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目標はニュル7分切り。マスタング史上最強最速の「マスタングGTD」登場。レーシングカー由来のサスペンションを持ち、「2シーター、トランクなし」の超硬派

目標はニュル7分切り。マスタング史上最強最速の「マスタングGTD」登場。レーシングカー由来のサスペンションを持ち、「2シーター、トランクなし」の超硬派

| 事前にウワサされた「リアミッドシップエンジン」ではなかったが、それでもマスタングGTDは驚くべき内容を持っている |

実際にニュルブルクリンクでどの程度のタイムを出せるのかには注目したい

さて、先日リークされた「フォード・マスタングGTD」が正式発表。

これは「マスタングGT3」の公道走行バージョンとしてリリースされたもので、しかしアダプティブ・サスペンションやアクティブ・エアロダイナミクスなど、競技規則では禁止されている技術が搭載されていることが大きな特徴。※このマスタングの名前は、GT3バージョンが米国で参戦しているIMSA GTDレーシングクラスに由来する

納車はちょっと先の2024年末から2025年初頭を予定しており、車両価格は約30万ドル(日本円で約4364万円)という高額な設定です。

ちなみに購入方法はフォードGTと同じ「申込み形式」で、フォードに対していかに熱い情熱を示すかによって購入権が付与されるかどうかが決まるそうですが、フォードGTの場合は結局「フォードの有力顧客やユーチューバー、著名人」を中心に割り当てられることとなり、大きな批判を呼ぶこととなっています(結果として、フォードGTの生産台数は倍に引き上げられた)。

参考までに、このマスタングGTDにつき、購入権が与えられた顧客は自分の好きな「カスタムカラー」を選択できるというので、二台として同じマスタングGTDは存在しないかもしれませんね。

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フォード・マスタングGTDはこんなクルマ

そしてこのフォード・マスタングGTDを見てみると、ウワサとは全く異なって「ミドシップではなくフロントエンジン」。

スーパーチャージャー付き5.2リッターV8がドライバーの前方に搭載され、最終的な出力はまだ明らかにされていないものの、フォードは800馬力以上を目標としており、つまりはマスタング史上最高馬力のモデルとなるのは決定的。

エンジンのレッドラインは7,500 rpm以上で、アクティブ・バルブ・システムを備えたチタン製エキゾースト(アクラポヴィッチ製)を装備しています。

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なお、このマスタングGTDはトランスミッションをリアに配置するトランスアクスル・ギアボックスを採用し、これによって前後重量配分を大きく改善。

トランスミッションそのものは8速デュアルクラッチで、カーボンファイバー製ドライブシャフトによってエンジンからのパワーを受け取ります。

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マスタングGTDは「サーキットでこそ本領発揮」

公道バージョンとは言いつつもサーキット走行を主眼に置いたモデルであることには変わりがなく、たとえば「トラックモード」に入れるとバリアブル・トラクション・コントロール・システムを使用することができるようになってエンジン出力とトラクション・コントロールの強弱を調整することが可能に。

これにより、サーキットでは自分のドライビングスキルに合わせた車両特性の調整が可能となり、どのレベルのドライバーであってもマスタングGTDの性能を最大限に引き出すことが可能となるのだそう。

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そのほか、マスタングGTDには、スプリングレートと車高を調整できるセミアクティブサスペンションが採用され、トラックモードにセットすると車高が40ミリ下がる、とアナウンスされています。

リヤサスペンション形式はフォーミュラカー同様のプッシュロッドを採用しており、プッシュロッドとロッカーアーム、油圧制御システム、トランスミッションの冷却システムがトランクスペースを専有するために「トランクには何も入らない(というかトランクスペースがそもそもない)」といい、リアフェンダー上にあるエアスクープはこのエリアの冷却のためにエアを取り込むようですね。

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なお、注目すべきはフロントタイヤの幅が325ミリもあることで、これはここ数年に始まったトレンドのひとつ(フェラーリF12tdfやGRスープラも今までの常識に比較するとフロントタイヤが太い)。

対するリアタイヤの幅は345ミリ、ホイールサイズは前後とも20インチ(鍛造アルミ)。※オプションではマグネシウムホイールを選べるそうだが、フォード得意のカーボン製ホイールが選べるかどうかはプレスリリースに記されていない

なお、ブレーキシステムはブレンボ製、もちろんカーボンセラミックブレーキが標準装備となっています。

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フォード・マスタングGTDは「2シーター」に

そしてフォード・マスタングGTDでは軽量化が追求されており、フロントスプリッター、ボンネット、フェンダー、ドアシル、ルーフ、トランクリッド、リアディフューザーがカーボンファイバー含む軽量素材で構成されており、フロントとリア・フェイシアはオプションにてヴィジブルカーボンへとアップグレードが可能。

そのほか油圧制御式フロントフラップ、カーボンファイバー製アンダーボディトレイ、アクティブリアウイングを追加するエアロダイナミクスパッケージも選択できます。

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今回マスタングGTDのインテリア画像は公開されていないものの(まだ開発中だからだと思う)、室内にはスエード、レザー、カーボンファイバーが多用され、シートはレカロ製、軽量化のためにリアシートが廃止されています。

なお、面白いのは「F-22チタンパッケージ」が用意されていることで、これはロッキード・マーチン製の航空機、F-22に使用されるパーツから再生産されたパドルシフト、ロータリー・ダイヤル・シフター、シリアル・ナンバー・プレートが装着されるという「その道のマニア」にはたまらないもの。

フォードによれば、F-22のいくつかの部品には耐用年数が定められており、定期的なメンテナンスとともに機体から外されるそうですが、その際にロッキードはこれを粉砕し、そしてその粉砕されたチタンをフォードが購入し、その後にこれを3Dプリンタにて「車両用パーツへと」印刷するのだそう。

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マスタングGTDの製造については(フォードGTやフォードの競技用車両を製造する)カナダのマルチマチック社が担当し、しかしボディはフォードのフラットロック組立工場から、スーパーチャージドV8はディアボーン・エンジン工場から供給されることもアナウンスされています。

そしてフォードによると「これは、フォード史上最速のロードゴーイング・マスタングであり、このプロジェクトの目標は明確で、ニュルブルクリンクで7分を切るタイムを目標に、これまでよりずっとずっと速く走ることです」。

よって、近いうちに「ニュル7分切り」の報告をフォードから聞くことができるようになるかもしれませんね。

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フォード・マスタングGTDのプロモーション動画はこちら

参照:Ford Motor Company

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