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ポルシェ981ボクスター雑感(2)。ポルシェならではのダイレクトさとスムーズさ。

2013/12/18

ポルシェが珍しく「(986世代の)ボクスターとケイマン」にリコール届け出。足回りのパーツが経年劣化で破損する模様。再現率は6.5%と低くない

ぼくが981ボクスターに感じる”ポルシェらしさ”の残る2つの要素、「ダイレクトさ」「スムーズさ」。
これらについては先にあげた「自然さ」とも関係がありますが、タイムラグ無く、手が前輪に、右足が後輪に繋がり自分の意思を車の挙動に反映されて いるかの ような挙動を指します。
それには、機械的な精度の高さが感じられる各部の動作や転がり抵抗の少なさ、というところも大きく貢献していると思います。

ダイレクトさ、というところではインターフェースの入力に対する反応もそうですが、正確にギアとギアが噛み合っている、と感じさせるような部分ですね。
とくにシフトチェンジの際や走りだした時に感じることが多く、無駄の無い印象です。

最近は乗り心地を良くするために、いろいろなメーカーでは(比較的スポーツを打ち出しているメーカーでも)あちこちに柔らかいブッシュを使用した りすることが増えましたが、ポルシェはそのあたり妥協無く機械的な精度を追求し、乗り心地の良さについてはボディ剛性の向上やサスペンションのジ オメトリ調整、タイヤ径(乗り心地のためだけではないですが)大型化など、自動車としての基本性能の向上や、それに伴い同時に得られる効果(限界 性能の向上など)を求め、単に見た目で感じられるモノ、ちょっと乗っただけでわかるものに加え、本質を真剣に追求しているという印象があるわけです。

そのため、やや”遊び”や”マージン”が少ない部分もあり、ちょっとした変化が表面に現れることがあります。
たとえば季節によってエンジンや排気の音が違いますし、気温や走行する状態によっては、メカニカルノイズや、ときどき聞こえるキシミ音などに変化 があります。

工業製品として、一般に使用される範囲での「ギリギリ(実際はそれでもかなりマージンがあると思いますが)」で設計・組み立てされているがため に、ちょっとした外的要因によって反応するところが変わってくる、ということですね。

逆に、これらの精度が比較的ユルかったり、あちこちが大きな許容範囲をもって、また柔らかいブッシュを通して取り付け/組まれているのであれば、 ドライバーに情報が届くまでに、それら情報は遮断される、もしくはある程度吸収され、ドライバーに到達する頃にはその正確性や差異が理解できない ほどになっている、ということですね。

日本車は特にその傾向が強く(消費者がそれを求める、というところがありますが)、ガソリンが満タンでもガス欠寸前でも車の挙動があまり変わらな い、という傾向があります。
逆に欧州車は重量や重量バランスの変化がモロにドライバーに伝わったりしますね。
(日本車の場合、いかなる条件や状況でもその役割を安定して果たす、ドライバーに負担をかけない、という点では非常に優秀。実際に世界的にはその ような評価になっており、これはこれで大きな要望と需要がある)

スムーズさ、ということについてはPDKではコースティング、マニュアル・トランスミッションではクラッチを切ったときの「空走」において大きく 感じられるところです。
何の抵抗も感じさせず、スルスルとどこまでも走ってゆく感覚は、ポルシェを置いてほかにない、と思うのですね。
回転部分や動作する部分の抵抗が感じられない、ということですが、ここでも機械的な精度の高さが感じられます。

ちなみに、ポルシェはタイヤの変更が非常によくわかる車だと考えていて、タイヤを変えたり(すり減ったものから新品へ、または異なるブランドや銘 柄へ)すると、その変化がしっかり分かる車だと思います。
コンチネンタルは硬くてサイドウオールのたわみが少ない、重量バランスが悪いとか、ミシュランは柔らかくて食いつきがよく、サイドまで使える上に 真円性が高いとか、そういったことですね。
これも「ダイレクトさ」に起因する各部の正確さ、精密さに起因してタイヤの変化が直接ドライブフィールに現れるものだと考えています。

ほかの一般的な自動車メーカーであれば、ここまで「装着するタイヤ」の変化はドライバーに伝わらない、もしくは吸収されてしまっている、または他 の部分の不正確さのほうが前に出てきてタイヤの変化が打ち消されている、という状況だと思うのです。

その意味においても、先日話題にあげた「スペーサー」はポルシェのこれら美点を損なうもので、少なくともダイレクトさやスムーズさは失われ、ポル シェ本来のもつ精密機械のような乗り心地は失われる(ドライバーに直接スペーサーの精度が届くことになる)と考えているわけです。
これは経験上やむをえないことで、見かけをとるか、性能を重視するか、というトレードオフですね。

なお、ぼくのボクスターにはピレリPゼロが装着されていますが、これは「ピレリPゼロ」というイメージからすると良い意味で期待を裏切るほど乗り 心地や操作性が良く、ポルシェが認証する際に精度をきっちり詰めて検品基準を上げたのだろうなあ、と考えたりもします(ピレリはもともとあまり精 度が良くない、という印象を持っている)。
そんなこともありポルシェの場合はタイヤ選びが重要で、できるだけ認証を取ったものが良いと考えています(湾岸ミッドナイトにもそういった記載がありましたね)。

これらを総合すると、ぼくはポルシェの「ダイレクトさ」「スムーズさ」、というのは「透明」で「純粋」、という言葉にも置き換えられるんじゃない かなあ、と思ったりするのです。

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