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これが次世代ポルシェの考え方。既存車種と真逆のアプローチを取るマカンに試乗する

投稿日:2014/12/09 更新日:

 

ポルシェ・マカンターボ(MACAN TURBO)を試乗。
いつも思うのはポルシェとは不思議な車で、写真で見るとその格好良さが伝わらないのですが、実物を見ると写真よりもはるかに格好良いのですね。

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マカンも同様で、画像だとカイエンとの差異がわかりにくいのですが、実物を目にするとその差異がはっきりわかります。

さて、ボクスターと同じ形状のキーにて解錠し、車に乗り込みます。
座面の位置はレンジローバー・イヴォークよりちょっと低いくらいですね。
シートに腰を下ろして目に入るのは新型のステアリング・ホイール。
ポルシェ918スパイダーと同じ形状で、量販車ではマカンからはじめて採用され始めた形状で、エアバッグが小さくスポークにスリットがあり、ステアリングのマスが非常に小さく感じます。

メーター、センターコンソールなど操作系は既存ランアップに準じるデザインですね。
ポルシェは古くはカレラGT、現在では918スパイダーなど限定車と量販車の間でも同じ内装デザインとパーツを使用し(もちろん全部ではないですが)、そして新しいデザインを採用すると順次そのデザインを量販車に採用してゆくのですが、現在のセンターコンソールやオーバーヘッドコンソールは現行カイエンから採用を始めたもので現在はモデルチェンジとともに全車に採用が拡大し、ステアリングに関してはマカンから同じように採用が拡大するものと思われます。

なお、シートの位置は左右両方とも「外側」に寄っています。
ポルシェのスポールモデルにおいてはロールセンターを集中させる意図だと思いますが、シートは限りなく中央に寄っており、センターコンソールの幅が狭くなっています。
ですが、このマカンは車の幅が大きくなった以上にセンターコンソールが大きく太く、そしてシートが車の外側に配置されています。

これは(イヴォークでも同様でしたが)オフローダーということもあり、窓から顔を出して路面状況を確認しながら走行する状況を想定しているのではないか、とぼくは考えます。
スポーツカーではそういった状況は無く、運動性能が重視されるのでシートは車体中央にあったほうが良いわけですね。

ですがオフローダーの場合、運動性能よりも走破性、そして過酷な環境や道路以外で走ることを考えているわけで、ときには川を渡ったり丸太で組まれた橋を渡ることがあるかもしれません。
そんなときに、車から顔を出して周囲を確認しながら走ることもあるわけで、そのためにオフローダーは一般にシートが外側にあるとぼくは考えており、おそらくマカンも同じ理由でそうなっているのだろう、と思うわけです。
ただ仮にそうでなくても、幅の大きなこの車で、街中で券売機からチケットを取るときにも「シートは外側についていたほうが」便利なのは間違いなく、このマカンのシート位置は便利ですね。
ちなみにボクスターは「シートが中央に寄っているせいで」発券機からチケットを取るとき、料金を支払うときはちょっと苦労します。

さて、車両に話を戻すと、マカン・ターボは出力400馬力、0−100キロ加速は4.9秒。最高時速は266キロで価格は997万円です。
ボクスターは5.7秒、261キロ、671万円。なお、ボクスターGTSは4.9秒、279キロ、949万円。
カテゴリは違えど、パフォーマンスと価格とのバランスはある程度ポルシェ内で取れているようですね。

ダッシュボードは911同様にダッシュ上がドライバーに向かってせり出しているタイプ(ボクスター、ケイマンは逆に前方向に向かっている).
メーターは3連なのでボクスター、ケイマン同様ですね。

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セレクターレバーは911やボクスター、ケイマンなどスポーツタイプとは異なり、シフトブーツのあるATっぽい感じのレバー(高級感がある)。
パーキングブレーキもセンターコンソールに移動しています。

