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元アストンマーティンのデザイナーが初代ヴァンキッシュを「現代風に」リメイク。最新の素材や技術を使用した「アストンマーティン・ヴァンキッシュ25」を7000万円で発売

2019/09/03

| その細部や仕上げを見るに、7000万円でも高くはない |

先日ジャガーを退任したばかりのデザイナー、イアン・カラム氏。
今回は早速その新しい個人プロジェクト”カラム・デザイン”として「アストンマーティン・ヴァンキッシュ25」を発表しています。

これは2000年に発表された初代ヴァンキッシュを「リメイク」したもので、アストンマーティンのバックアップを受けて(つまりアストンマーティン公式で)25台のみが生産される限定車。

なぜジャガーのデザイナーがアストンマーティン?

そこで不思議に思うのが、なぜジャガーのデザイナーがアストンマーティンと共同プロジェクトを?ということ。

これについては同氏のキャリアが関係しており、イアン・カラム氏はジャガーの前にアストンマーティンに在籍していて、そこで手掛けたのがDB7とヴァンキッシュ。
つまり、イアン・カラム氏は自身の作品を、「現代のテクノロジーと素材をもって」ここに焼き直したということになります。

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なお、同氏はジャガーでは二代目XKやXF、XJのデザインを行い、007映画にも登場したC-X75や、C-X16、Fタイプのデザインにも関わった、と報じられています。

ちなみに今回のプロジェクトに要したのは18ヶ月だとされているので、ジャガー在籍時からこのアストンマーティン・ヴァンキッシュ25計画を進めていた、ということになりますね(ジャガーとの関係性も悪くはなく、退任後もジャガーのデザインについて相談を受ける立場にある)。

アストンマーティン・ヴァンキッシュ25はこんなクルマ

今回、アストンマーティン・ヴァンキッシュ25の発表にあたってイアン・カラム氏は「一般的に、デザイナーが過去の作品を再解釈して世に送り出すことは非常に稀だ。だが、私はずっとそれをやりたいと考えていた。そのクルマが発売された当時には無かった素材やテクノロジーが現代にあり、それらに伴う様々な新しいアイデアもある」と語っています。

そういった「あふれるクリエイティビティ」を発揮し、イアン・カラム氏はオリジナルのヴァンキッシュから100以上の部位についてデザインを変更。

アストンマーティン・ヴァンキッシュ25のエクステアリアはこうなっている

フロントだとバンパー形状がエアロダイナミクス向上のために新しくなり、エアインテークやグリルフレームがカーボン製に。
ヘッドライトはLEDを光源に採用し、ベゼル形状も変更されています。

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サイドだとシル形状が変更されてスリットが設けられるほか、ドアミラー形状も新しく。
ウインドウサラウンドは1ピース構造のカーボンファイバー製が採用されています。

車高は1センチダウンされ、ホイールは22インチ。
おそらくタイヤ外形もアップしていると思われ、というのも扁平率がさほど低くないから。
これはタイヤに「長方形」をモチーフにしたグラフィック(これは内外装のあちこちで反復使用されている)を入れたかったからかもしれません。

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なお、イアン・カラム氏は「タイヤ/ホイールの大きさ」を重要視していて、ジャガーFペイス発表時にも「走行性能が落ちるのはわかっているが、オプションの大径ホイール装着がオススメだ」とも語っています。
つまりはホイールやタイヤもそのクルマのデザインを構成する重要なパーツであり、表現手法としては有効である、ということなのでしょうね。

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足回りはローダウンとともに変更を受け、サスペンションが新しく設計し直され、アンチロールバーも強化。
さらにはアクスルに採用されるベアリングにまで改良の手が及び、ドライバビリティが向上している、とのこと。

ブレーキはアストンマーティン最新のカーボンセラミックが採用されています。

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リアだと新形状を持つバンパーそしてディフューザーが新しく、リアフェンダーのデザインも変更に。

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リアディフューザーはかなり「深い」形状を持っていますね。

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テールパイプ形状は2ピース。
外側はブロンズ(オレンジ)、そして内側はブラックが採用され、かなり細かいところまでデザインがなされています(パイプの内側の色まで変更するケースはかなり少ない)。

アストンマーティン・ヴァンキッシュ25のインテリアはこうなっている

そして外装同様に大きくカスタムされているのがインテリア。
ダッシュボードはほぼ「まるごと」入れ替えられており、センター部分はカーボンファイバーへ。

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アップル・カープレイ、アンドロイドオート対応の8インチディスプレイが装着されて最新のインフォテイメントシステムが与えられることに。

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メーター周りも新しくなり、エクステリア同様にシルバーとオレンジがアクセントとして採用されます。
文字盤を覆うガラスのデザインも独自のものが採用されていますね。

ちなみにセンターコンソールに装着されるクロックはイギリスの高級腕時計メーカー、ブレモン(Bremont)製。
取り外して懐中時計として使用することもできるそうです。
なお、ブレモンの腕時計は映画「キングスマン」にも登場していますね。

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もちろんシートも改められ、しかし単に「張り替えられる」だけではなく座面を下げて重心を低めるといったリファインも。

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そしてリアシートは取り払われ、「2人が贅沢に車内空間を使用できる」ように変更されています。
そしてこの長方形や斜線は内外装の至るところで見ることができるモチーフですね。

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アストンマーティン・ヴァンキッシュ25は安くない

そして気になるアストンマーティン・ヴァンキッシュ25の価格ですが、55万ポンド(邦貨換算で7042万円くらい)に設定。
これには「ドナー」となるアストンマーティンV12ヴァンキッシュの価格も含まれるとのことです。

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なお、エンジンそのものもアップグレードが施され、5.9リッターV12エンジンには新しいECUやエキゾーストシステムが与えられ、60馬力出力が向上して520馬力へ。
トランスミッションもシングルクラッチからトルコン式ATへと変更される、とのこと。

イアン・カラム氏本人が言うとおり、これは「他に例を見ないプロジェクト」ではあるものの、今後はこの他にもアストンマーティンやジャガーから「カラム・デザイン」が登場することになるのかもしれませんね。

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