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【動画】なぜウブロは腕時計業界からもっとも憎まれるブランドとなり、腕時計ファンから嫌われるのか?「安いものを見せかけで高く売ろうとしているから」

なぜウブロは腕時計業界からもっとも憎まれるブランドとなり、腕時計ファンから嫌われるのか?「安いものを見せかけで高く売ろうとしているから」

| ボクはウブロの腕時計を気に入っているが、実はウブロのイメージは好きではない |

これほどまでに賛否が分かれる腕時計ブランドも珍しい

さて、「なぜウブロは腕時計業界にて、もっとも憎まれるブランドになってしまったのか」という動画が公開。

正直言うと(これまでにウブロの腕時計を4本購入していながらも)ぼくはウブロに対してあまりいいブランドイメージを持っておらず、「成金的」「ウブロの腕時計を身に着けている人は自意識が強い」という印象も。

よって、ぼくがウブロの腕時計を身につけるときも「成金的で、自意識過剰な」人物に見られているのだと認識していて、むしろそういった人物に自分を見せたい時に身につけるようにしています(いわばセルフプロデュースの一環で、特定状況におけるキャラづくり)。

逆に、「そういったイメージを持たれたくない」場合はけしてウブロの腕時計を身につけることはなく、つまりそれだけ「身につける人」の印象すら左右するとも考えているわけですね。

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ウブロはクォーツ式腕時計としてのスタートだった

そこでウブロの歴史を見てみたいと思いますが、まずウブロは腕時計メーカー「MDM」のひとつのラインとして、カルロ・クロッコにより1980年に設立されています。

当時から高級路線を意識しており、マーケティング上の理由にて「既存の腕時計にはない」仕様を追い求め、その結論として「金属ケースにラバーベルト」というスタイルを採用したことが特徴です。

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そしてこの新鮮さが予定通りファッショニスタに評価されて大きく人気を獲得するものの、当時は今のウブロからは想像できない「クオーツオンリー」。

理由としては「機械式腕時計はショックに弱い」というものですが、当時のウブロは「極薄」を標榜していたので、この理由には納得できるものがありますね(もちろん、コスト上の問題もあったのだと思う)。※いかに安く作り、いかに新規性をアピールし高く見せるかというのがウブロの”裏”コンセプトだったのだと思う

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ただ、その後「代わり映えしない」ラインアップのため、一定の層に製品が普及した後には新しい客層を獲得できず経営難に陥るわけですが、ここでジャン=クロード・ビバーをCEOへと迎えて機械式ムーブメントの採用、それによる「クラシックフュージョン」を発売して復活の狼煙を上げています。

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なお、ウブロのような腕時計は、イノベーター理論における「イノベーター層」「アーリーアダプター層」にまでしか届かないたぐいの製品だと思われ、そこから先の「アーリーマジョリティ層」への普及が難しい製品だと捉えていて、しかし経営難に陥る前のウブロはアーリマジョリティ層へのリーチを期待していたということになりそうです(そしてジャン=クロード・ビバーは、アーリマジョリティ層を切り捨て、アーリーアダプター層のみにターゲットを絞り、数が出ない代わりに高価格路線にシフトしたのだと思われる)。

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その後ウブロは「ビッグ・バン」を発売し、これが現代に至るまでの人気モデルとなるわけですが、2008年にはルイ・ヴィトン筆頭のLVMHグループへと吸収されて現在もその体制を継続。

ジャン=クロード・ビバー氏はその手腕を高く評価され、2014年にはLVMHグループ ウォッチディヴィジョン プレジデントに就任し、ウブロ、ゼニス、タグ・ホイヤーの運営にも携わったのち、現在では一線を退いて後進の教育にあたっているようですね(タグ・ホイヤーが”ウブロっぽい”スケルトンダイヤルを採用したのはこれに由来する)。

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ウブロの戦略はあまりに露骨だった?

