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【動画】トヨタがGRスープラのデザイン決定プロセスを公開!どうやら最初から80スープラとの関連性は切り捨てられていたようだ

【動画】トヨタがGRスープラのデザイン決定プロセスを公開!どうやら最初から80スープラとの関連性は切り捨てられていたようだ

| あわせてクレイモデル作成過程も公開、「現実の世界は、画面の中の3Dとは異なる |

やはり「アナログ」な仕事は見ていても楽しいものだ

さて、トヨタがGRスープラ開発の初期スケッチとクレイモデルを公開し、スポーツカーの設計にかかる長いプロセスについて紹介。

昨今はAR、CAD図面、3Dプリンター、AI技術の進歩によって自動車の設計がなされるようになっていますが、”アナログな”クレイモデルを製作するための熟練した職人の仕事は、依然としてデザインの非常に重要な部分であることも強調されています。

そしてこの開発プロセスの例として紹介されているのがGRスープラですが、クレイモデルを製作する動画とともに公開されたのが一連のデザインスケッチであり、ここでそれらを見てみましょう。

GRスープラにはこれだけの案があった

そして今回トヨタが紹介したのがこういったデザインスケッチ。

これを見ると相当数のデザインが出てきたことがわかり、しかしその方向性として「Condensed(凝縮された)」「Extreme(エクストリーム)」「L6(直6エンジン)」「FR(後輪駆動)」「”TOYOTA” Sports」といったコンセプトがあったようですね。

なお、ぼくはGRスープラについて「FT-1コンセプト(下の画像)を焼き直しただけ」だと考えていたものの、実はそうではなかった、ということになりそうです。

これらスケッチを制作した時点では、BMW Z4とGRスープラとを共同にて開発することが決まっていたといい、その制約の中で様々な案が出されたということになりますが、たとえば、初期のスケッチには、すでにラップアラウンドウインドウが組み込まれているものもあれば、ワイドなリアフェンダー、大きなエアインテーク、複雑なキャラクターラインを持つもの、特徴的なカーブを追求したものもあり、ダブルリアウィンドスクリーン、ハイマウントブレーキランプ、ボディワークのデュオトーン処理、フロントエンドの重厚な有機的フォルムなど、実現には至らなかったものの、非常に興味深いアイデアも見受けられます(今後のトヨタ車に採用されるかもしれない)。

Toyota-GR-Supra-Early-Sketches

ちなみにこちらはちょっと重厚な、そして未来的な雰囲気。

Toyota-GR-Supra-Early-Sketches-5

こちらはレトロな印象(リアエンドはコーダトロンカ)。

Toyota-GR-Supra-Early-Sketches-3 (1)

製品版に近いものの、フロントなど細部のディティールが異なるようですね。

ただ、ちょっと不思議なのは「80スープラ風の」デザイン案がひとつも見られないことで、つまりトヨタは最初から「80スープラのイメージを取り入れること」を考えていなかったのかもしれません(ただ、80スープラとのつながりの薄さが、BMWとの共同開発とともに、GRスープラ批判の理由となっている)。

Toyota-GR-Supra-Early-Sketches-1

なお、最近の自動車におけるデザインは非常に複雑なプロセスをたどっており、メジャーメーカーの場合、多くは世界中にデザイン拠点を持っていて、それら複数の拠点からデザインを集め、そこでデザインを議論し、それぞれの優れた点をミックスしてゆくもよう。

よって、現代においては「このクルマは誰のデザイン」と定義することが難しいといい、たとえば「このクルマの、エアインテークはボクがデザインしたんだけどね・・・」といった感じで「ディティールにしか個性が現れない」ということになるのかも。

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デザインテーマ決定ののちはCADに変換

そしてスケッチでメインテーマを決定した後、デザインプロセスの次のステップは、選択された提案を「より正確な3D CAD図面に変換すること」。

デジタル化されたデバイスはデザイナーやエンジニアにとって素晴らしいツールでもあり、コンピューター画面上やバーチャルリアリティを使用し、いくつかのデザインを素早く効率的にテストすることができます。

ただ、こういった時代であっても「アナログ」なクレイモデルの必要性については多くのデザイナーそして自動車メーカーも認識するところで、それはトヨタにおけるクレイモデルの巨匠、江藤和志氏が説明するように、「現実の世界ではすべてが違って見えるため、物理的なモデルがデザインの評価には欠かせない」ということに。

Toyota-GR-Supra-Early-Sketches-13

江藤氏の役割は、デザイナーのアイデアを実際の彫刻に置き換えることで、2Dスケッチと3Dコンセプトモデルやプロダクションモデルとの間の距離を縮めることだといい、そのおかげで、デザイナーはデザインを改善するためのフィードバックを得ながら、美的な面だけでなく、パッケージングや法規制の面でも常に評価することができるようになる、と紹介されています。

最終的にはクレイモデルに塗装を施し、ヘッドライトやテールライト、ホイール、バッジなどの市販パーツを組み込んで、”実車と違わぬ”リアルな外観に仕上げられることになるそうです。

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今回公開された2編の動画では、経験豊富な江藤和志氏がその技を披露しており、最初の動画では、GRスープラのスケールモデルを素早く作成し、他のスポーツカーとの違いを示す主要な要素に焦点を当て、それらを強調するかのように、ナイフで線を加えてダイナミックさを表現。

2つ目の動画では、デモンストレーションのためにわざと破損させた既存のクレイモデルをもとに、リアフェンダーのカーブを丁寧に再現しています。

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当然ではあるものの、これらひとつひとつの動作には正確さが要求され、27年にわたる自動車開発のキャリアが生かされており、江藤氏はときには素手で、そして自分のスタイルに合わせて作った特注の金属工具を使いつつもデザイナーのアイデアを立体的に表現し、粘土をクルマに変身させてゆくわけですね。

そしてちょっと心配なのは、「江藤さんが定年退職したらどうなるの・・・」ということですが、トヨタにおけるチーフエキスパートの肩書きを持つ衛藤和志は、現在、セミナーにて新世代のクレイモデラーを育成しており、トヨタの将来についてもしっかり「形作って」いるようです。

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江藤氏の匠の技が光るクレイモデル作成動画はこちら

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参照:トヨタイムズ, トヨタイムズ(2)

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