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いったいいくらするのコレ・・・。ベントレーが1920年代の「ブロワー」を忠実に復刻し12台を販売するための試作車、「カー・ゼロ」が公開される

2020/12/12

復刻されたベントレー・ブロワー

| カー・ゼロ製作にあたっては1920年台のブロワーを分解し、パーツをひとつひとつ3Dスキャン |

さて、ベントレーが1年とちょっと前に「1920年代に製造していた”ブロワー”を12台のみ復刻するとコメントしていた件。

その後には当時のクルマを分解し、パーツを3Dスキャンしデータベース化したと述べていましたが、今回はそのデータを使用して新規にパーツを製造し、それらを組み立てたプロトタイプ、「カー・ゼロ」を公開しています。

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「コンティニュエーション・プログラム」はひとつの流行だったが

なお、このベントレー・ブロワーの復刻はいわゆる「コンティニュエーション・プログラム」、つまり当時の車を(現代にて)継続し生産するという手法。

これはもともと、ジャガーが1954当時に生産する予定だったものの「工場が火事になってしまい」実際には生産できなかったXKSS”9台”を2014年に生産したことにはじまったプログラムで、その後もジャガーはDタイプを生産したり、アストンマーティンも過去のクルマを復刻したりと自動車業界では”ちょっとした流行”に。

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そしていずれのコンティニュエーション・プログラムにも共通するのが「当時と同じ治具や工具を使用し、当時の技術にて製造する」ということで、これによって高い付加価値を与え、「億」という車両価格への納得性を高めています。

もちろんベントレーもその手法に乗っかったということになりますが、ほかメーカーが1950〜1960年代のクルマを対象としているのに対して「1920年代」まで一気に遡り、その歴史の古さを見せつけたわけですね。

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今回生産の「カー・ゼロ」はテスト用

そしてベントレーは今回生産した「カー・ゼロ」を、今後生産する12台のブロワーのためのテストに供するとコメント。

このカー・ゼロ製造のためにベントレーはこれまで述べ4万時間を要しており、設計されたパーツ類は1,846個。

ただしこの1,846個の中にはエンジンも含まれるため、その構成部品等にまで分解してゆくと全部で「数千」ものパーツを新規に設計し製造したことになるようです。

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そしてベントレーCEO、エイドリアン・ホールマーク氏が語るには「今日はまさに記念すべき日だ。ブロワーのコンティニュエーションプログラムにとってのみではなく、ベントレーそのものにとっても歴史に残る日だと言っていい。90年ぶりに製造されたブロワーを運転できたことはまさに光栄としかいいようがなく、その品質はティム・バーキン卿も誇りに思うに違いない」。

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なお、この「ティム・バーキン卿」というのは1920年代にベントレーにブロワーを発注したその人であり、バーキン卿のために4台のチームカーが製作されています(そのうちの1台を現在ベントレーが所有しており、これを分解してパーツを3Dスキャンしたということになる)。

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ベントレー・ブロワーの復刻には社外のスペシャリストを起用

なお、ベントレーはブロワーの復刻に際して社外のクラシックカー専門家に協力を仰いでおり、たとえばシャシーはイスラエルのニュートン&サンズ(創業200年)、ラジエターなど金属パーツの多くはヴィンテージカー・ラジエター・カンパニーによって製作。

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リーフスプリングについてはジョーンズ&スプリング、ヘッドライトはヴィンテージ・ヘッドランプ・レストレーション・インターナショナルといった具合ですが、むしろこういった会社が現代でも成り立っていることに驚かされ、思ったよりもクラシックカーパーツの需要は大きいようですね。

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エンジンも当時と「まったく同じ」

カー・ゼロに積まれるのはベントレー創業者、W.O.ベントレーが当時設計した4 1/2リッター。

ただし現代のベントレーではこれを製造するのは難しく、こちらもNDR社など社外の協力を得て製造した、とのこと。

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なお、クランクケースはマグネシウム製、ピストンはアルミ製、そしてオーバヘッドカムシャフトを採用し、4バルブ、ツインスパークなど現代の車にも通じる技術が採用されています。

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そしてキモとなるルーツ製スーパーチャージャーも完璧に再現されており、とんでもない情熱がここに注がれていることもわかりますね。

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復刻版ベントレー・ブロワーのインテリアはこうなっている

そしてこちらはカー・ゼロのインテリア。

レザーに見えるシートの張り材は「レキシン」と呼ばれる人口皮革で(述べ25メートルの生地が使用されている)、シートの中に詰められるのは約10kgの天然馬毛。

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ダッシュボードはこうやってみるとスチームパンク的。

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こちらはスーパーチャージャーの圧力計。

メーターはスミス製を採用しているようですね。

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いったいどう操作するのかわからないスイッチ、そもそも何なのかわからないパーツも多数。

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90年前のクルマのコクピットを見て「操作方法がわからない」と思うのと同様、90年後の人々が2020年のクルマを見たとしたら「どうやって動かすのコレ」を思うのかもしれません。

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今後、このカー・ゼロは実走行によってテストを行ってゆくそうですが、テストコースでの走行8,000キロを含め、ベントレーはトータルで35,000キロを走破する計画を持っていると報じられます。

おそらくこの車は世界中のどの国でも登録できず、したがって公道を走ることはできないと思われますが、クラシックカーレースやラリー(ミッレミリアや北京〜パリモーターチャレンジ)へ出場するオーナーもいると思われ、ハードな使用にも耐えうるだけの品質を持たせることを考えている模様。

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復刻生産されるブロワー12台についてはすべて買い手がついているとされますが、価格については公表されておらず「いったいいくらなのか」不明です。

当然ながら「億」というプライスタグをつけるものと思われ、しかし10億円と言われても納得しそうなクルマですね。

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