| 乗る前の不安は乗ったとたん「笑顔」に変わった |

さて、今日は大阪は箕面にあるポルシェのレンタル専門店、ポルシェゲートさんにて911カレラRSをレンタルすることに。
この911カレラRSは1975年モデルの911カレラに「カレラRS」のエンジンを搭載したクルマで、あまりのスパルタンさに「運転できるのか・・・」と不安になったものの、なんとか無事に生還できてほっとしています。
生憎の雨の中でのドライブではあったものの、車両の様子、そして運転した印象などをお届けしたいと思います。
ポルシェ911カレラRSはこんなクルマ
このポルシェ911カレラRSは上述の通り、1975年モデルの「ワイドボディ」。
ナローもいいですが、やはりワイドボディにはナローにないセクシーさがある、とも思います。

車体重量はなんと990kgと非常に軽く、フロント車軸の荷重は380kg、後輪は610kgなので、実に62%が後輪寄りだということになりますね(ただし、997のほうが後輪寄りのバランスだったように記憶している)。
ボディカラーは淡いイエロー、そしてヘッドライトベゼルなど各部はブラック、そしてボディサイドにはブラックの「Carrera」ストライプ入り。
ドアミラーもブラック、そしれホイールのディスクもブラックなので、全体的に引き締まった印象を受けます。

ダックテールリアスポイラーには誇らしげに「Carrera RS」のレター。

フロントフードはボンピン仕様。
前後フードはFRP製なので非常に軽量です。

エンジンは非常に美しく、見たところリビルトされ、多くのパーツが新しいものへと入れ替えられている模様。

タイヤはピレリのクラシックタイプ(けっこうドライ寄りのトレッドを持っているように見え、ウエットではちょっと怖かった。けっこうグリップしてくれ、何もなかったけど)。
ホイールは超ディープリムのフックスですね。

ポルシェ911カレラRSに早速乗ってみよう
そしてここからは内装を見てみようと思いますが、とにかく内装はスパルタン。
その度合いは「このクルマを運転できるのか・・・」という心配をしてしまうほどです。

ステアリングホイールはMOMO製、グリップはスウェード。

ペダルはお馴染み「床から生える」構造を持っていて、フロアマット等含めてメタル製に。
クラッチはけっこう重い、という印象です。

シートはレカロ製のフルバケット。
横Gに耐えるためにはもちろんですが、実際に運転してみると、この重いクラッチを踏み抜くにはフルバケットシートのホールド性が必要だと感じた次第です。

シフトレバーはこう。
ブロワーがダッシュボード下からニョッキリ顔を出しているところが「レーシングカーライク」ですね。

メーターは当然ながらポルシェ911伝統の「5連」。

ポルシェ911カレラRSを運転してみた印象は?
ドアを開けてバケットシートに身を滑りこませ、空冷ポルシェ911特有の「ガチン」という音を立ててドアを閉じてしまうと、その中はまるでレーシングカーのコクピット。
クラッチ、アクセル、ブレーキペダルや各種スイッチ類などひととおり操作方法や機能を確認してエンジンをスタートさせますが、その際の振動はかなり大きく、おそらくはエンジンマウントが相当に硬いのかも。
おそるおそるクラッチを繋ぎますが、以前にレンタルした930ターボに比較してかなり奥の方で繋がり、そのために(膝が伸びていないので)半クラ状態を維持しやすく、かなりな踏力が要求されるものの、思いのほか扱いやすいという印象です。

基本的に平地ではアイドリングスタートでOKですが、坂道発進だとちょっとアクセルをふかしてやったほうが発進しやすく、エンストの心配もないようですね(スタートして最初の坂道でいきなりエンストしてしまった)。
なお、エンストといえば、クラッチを徐々に離し、クラッチがつながった際には一瞬エンジン回転数が下がり、その際にはトルクも下がるので、ここでスパッとクラッチを切るとエンストすることに(これは以前に乗っていた986ボクスターでも、997世代の911カレラでも同じだった)。
これを防ぐには、半クラ状態を維持しながらクルマが動き出すのを待ち、そこからクラッチを一気に離すのが良さそうです。
ちなみに今回の試乗については、相手がRS(レン・シュポルト=レーシングスポーツ)ということもあってレーシングシューズとレーシンググローブを用意したのですが、「かなり役に立った」」のもまた事実。
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シフト操作に関していえば、「慌てず急がず」それぞれのゲートにゆっくりとレバーを押し込むように扱い、そしてシフトアップやシフトダウンに際にはいったんニュートラル位置に戻し、一呼吸置いてから次のゲートに”ゆっくり”入れると入りやすいという印象(ぼくはけっこうシフト操作を速く行う癖があり、しかし急いでシフトチェンジしようとするとシフトレバーが弾かれて戻ってくる)。

