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新型アキュラNSXデザインチームのリーダーは女性。しかしそれに関係なくNSXは輝きを発揮できないかもしれない

投稿日:2015/01/21 更新日:

| 新型NSXには「魂」がない? |

新型アキュラ(ホンダ)NSXの情報が少しづつ明らかになっていますが、今回はアキュラNSXのデザインチームを率いていたのは女性、という報道。

Michelle Christensenという34歳の女性で、ZDXクロスオーバー、RLXのフェイスリフト版をデザインした人だそうです。

3年前にNSXのプロジェクトに参加したそうですが、それ以来プロジェクトを牽引してきたとのことで、やり手の女性ですね。
スーパーカーのデザイナーにおいては、おそらく初の女性リーダーではないかとのことです。

なお、NSX発表後に時間が経つにつれ、冷静にその内容を考えていますが、「やっぱりちょっとキツいんじゃないか」という気がしないでもないですね。
ガソリンターボエンジン+3モーターという構成やトルクベクタリングはすでに他社が採用している技術ですし、アクティブにトルクを配分してコーナリング性能を高めたというものの、コーナリング性能だけを考えると軽量な車やポルシェGT3RSのような車のほうが上でしょうし、NSXが「初」と言えるようなデバイス、概念が無いようには思います。

かつ、NSXのみが持ちうる世界観というものも希薄で、ここが日産GT-Rとは異なる部分でもありますね。
ポルシェGT3やフェラーリ458スペチアーレのように自動車本来の性能やメカニカルな限界を極めたものでもなく、マクラーレン650SのようにF1由来のフレームを持つでもなく、ランボルギーニのように排他性のあるデザインを持つでもなく、「NSXを買う理由」というものが「NSXのファンだから」という以外には見当たらないんじゃないか、と思ったりするわけです。
NSXでしか実現できないこと、NSXしか持ち得ない世界観、というものが見られず、競争力は高くないかもしれない、とは考えます。

価格については「ハイブリッドスーパースポーツ」としては魅力的ですが、メインマーケットであるアメリカではコルベットに比べるとずいぶん高価ですし、一定のファンが付いている日産GT-Rに比べても高価です。
BMW i8と同じか少し安いくらいかもしれませんが、デザインとコンセプト的には(これは主観が入りますが)i8のほうに分があると思います。

もちろんランボルギーニ・ウラカン、フェラーリ458イタリア、マクラーレン650Sに比べるとNSXは安価ですが、これらと比較して「コストパーマンスに優れる」という理由でアキュラNSXを購入する人はあまりいないと考えられ、エクストリーム級パフォーマンスを求める人、スーパーカーオーナーというのは価格をさほど気にしないかもしれません(価格が高くてもデザインやパフォーマンスが優れるものを求める)。

また、スーパーカーはだいたい10年ほどはそのモデルライフがあることになりますが、その10年間に様々なライバルが出てきても魅力を維持し続けるだけの商品価値が必要だと思います。
ランボルギーニやフェラーリは新型モデルが登場した時、誰もが驚くような革新的なデバイスやデザインを持っており(きっと20年位生き残ることを考えている)、発売後もその価値を常に高めてゆくために、モデルライフ末期にゆくに従い、販売が伸びる傾向にあるようですね。
ですが、多くの日本製スポーツカー(アキュラNSXはアメリカ製ですが)は発売初期は人気化しても、その後は販売がジリ貧で人気がなくなったので販売終了、というパターンが多いように感じます。

アキュラNSXの場合、想定されるモデルライフである10年後にはガソリンターボ+3モーターではおそらく優位は発揮できないでしょうし、バッテリーの性能向上が著しい現在において、もしかすると数年経てば「アキュラNSXのハイブリッドシステムはお荷物」になるかもしれません。

VWアウディグループは既に3モーター式ハイブリッドとトルクベクタリング技術を保有しているので(アクティブな配分ではないですが、それを実現するのも時間の問題)で、かつ一旦開発したのでコスト吸収の観点からもこれを自社の車に装備してくる可能性も高く、そしてすでにアウディは将来RSモデルはハイブリッド化する、ということも公表しています。
そうなるとやはりNSXの優位性は薄れ、時間とともにその魅力は失われるかもしれません。
そのときに問われるのが「スポーツカーとしての真価」であり、コア・バリューでもあるわけです。

