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新型シビック・タイプRをシャシダイで計測→カタログ値より8%低い数字に。これはいいのか悪いのか?

2017/06/20

新型シビック・タイプRを早速シャシーダイナモで馬力計測してみた男が登場。
これによるとその結果は「295馬力」。
新型シビック・タイプRの公称値は「320馬力」なので、あれ?ちょっと馬力低いじゃない?と思うかもしれませんが、公称値(カタログ値)はエンジン単体での出力で、シャシーダイナモでの計測は「車輪が路面に伝える出力」であり、ここには差が生じます。

どういうことかというと、エンジンから発生した馬力はトランスミッション、ドライブシャフトを介して駆動輪に伝達されますが、その間に「ロス」があるわけですね。
つまり発生した馬力は全て車輪に伝えられるわけではなく、一般にFFだと10~15%、4WDだと(より伝達する距離も長く複雑になるので)20~25%ほどのロスがある、と言われます。

よって、320馬力を「エンジンから」発生するシビック・タイプRの場合は272~288馬力程度がシャシダイで出れば「妥当」であると考えられるものの今回は「295馬力」を出しており、実際のところ「けっこうスゴい」数字。
なお、これは「エンジン出力がカタログ値よりも大きい」もしくは「駆動ロスが小さい」と考えても良さそうですね。

なお出力(馬力)には「エンジン出力と駆動輪の出力」という概念のほか「ネットとグロス」という概念も。
日本のJIS規格における定義だと「ネット」は補機類を装着した状態、「グロス」はエンジン単体で発生する馬力。
つまりネットはラジエターと冷却水の循環に関する装置、排気管(エキゾーストシステム)、エアクリーナーなどを装着した状態で計測し(つまりドライブシャフトやプロペラシャフト、トランスミッション、デフなどは装着不要)、「グロス」はこれらを装着せずに文字通り「エンジン単体」。

当然冷却水を循環させるポンプの駆動力はエンジンから頂戴するので、そのぶん「駆動力に回せるパワーが落ちる」ことになり、排気管・触媒などを装着するとそのぶん「抜けなくなるため」出力も落ち、ネットは必然的にグロスよりも低い数字に(パワステポンプの駆動力もこれまではエンジンから取ることが多かったものの、最近では電動化にてエンジンの負担を軽減するように。これが電動パワステ)。

こんな感じで、一概に「馬力」といっても「エンジン単体(グロス)」、「エンジン+補機類(ネット)」、「駆動力(シャシダイ上の数字」などいろいろあるということになりますね。

ちなみに1980年台後半までは日本においても自動車のカタログでは「ネット」「グロス」両方の表記があったものの、現在日本では「ネット」に統一。
加えて「国ごと」にその基準が異なると思われ、よって国によって同じ車でも馬力の表示が異なるのはこういった事情も関係していると思われます。

さらにはPS(仏馬力)、HP(英馬力)というややこしい表記もあり、1PS=0.986HPとなりますが、日本では両方とも同一の数値として扱うことが多い模様(加えて最近ではKw表示に切り替え中)。

新型シビック・タイプRについて、アメリカでは今回のモデルから「はじめて」市場導入されており、そのぶんアメリカ人にとって期待の大きな車。
そしてその期待は「走り」のみに向いていると思われ、もし出力がカタログ値と大きく異なると訴訟に発展しかねない(過去にはマツダ・ロードスターにてこの問題があった)ため、ホンダが「馬力表示と実際の出力に配慮」したのかもしれません。

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