| 米中古車市場に異変発生 |
米調査会社Edmundsの統計によると、セダンとハッチバックの平均中古価格が「過去最高」に達した、とのこと。
この現象を語るには、まず「原油安がSUVブームを引き起こした」というところから始めなければならず、これによってアメリカは「SUV一色」に。
どれくらいの勢いかと言うと、たとえば2017年のアウディの北米販売に占める「50%超」がSUVで、あれだけSUV大好きな中国でも「34%」にとどまっているというほど。
さらに米国を代表する自動車メーカーは「セダンから撤退」し、マスタングとフォーカス・アクティブ以外のクルマはセダンやハッチバック、ワゴン含めて「全部やめ」にし、あとはトラックとSUVしか作らないと明言しています。
セダンは中古車市場で「不人気」の代名詞だったが
とにかく「SUVが人気」という状況を通り越して「SUVしか売れない」というのが最近のアメリカの状況であったわけですが、この状況は数年前から続いているのでほかメーカーもセダンやハッチバックの生産を絞っておりSUVへとシフト。
となると中古市場にあるセダンやハッチバックが少なくなるということですが、なぜここでセダンやハッチバックの値段が上がるのか?というのは疑問かもしれません。
それは現在のSUVブームが「原油安」に端を発していること同様、現在の原油高によって「SUV敬遠」の風潮が出てきて、燃費の悪いSUVを売ってセダンに買い換えようという動きが出てきたため。
そして「セダンを買おう」と考えても新車だと高級セダンしか残っていなくて、中古を買おうと思っても中古市場にはセダンがあまり残っておらず、その少ないセダンを「取り合う」状況が起きている、ということですね。
その結果セダンの中古平均価格は19,657ドルへと上昇し、これは5年前のなんと18%アップ。
なお、中古車ユーザーはかなり維持費に敏感な傾向が見られるそうで、そのためちょっとガソリンが高くなるとすぐに「燃費の良いクルマ」に買い換える傾向があるそう。
今後どうなるアメリカの自動車業界?
ここで気になるのが「今後」ですが、大きく分けて2つの傾向が出てくるかもしれません。
1)セダン、コンパクト、HV/PHEVの復権
2)中古車市場におけるSUV価格の急落
1)については文字通りで、単に燃費の良い車が好まれるようになるということ。
お金持ちはそんなことは気にしないと思われるものの、世間的に「燃費の悪い車に乗りにくい」風潮が出てきて、やはり高級SUVから高級セダンへと買い換えるかもしれません。
もしそうなると、「SUV/トラックしか作らない」と方向転換を行ったフォードは大打撃を受けることになり、大赤字の記録に次いで「弱り目に祟り目」。
2)は直接自動車メーカーに関係はないものの、これまでのトレンドが一気に変わってしまうことに。
アメリカ人はどうも熱しやすく冷めやすいようで、周囲が「SUVを売ってセダンやコンパクトカーに」という流れになると、皆がこぞってその方向へと動く可能性も。
そうなると理性的な判断ができなくなり、「今持っているSUVを売って、相場の上がったセダンを買うと維持費を考慮しても損」ということが理解できなくなって「なし崩し的に」SUV相場が崩れることになりそう。
とりあえず今後どうなるかは予測がつかないのが現状ですが、現在の傾向が加速すれば「各自動車メーカーの思惑」が大きく外れることになり、セダンに注力しているトヨタ、ホンダ、スバルが優位に立つ可能性もありそうですね。
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