なお、ここまではそう大きく「嫌われる」理由はなく、あったとすれば「ファッションウォッチなのに高級腕時計市場の領域に入ってきた」「そのデザインがパテックフィリップ”ノーチラス”やオーデマピゲ・ロイヤルオークを露骨に意識していた」ということくらい。

ただしクラシックフュージョンやビッグ・バン発売に際して大きな衝撃を腕時計業界に与えることになり、それはその「価格」。

ステンレスケース、ラバーベルトという仕様を持つモデルでも150万円くらいの価格設定を行っており、これが「オーバースペック」ならぬ「オーバープライス」と評されたわけですね。

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たしかに当時のウブロは「優れた仕上げと、90時間のパワーリザーブ」という特徴を持っていたものの、スペック面だと、同様の機能を持つハミルトン・カーキに比較しても圧倒的に高く・・・。

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仕上げにおいてはグランドセイコーには及ばず・・・。

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ロレックスやジャガー・ルクルトに比較しても圧倒的に高価。

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しかもムーブメントはETA製を改良したものであり、腕時計好きの間では「いくらなんでも高すぎる」「その価格はどうやっても正当化できるわけではない」という評価が生まれてしまうことに。

もちろんウブロも「高すぎる」ことは重々承知で、しかし「限られた層に、より高く売る」ことを考えたため、そういった層により深く刺さるよう、「セレブ向け」イメージを演出し、多くの著名人をアンバサダーとして起用しています。※つまりウブロの価格の高さは製造コストだけによるものではなく、高額なプロモーション費用がひとつの原因となっている

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こういったプロモーションのおかげで、「ウブロ=セレブが愛用」「ウブロ=成功者の証」といったイメージが形成されたわけですが、旧来の腕時計メーカー、そして腕時計ファンたちは、「プロモーションによって高級イメージを形成し、本来は安い製品であるにもかかわらず、その本質を超えた価値を持つと消費者に誤認させ、”安いものを高く売りつけている”」という雰囲気を敏感に感じ取ったのだと思われます(正直、ぼくもそう思う)。

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たとえば、「ファッション(デザイナーズ)系」腕時計ブランドだとベル&ロスがまっさきに頭に浮かびますが、そちらは身の丈に合った展開を行っており、けして「本質的価値を超えた」値付けを行っていないわけですね。

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あるいはリシャール・ミルもウブロに近い「新しい」タイプの腕時計メーカーで、しかしこちらは「価格納得性を持たせるための品質」を持っており、その意味でウブロとは似て非なるもの。

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よってウブロは腕時計業界、そして腕時計ファンからすると「お金儲けのためにタブーを犯した」「商業主義優先の許されざる存在」ということになり、嫌われるを通り越して”憎まれる”までのポジションを獲得したのだと思われますが、一方で「腕時計のスペックやムーブメントなど気にしない」という、ファッションとして腕時計を捉える人々には絶大な人気があり、今でも「成功すればウブロ」というイメージがあるのもまた事実。

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したがって、(ファッションとしてではなく、プロダクトとしての)機械式腕時計を愛する人から見ると、ウブロを身に着けている人は「アイツは何もわかっちゃいねえ」ということになるのかもしれませんが、ファッションとして腕時計を捉えている人からすると「いいなあウブロ・・・オレもいつか買えるように頑張ろう」となるのかもしれません。

そう考えると、これほどまでに「見る人によって」そのオーナーの印象が変わる腕時計ブランドも珍しく、そこが「ぼくがウブロを(意図的にそういったイメージを期待して)身につける」理由でもあるわけですね。

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それだけウブロが市場に与えたインパクトは大きく、つまりウブロは「腕時計には、機械そのもの以外の価値もある」ということを証明し、新しい腕時計業界の扉を開いたとも考えられます。

そしてそれを憎むのは、「同じところにとどまったまま、新しいことに挑戦できない」旧来の腕時計メーカー、そして「新しいものを受け入れることができず、自分の価値観の範囲から出ることができない」旧来の腕時計ファンなのかもしれず、それを人は「願望憎悪」と呼ぶのかもしれません。

ウブロが腕時計業界、腕時計ファンから憎まれる理由を解説した動画はこちら

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参照:Bark and Jack

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