格が大きく下がることも(トヨタ・アクアはこの例と言える)。

そして「何の変哲もない」「高級なだけ」の車も中古だと弱く、中古市場において強いのは「たとえマニアックでも、なんらかの強烈な個性があり、ファンがついている」車だということになりそうです。

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