
| 新しい世代のエレクトリック・セブンは今までのセブンのデザインとは完全に決別するようだ |
良くも悪くも、セブンはそのデザインをもって「セブン」だと視覚的に認識されている
さて、ケータハムがついにガソリンエンジンを捨て、ピュアレクトリックカーの開発に乗り出す、との報道。
ケータハムは今年で50周年を迎え、これを機に業容拡大を目的とし新社屋に移転することになりますが、これにあわせて新しい”ピュアエレクトリック”セブンを開発するのだと考えてよく、そしてその「電動セブン」の発表があと数カ月内に行われるものと見られています。
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ケータハムは新しいデザイナーを雇い入れる
そして電動化と同じ、もしくはそれ以上に大きな話題が「ケータハムが新しいデザイナーとしてアンソニー・ジャナレリー氏を雇い入れたこと。
同氏は過去にWモータースポーツとともにライカン・ハイパースポーツ、フェニア・スーパースポーツをデザインしたという経験を持ちますが、その後には自身の名を冠したブランド「ジャナレリ」を創業しています。
そしてこのアンソニー・ジャナレリー氏はライカン・ハイパースポーツのように未来的な車のデザインを行なった割に、自身のブランドではレトロなクルマをリリースしており、実際はクラシカルなデザインのほうが好きだったのかもしれません。
そう考えると(近代的なアグレッシブなデザイン、レトロなデザイン両方をこなせる)同氏がケータハムのデザイナーに就任したというのは納得できる話でもありますね。

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ケータハムの思想は変わらない
ケータハムはもともとロータスのディーラーとしてスタートし、しかしロータスがセブンの生産を終了する際に生産設備や販売権利等を引き継ぎ、その後ずっとセブンを(アップデートさせながら)作り続けています。
そしてコーリン・チャップマン時代、そしていまのケータハムに通じる思想としてのコアは「軽量化」。
ただし電動化時代を迎えると、この「軽量化」も非常に難しく、重くなったケーターハムを人々がどう捉えるのかは未知数です。

よってアンソニー・ジャナレリー氏は「私たちは、可能な限り軽量化を図ろうとしています。だから、そこから引き出される性能は素晴らしいものです。そして、この軽さがもたらすのは、ドライビングプレジャーです。キーワードは常にシンプルさ、軽さ、そしてドライビングプレジャーです」とコメントしており、軽さを維持することについては確約済み。
そして電動化となるともうひとつ変化するであろうものが「スタイリング」。
ケーターハムのみならず、多くの自動車のスタイリングが「ガソリンエンジン、トランスミッション、エキゾーストシステム」といったユニットたちのレイアウトに大きく左右されたスタイリングを持っているわけですが、電動化時代となるとそれらユニットから解放されるばかりか、今までの自動車の形状を維持する必要がなくなるわけですね。

よって電動化時代のケーターハムは現在のスタイリングを維持する必要もなくなりますが、まずアンソニー・ジャナレリー氏は「いまのケーターハム・セブンには、スタイリングというものがそもそも存在しないのです」とコメント。
この意図として、ケータハムは「ロータスからスタイリング含めて全てを引き継いだため」独自のデザイン言語を持たないということを指しているのだと思われますが、しかし一方でデザインアイコンとしても確立されており、「ケーターハム」「セブン」のバッジを外したとしても、このクルマを見分けることが非常に容易となっています。

そのためアンソニー・ジャナレリー氏は、この新しいセブンによってこれからの歴史を作るため、「ロータスに由来しない、ケータハムならではのセブン」を作ろうとしており、ケータハムのデザインを持つ最初のクルマになる、とも。
現在「エレクトリック・セブン」がどんなクルマになるのかはわかりませんが、「(現代のセブンの特徴でもある)長いボンネットを持たない」ことにはすでに言及しており、新世代セブンは「レイアウト、重量、デザイン」など、セブンを構成する要素のおよそすべてが変わるということに。
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あわせて同氏は「新しいセブンが誕生するのは、非常にエキサイティングな瞬間です。私の一番の望みは、ケータハムからのメッセージを人々が理解してくれることです」とも語っており、新しいセブンを、人々がセブンだと認めてくれるかどうかについては一抹の不安を感じているもよう。
参考までに、ケーターハムは過去に一度、「セブンのデザインから脱却した」クルマを作ろうとしたことがあり、ケータハム21なるニューモデルを(1994年に)リリースしたものの、結果的には48台しか売れなかったという実績があって、その二の舞は避けなければならない、と考えているのかもしれません。
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参照:Autocar