ランボルギーニのトッププライオリティは「デザイン」、フェラーリは「ドライバビリティ」、マクラーレンは「F1由来の技術」となっていますが、ランボルギーニはヴェネーノような現実離れしたデザインの発表や、それの市販車へのフィードバックで価値を築いています。
フェラーリはギアごとに加給圧を変えてより自然吸気エンジンに近いレスポンスを実現させたり、電動ステアリングであっても「タイムラグをゼロ」にする技術など、人間の感覚により近い、手足のように操れる技術を開発しているわけですね。
こういったものがブランドの「コア・バリュー」であり、時間の経過によって色褪せない、むしろ高くなってゆく価値ではないかと思うのです。

もちろんランボルギーニ・ウラカン、フェラーリ458、マクラーレン650Sがいま世界第一級のスポーツカーだとしても、必ず後発に性能で抜かれる時がやってきます。
その時に、性能以外でユーザーを惹きつけるものが必要となると考えています。
時々発売する限定車たとえば上述のランボルギーニ・ヴェネーノ、ラ・フェラーリ、マクラーレンP1などがそのブランドのイメージリーダーとなり、そのデザインを反映させることで「性能以外の」満足度をユーザーに与えることができるわけですね(マクラーレンP1と650Sは端的な例だと思う)。
フェラーリやマクラーレンにおいてはF1の活動も同じで、フェラーリのライセンスビジネスも同様だと思います。
そうやって継続的に、「その車種」よりもブランド全体の価値を継続的に向上させる努力も行っていると言えるでしょう。

現状ホンダではそういった「イメージリーダー」を持たず、むしろNSXがイメージリーダーとなっています。
そしてそのイメージリーダーが「他社も持っている技術」しか保有しておらず、他に排他性のある技術やデザインを持たない、というところが「弱い」と感じるのですね。
もちろんホンダの歴史上やむをえないことですが、できればF1も一旦撤退せずに継続して活動を行い、そしてその技術をNSXのようなイメージリーダーに反映させてほしかった、とも思います。

そしてF1は北米よりも欧州で人気があり、しかしNSXは北米のデザインなのであまりF1を考慮していない(時期的に難しかったこともある)、というところもやや「もったいない」と考えており、もう少しF1色を出したほうが欧州や、これもF1人気の高いアジアで人気が出たのでは、と考えたりするのです。

そういった「持てる資産」を有効に活用しきれていないところも残念に感じられ、NSXをどうしたいのか、どういった車として人々に認知させたいのか、というところも不明確だと思ったのですね。

現代においては性能だけで商業上の成功を納めることは出来ず、その製品のもつ「イメージ」が重要になります。
日産においては「GT-RとZは販売が落ちたので」廃版となるところを、カルロス・ゴーンが「消費者から”作ってくれ”と言われる車を持っているのは素晴らしいことで、他のメーカーが持ちえるものではない。よってZとGT-Rは復活」としたのはまさに「イメージ」戦略であり、将来のための「投資」でもありますね。

そのような意味では欧州企業、とくにランボルギーニ、フェラーリ、ポルシェはずっと先を見て新型車を登場させるけれど、日本企業とくに今回のホンダは「今」しか見ていない、と考えることもあります(日産は今や純粋な日本企業として見ることは難しく、上記理由から除外)。
そして、これの原因については、日本車は妙なデータやマーケティングに頼り過ぎだと思うのですね。

今こういったアンケート結果や消費者の声があるので、そしてこういったライバルがあるのでこういった車を作りました、という感じなのですが、先に挙げた3つのメーカーは「ライバル何するものぞ、我が道を行く」という感じで、消費者が想像し得なかったものを提供するわけですね。
これについてはBMW i8も端的な例となり、結果として排他性を持つことになり、市場での成功とブランド価値の向上、という結果をもたらしたと認識しています。

HONDA NSX HERITAGE

かつてソニーの創業者が「マーケティングは無意味だ。なぜなら消費者は我々ソニーが何をできるかを知らないからだ。その状況で消費者にアイデアを求めても革新的な製品など作り得ない」と言いましたが、まさにそのとおりで、最初から「アウディR8の価格でフェラーリ458のドライバビリティ」という、既存の車をターゲットとした時点で結果が決まっていたのかもしれません。

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