| ポルシェ911はテールが滑り出したら制御することが難しい |
本来、ローンチコントロールは直線上で使用するものだと思われる
さて、最近のハイパフォーマンスカーには「ローンチコントロール」なる機能が装備されていますが、これは最大限の加速を得るため、駆動輪へのトルク伝達を最適化するもの。
つまりは(停止状態からブレーキペダルを踏みつつ)ピークパワーを発生させるべくエンジン回転数を上げ、そこからブレーキペダルを離して一気に加速したとしてもホイールスピンを起こさせずにクルマを前進させるという機能です。
本来、ローンチコントロールはこういった場面で使うべきではない
なお、ローンチコントロールが搭載され始めた当初は「クラッチ(もしくはトランスミッション)に負担がかかりすぎる」という理由で、各自動車メーカーとも「これを使用すると保証が効かなくなる」という制約を課したりしていましたが、近年ではそういったこともなくなり、それだけクラッチやトランスミッションの耐久性、なによりも電子制御が向上したということなのでしょうね。※ランボルギーニ・ガヤルドについては、これを3回使用するとクラッチディスクがパーになると言われていた
今回公開する動画は少し前に公開された一本で、しかし最近になって画像掲示板レディットにて再び脚光を浴びたものであり、ポルシェ911が公道上にてこのローンチコントロールを使用し、例によってクラッシュする様子が収録されています。
その事故はこうやって起きた
動画の冒頭では、米国ニュージャージー州で開催されたカーミーティングのイベント会場から去るポルシェ911の姿が捉えられています。
カーミーティングの後ということで、近くにはカメラキッズが数名おり、おそらくこのポルシェ911のドライバーは彼らに対して「見せ場」を作ろうと考えた模様。
ローンチコントロールを作動させてエンジン回転数を上昇させて発進準備OK。
その後勢いよくスタートするも・・・。
合流のためにステアリングホイールを右に切っており、そのままオーバーステアを誘発し・・・。
縁石に乗り上げ・・・。
ガードレールにドカンと当たってストップ。
ガードレールに当たってクルマがいったん跳ね返っていますが、大きくフロントを損傷するほどでもなく、まだ「被害は最小限」だったのかも。
加えて、ガードレールに当たらなければ斜面の下に転げ落ちていた可能性もあり、状況的には不幸中の幸いであったと言えそうですね。
もしもこういった事態に陥ったら
なお、ローンチコントロールはあくまでも直線加速を前提に設計されているのだと考えていて、つまりこういった「曲がりながらの加速」は想定外かもしれません。
ローンチコントロールを使用しなかったとしても「ステアリングホイールを切った状態での加速」は非常に危険であり、事故が多発する原因のひとつでもあります。
動画を見るに、車体が傾いたのちにドライバーはアクセルを抜いているようですが、ブレーキを踏んでいないようにも見えます(路上にはブレーキ痕が残っておらず、ブレーキランプも光っていない)。
ときにこういったシチュエーションに陥ることがあるかとは思いますが、経験上、ぼくからできるアドバイスは「姿勢を崩したら、立て直そうとは思わず、すぐにブレーキを床が抜けるくらい踏みつけて、ステアリングホイールは両手で”行きたい方向”へとしっかり保持し、前を見る」ということくらい。
(優秀なABSを持つ)現代のクルマであれば、そして停止状態からの加速中くらいの速度であれば、多くの場合はそれで何とかなるかもしれません。
ポルシェ911がローンチコントロールを使用しつつ事故を起こしてしまう動画はこちら
参照:BSm575