走り出してすぐに気づくのは「足回りの固さ」で、そのハードさといえば「まるでカート」。
とんでもないクルマを借りてしまったなと一瞬後悔するほどですが、意外なことに不快な突き上げは一切なく、ピッチやロールをほとんど見せないのになぜか快適(ほとんどサスペンションがストロークしているという印象はない。これ不思議)。
そのせいもあってかステアリング操作に対する反応は正確無比で、狙ったラインを寸分違わずトレースできるというイメージです。
ちょっと運転しただけでも「素晴らしいクルマ」であることを直感的に理解でき、「ここ最近、ここまで楽しいクルマに乗ったことがあるだろうか」と思わせられるほど。
なお、人それぞれだと思うものの、ぼくの考える「楽しいクルマ」とはレスポンスの良い、そして操作した通り(過剰でもなく、付属もなく)に反応するクルマ。
ぼくが「運転に関してはバイクの方がクルマより好きだと思うのは、バイクの方がよりダイレクトだからですが、この911カレラRSは「バイク以上にダイレクト」で、まさに公道を走るカートのようだ、とも考えていて、今までに乗ったクルマの中では間違いなく最高レベル(メルセデスAMG GT S、ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ、フェラーリ458イタリア、アルファロメオ4Cと同じくらいか、それら以上)。
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前回の930ターボ試乗でも感じたことですが、911は初代から今まで、いかにパーツやコンポーネントが変化しようとも「ずっと911のまま」。
加速感やハンドリング、ブレーキフィールなどその本質は全く変わっておらず、しかし代を重ねるにつれ、様々な規制、そして誰もが安全に楽しめるように様々な機能やデバイスが追加されてきただけだと言って良さそうです。
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そのため、(最新の911にて)安全デバイスが介入していないときの感覚は1970年代の911であっても2020年の911であっても全く変わらず、これは心の底から驚かされる部分でもありますね(空冷911を運転していても、あれ?今オレが運転してるのは最新の911だったっけ?と思うことがある)。
つまり、すでにポルシェは1960年代にして完成されたクルマを作っていたということになり、現在の911はその延長線上。
現代の911を購入した人の多くは空冷へと戻ってゆくようですが、それは「時代とともに付加されてきたデバイス」をヨシとせず、よりピュアな、誕生した当時の911の本質に迫ろうという行為のあらわれなのかもしれません(現在の911が失ってしまったものを空冷世代の911は持っている)。
そしてクラシックポルシェを支持する人々は「単なる懐古趣味」によって過去の911を評価しているわけではなく、911の本質を見抜いている人々だということになりそうですね(よくいる、なんでも新しいものを否定したがるようなオッサン連中ではない)。

空冷ポルシェを借りる際、これだけは注意しよう
空冷ポルシェのレンタカーを借りるにあたり、やはりいくつか注意しないといけない点があって、それは「いろいろな意味で、現代のクルマとはぜんぜん違う」ということ。
ひとつひとつの操作をキッチリ行なってやる必要があり、ズボラな操作はクルマから拒否されることもあるので、とにかく正確に、そして丁寧にひとつひとつの動作を行うことを意識した方が良さそうです。
そして安全デバイスが基本的に装備されていないというのも常に意識する必要があり、さらにポルシェ911は「RR」という特殊なレイアウトを持っているため、容易にスピンする可能性があるというのも念頭に置いといて欲しいところ。
さらに言えば911はタイヤに依存するところが大きく、タイヤが暖まっていない時に急加速すると間違いなくコントロールを失うので、タイヤが暖まるまでは(自分がクルマに慣れるという意味もあり)普通に走ることをお勧めします(過剰に慎重にならずとも、普通に走ればそれでいい)。
ちなみに最新の911(992)であっても”ウエットモード”を持つほどなので、いかにグリップを失った911が危険であるかもわかろうというもの(このウエットモードは、992で初採用されたポルシェのキモ入りデバイス)。

もちろん、クルマや所有者(ショップ)に対する敬意も忘れてはならず、乱暴な操作を避けるのは言うまでもないところ。
なお、ポルシェゲートさんでは3時間という短時間でのレンタルができるのがありがたく、週末の午前中に借り出し、まだ交通量が少ない時に気持ちよく走ることができるのがイイ、と思います。
ぼくのおすすめコースとしては、お店を出てから171号線〜万博外周〜新御堂筋(ターボなどハイパワーマシン向け)、もしくは171号線〜彩都〜箕面の滝(ハンドリングマシンやオープンカー向け)、そして171号線〜箕面トンネル(箕面グリーンロード)〜宝塚北サービスエリアで折り返し(エンジンサウンドを堪能した人向け)、といったルート。
この辺りだと3時間もあれば走って、クルマを眺めても十分お釣りが来ると思います。
なお、「さすがにイキナリ一人で走るのは怖い・・・」という人にはレクチャーや同乗でのレッスンも行なってくれるので安心です(ぼくは横に乗ってもらってレクチャーしてもらった)。
なお、動画では実際に走行する様子やクラッチ、シフトレバーを操作してみたところ、回転数を上げてのエンジン/エキゾーストサウンドも収録しています。
画像についてはFacebookのアルバム「ポルシェ911カレラRS」に保存中。
ポルシ911カレラRSを運転してきたときの動画はこちら
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