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「スーパーフロントミッドシップ」!現代のマツダが採用する「ドラポジ」思想導入前の”IBUKI(息吹)”コンセプトはこんなクルマ

2019/08/11

| その無機質なデザインなど、現代のマツダと相違点は多い |

デフォルメなしで映画「カーズ」に出演できそうなマツダのコンセプトカー、「息吹(Ibuki)。
これは2003年にマツダが「過去と、現在と、未来」とを結びつけるというコンセプトのもと、東京モーターショーにて発表した一台です。

2003年というと、ロードスターは二代目の「NB」世代ですが、この息吹のデザインを見ると、初代NAロードスター、そして2005年に登場する三代目NCロードスターとを連想させるデザインを持っており、まさに過去~現在~未来をリンクさせたデザインだと言えそうですね。※当時のマツダのプレスリリースはこちら

パワートレインは「ハイブリッド」

なおパワートレインは1.6リッターエンジン、180馬力を発生。
トランスミッションは6速マニュアル(シフトノブはジョイスティックのようにも見える)、駆動輪は後輪のみという設定です。

2003-mazda-ibuki-concept (3)

ボディサイズは全長3,640ミリとかなり短く、全幅は1,720ミリ、全高は1,229ミリ。
ホイールサイズは初代NAロードスターをイメージしたデザインを持ち、マグネシウム製の18インチ。

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なお、マツダは2003年のコンセプトカーから、この「息吹」のように、日本語をその名称として採用していますが、それについては「プレジデント・オンライン」にコメントが紹介されており、欧州の「黄金比」という”割り切れる”デザインよりも、日本の「間」のような、”割り切れない”ニュアンスを表現した、と語られていますね。

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当時のマツダは下記のようにコメントしていますが、現在のマツダが採用する、「ドライブポジションのために、フロントタイヤを前方に(つられてエンジンも前に出る)」というものとは逆の考え方を持っていることもわかります。

マツダ息吹は、ライトウェイトオープンスポーツのDNAを最新の技術で原点回帰させた未来のロードスターの提案である。「ライトウェイトオープンスポーツにおける究極のファントゥドライブ」、「走りの機能を支援し、ロードスターのアイデンティティを継承・進化させたデザイン」、「オープン時の快適性と安全性」を目指すものである。
特にファントゥドライブの領域では、エンジンをロードスター比400mm後方にレイアウト、エアコンユニットをシート後方に配置することなどにより、すべての主要部品をホイールベース内に配置するスーパーフロントミッドシップレイアウトを直列4気筒エンジンで実現。人馬一体の走りを具現化する鍵であるヨー慣性モーメントの低減を追求した。

VIA:MAZDA

なお、マツダがこの「ドラポジ」にこだわるようになったのは「ここ10年」とのことなので、つまり2003年には現在の思想が存在しなかったということになりますが、この「ドラポジ重視」も、マツダがずっと前から考えている「人間中心のクルマづくり」に基づいたものなので、思想は変わらず、しかしその実現手段が変わっただけということなのかもしれません。※マツダのドラポジに関するコンテンツはこちら

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ボディパネルは軽量化のために強化プラスチックを採用しており、トランクフードはフェンダーまでをも一体化した「クラムシェル(フロントにこれを採用するクルマは多いが、リアに採用するのは珍しい)」。

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マツダ「息吹」のインテリアはこうなっている

マツダIBUKIのインテリアはコンセプトカーらしく、クリーンでシンプル。
ウインドスクリーンはトップをカットしたスピードスタースタイルを持ち、ボンネットからリアバルクヘッドにまで貫通するシルバーのラインが特徴(これは、重量物を車体の中央に集めたということを視覚的に表現するためだと思われる)。

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全体的には「楕円」モチーフが多く、これはヘッドライト、テールランプにも反復されているようですね。

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なお、空調ユニットをリアに移動させていますが、これによって前後重量配分とエンジンの「後方への移動」を実現。
ヘッドレストにある、縦長のスリットはエアコン吹き出し口で、メルセデス・ベンツの採用する「エアスカーフ」と同様です。

なお、左右シートの間に入っているボトルのようなものは何なのか不明。
まさかシャンパンボトルではないと思いますが、マツダであればシャンパンよりも「NOS(ニトロ)」のほうが似合いそうですね。

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ちなみに、この2年後に登場する「NC」ロードスターは、一部この息吹のデザインを受け継いでいますが、クリーンで無機質な印象は感じられず、ディティールは息吹と全く異なるもの。

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その理由としては、「息吹には親しみを感じられない」というもので、より人間的なぬくもりが感じられるデザインへと修正が図られた、と言われます。

たしかにこれ以降、マツダのコンセプトカーには無機質なデザインが見られなくなり、その意味でも、この息吹はエポックメイキングなモデルであったのかもしれません。

なお、このIBUKIについては、1998年発表の「アウディTT」の影響を見て取ることができ、当時のマツダが「バウハウス路線に行くかどうか」迷っていたことも伺えます。

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