セレクターレバーをDレンジに入れ、パーキングブレーキをリリースしていざスタート。
クリープは若干強めで、PDKといえどよりトルコンATに近い味付けのように思います。
ゴルフR(ゴルフ7)試乗のときにも感じましたが、最新のPDKはトルクのコントロールが非常に優れており、ほとんどショックや違和感が無くなっています。
オフローダーの場合、雪やぬかるみなどで急激なトルクの変化があると姿勢制御に問題が出る、という理由でツインクラッチではなくトルコンATを採用する場合が多いのですが、今回のマカンのトランスミッションはPDK(ツインクラッチ)であり、「トルコンATに劣らない」トルクコントロールができるようになった、ということなのでしょうね。
ステアリングは非常に軽い操作感で、車体の大きさを感じさせないもの。
これもスポーツモデルとは対極にあるセッティングですが、もちろん意図的に行っているものと(なんらかの理由がある)と思います。

アクセルを踏んだときの加速感は0−100キロ加速タイムから想像していたよりもマイルドで、出だしが鋭いというよりは、ポルシェらしい中間加速の伸びが良い印象。
同じタイムでも体感上はゴルフRのほうが速く感じますね。
ただし現実的なスピードは相当な域に達しているので、「遅い」のではなく速度感が希薄、と言い換えた方が良さそうです。
カイエンとトゥアレグとのもっとも大きな違いは「設計速度」だと言いますが、つまりはカイエンはトィアレグよりもずっと上の速度を想定して作っている、ということですね。
VWにはリミッター(ゴルフRでも時速250キロ)がありますが、ポルシェ、そして今回のマカン・ターボにはリミッターがありません。
つまりはVWでは想定していない領域の速度で走行することを考えてマカンは設計されているわけで、そのために体感速度も変わってくるのだと考えられます(その領域で走るために各部の精度や強度が高く、そのために非常に堅牢で、結果としてあまりに安定性が高く、体感速度が低く感じる)。

ブレーキは非常にポルシェらしいもので、踏力に応じて反応し、優れた制動力を見せます。
このあたり全く不安はないですね。
足回りもしっかりしており、段差やうねり、比較的スピードの高いカーブでも安定した姿勢を保ちます。
若干ホイールとタイヤの重さを意識する場面が無いでもないですが、大径ホイールといえどもレーンチェンジなど比較的軽い身のこなしを見せ、カイエンに比べると非常に軽快でダイレクトかつクイックな印象を受けます。

視界は非常に良く、同じグループのゴルフ7でも新設されたサイドの三角窓によってSUVの死角となりがちな部分をカバー。
Aピラーも比較的細く、視界を邪魔するものは最小限です。
ドアミラーのサイズも大きく、斜め後方の視界も良好。ただし真後ろは低い位置の確認が難しく(SUVはどれもそうですが)注意が必要。

なお、スポーツモードに入れると、バブリングが発生します。
ただ、ランボルギーニやジャガーのような「バリバリバリ」という甲高い音ではなく「ボボボボ」というような低い音で、それもごく控えめ(周囲がうるさければ、たぶん室内からではあまり聞こえない)。

マカンは車体の大きさ、マスに比べて全ての味付けと挙動が軽快です。
それに対して同じポルシェのスポーツモデル(911、ボクスター、ケイマン)ではその重量に比較してかなり「どっしりとした」味付けをしているのですが、マカンとそれらスポーツモデルとでは対照的なのが面白いですね。
そして、スポーツモデルとは真逆の設定となっていると感じますが、にもかかわらず「まぎれもないポルシェ」であるところも非常に興味深いところです。

ポルシェは「味付け」という点で非常に差異を演出することに優れており、たとえばボクスターとボクスターSはほとんど同じパーツを使用しており違うのは排気量くらいなのですが、各部のセッティングによって「ぜんぜん別の」車のように感じます。
これは「全然違う部品を使用しているのに、乗り味が全部同じになってしまうメーカー」とは反対の事象であり、どこをどうすれば車がどういった挙動を示すのか、どこをどうすればドライバーがどう感じるか、を完全に理解しているためだとぼくは考えています。

その意味では、マカンは今までのポルシェとくにスポーツモデルとは異なる乗り味ではありますが、ポルシェそのものである、とも断言できます。

なお、試乗はいつものようにポルシェセンター北大阪さんにて。毎回ながら感謝です。

ベースグレード(2リッターモデル)マカンの試乗レポートはこちら

これまでの試乗レポートは下記のとおり。
最新の試乗レポートはこちらにあります。



 

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