Carscoopにて、「最後の自然吸気エンジンを積むスポーツカー」なる特集。
現在スポーツカーは様々な理由からターボ化されており、一つは「環境対策」。
ターボエンジンは排気を循環させるという方法を採用するためにエミッションコントロールが自然吸気エンジンに比べると比較的容易。
そのため、近年ますます厳しくなる規制に対応するためにこれは主流となりつつあります(他の要素と複合的に考える必要がありますが)。
次いでのメリットは「高出力化」で、これは小排気量でも高出力が得られる、ということですが、ブガッティ・シロンのように「大排気量エンジンをさらにターボ化」することでトンデモナイ馬力を得る場合も。
そして最後は「ダウンサイジング」で、これは現在スーパーカーにおいて外すことができない市場である「中国」において、4リッター以上の排気量を持つエンジンが税制上圧倒的に不利(つまり販売上も不利)、ということ(なのでエンジンを小さくしても高出力かできるターボを採用)。
現代において、これらの要素単独又は複合にてターボエンジンを選択するメーカーやモデルが増えている、ということですね。
一方でじゃあ自然吸気エンジンはもう「いいところなし」なの?という疑問が出てくるかもしれませんが、その「いいところ」はレスポンス、そしてサウンド。
レスポンスにおいてはいわゆる「ターボラグ」がなく、サウンドについては排気をそのままエキゾーストパイプから排出する、という点において(スポーツカー的観点から)ターボエンジンに勝ると言えます。
ターボエンジン推進派スポーツカーとしてはマクラーレン、ブガッティ、ケーニグセグ、メルセデスAMG、BMW Mモデル、ホンダNSX、日産GT−R等ありますが、ここで自然吸気エンジンを搭載するスポーツカーを見てみましょう。
フェラーリのV8モデルは488、カリフォルニアTにてターボ化されましたが、V12搭載モデルのF12(と今のところGTC4ルッソ)は自然吸気エンジン搭載のまま。
フェラーリは「V12エンジンはターボ化せず、自然吸気のままで、しかしハイブリッドとの組み合わせでエミッション低下、トータルでのパフォーマンス向上」としています。
限定モデルの「F12tdf」ではさらに鋭いエンジンを搭載していますね。
今のところ「自然吸気エンジンしか搭載していない」我らがランボルギーニ。
中国の税制もなんのその、大排気量NAにこだわる意気や良し、という感じですね。
最近のコメントではV12エンジンはターボ化もしくはダウンサイジングターボに置き換えることはない、とコメントされており、当面は「安心」と言えそうです。
これはランボルギーニ・ウラカンの兄弟車なので同じNAエンジンを積むのは当然ですが、現在「中国対策」として5気筒もしくは4気筒ターボエンジン搭載モデルの追加が検討されていると報じられ、ちょっと雲行きがあやしい感じですね。
次期モデルでは自然吸気エンジンが消滅するかもしれない、と考えています。
同じ「GT」でも「GTS」のエンジンはターボ化されており、おそらくはポルシェで唯一の自然吸気エンジン搭載モデルとなってしまいそうなGT3系(ケイマンGT4もNAエンジン搭載として残るかも。911Rは限定なのでここでは除外)。
素晴らしいエンジンレスポンスを誇りますが、問題としてあるのは「911は構造上、6気筒エンジンしか積むことができない」「6気筒エンジンでは排気量の上限がある」ということ。
自然吸気エンジンの出力は回転数に依存し、これは排気量と無関係ではなく、つまり「排気量が限られる以上、最高出力にも限りがある」ということにも繋がります。
となると、どんどん出力が向上するライバルに対してはもちろん、ターボ化されてゆく身内に対しても競争力を失うことになり、今後どうなるのかは気になるところ。
将来的にはターボ化、もしくはミドシップ化して大排気量自然吸気エンジンを積むしかないだろう、と考えています。
アストンマーティンは大排気量エンジンにこだわるメーカーで、自ら「小排気量や、6気筒のアストンマーティンに乗りたいとは誰も思わないだろう」と発言。
そのアストンマーティンもAMGから供給を受けるターボエンジンを搭載することになり、最新の「DB11」では5.2リッターV12ターボエンジンを搭載(小排気量でないのはさすが)。
そのアストンマーティンにおいて、おそらく最後のNAエンジン搭載となるであろうモデルが昨年に発表されたヴァンキッシュS。
その意味でもこれは価値が出そうなモデルと言えますね。