| この不利な車体で記録に挑戦するのはベントレーにとって大きなチャレンジ |
ベントレーが6月30日に開催されるレース、「パイクスピーク・ヒルクライム」に向け、このレースのためにカスタムされたコンチネンタルGTを公開。
これは「市販車コースレコード(10:26.9)」を塗り替えることを目的としたチャレンジですが、もともとスポーツカーではないコンチネンタルGTで記録を狙うには相当な努力が必要だと思われ、「ベントレーもずいぶん思い切ったな」という印象です。
なお、昨年のレースでは「SUV部門」においてベンテイガが記録を更新しており(10:49.9)、ベントレーとしてはこれに続く「記録達成」を狙いたいのでしょうね。
ベントレーは100周年の節目に記録を狙いたい
なお、今回公開されたコンチネンタルGTのカーナンバーは「100」。
これは今年で創業100周年を迎えるベントレーの希望によるものだと思われます。
ベントレーのモータースポーツ部門を統括するブライアン・ガッシュ氏によると「我々は、昨年の勝利で多くを学んだ。コンチネンタルGTの準備は万全であり、今回ヒルクライム仕様のクルマを公開できたことを誇らしく思う」。
今回このベンテイガをドライブするのはリース・ミレン選手。
リース・ミレン選手の父親は、過去に5回という歴代二番目に多くパイクスピークでの勝利を記録したロッド・ミレン氏であり、いわば「レース一家」。
リース・ミレン選手も2012年、2015年には優勝を経験しており、今回のチャレンジにおいて、これ以上ふさわしい人物は他にない、と言えるかもしれません。
そしてリース・ミレン選手は「このレースは、年に一回、一日だけ、そして一回しか走れない。そこにすべてをかける。このコンチネンタルGTは、あらゆる面において競争力がある」と意気込みを語っています。
なお、今回のコンチネンタルGTについて、そのスペックは不明。
昨年のベンテイガは「安全装備以外は」ほぼノーマルでしたが、コンチネンタルGTの車体重量はノーマルだと2,320キロもあり、いかに6リッターW12ツインターボのパワー(635PS)とトルクをもってしてもパイクスピークの過酷なコースを制するのは難しいと思われ、よって集中的な改造を受けているのかもしれません(もしくはレギュレーションによって改造範囲が制限されており、その範囲に留まるのか)。※動画を見るに、ロールケージは組まれているが、内装の多くは残されている
なお、コンチネンタルGTのレーシングカー、「コンチネンタルGT3」はノーマル比944キロの軽量化に成功しており、「頑張れば相当に軽くなる」ようですね。
ベントレーは意外と記録好き
なお、ベントレーはそのジェントルなイメージとは裏腹に「記録」達成に対して熱心なメーカー。
昨年の「ベンテイガ」がパイクスピークにて記録を達成したのはもちろん、ベンテイガ自体も「SUVで初」の300km/h越えを達成したことで知られます。
先代コンチネンタルGTだと、2007年にフィンランドにて平均時速321.6km/h、最高速度331km/hという「氷上世界最速」を記録していますね。
「パイクスピーク」はこんなレース
パイクスピークはアメリカのコロラド州はロッキー山脈の中にある山の一つで、これを頂上めがけてぶっ飛ばすというアメリカらしいレースが「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」。
初開催は1916年で、じつに100年以上の歴史を誇る競技であり、世界中から猛者が集まることでも知られます。
日本からだと「モンスター田嶋」の参加が有名で、なんと前人未到の9回も優勝を記録(次はロッド・ミレンの5回)。
他に優勝者だとセバスチャン・ローブ、アリ・バタネン、ワルター・ロール、ロマン・デュマの名も。
とくにロマン・デュマ選手はフォルクスワーゲンID.Rを駆り、パイクスピーク史上「最速」タイムを記録していますね。