| ジャガーC-X75は悲運のクルマ |
映画「007スペクター」のスタントカーとして使用されたジャガーC-X75が中古市場に登場。
C-X75はもともと2010年に発表されたコンセプトカーで、2012年に市販化が決定したものの、その後の景気後退によって販売計画が潰えてしまった悲運のクルマでもありますね。
なお、ジャガーはかつてXJ220でも同様の経験をしており、1998年にXJ220のコンセプトモデルを発表した際に注文が殺到。
その後市販を決定するも開発に時間がかかってしまい、発売する頃には世界的な不景気に見舞われたために当初の受注数から大幅(1/5以下)に減った281台が生産されたにとどまる、という結果となっています(同じようにホンダNSXも景気に翻弄されたと言っていい)。
これ以上の個体はないかも。無改造、走行わずか717キロのジャガーXJ220がebayに
C-X75はハイブリッドスーパーカー
C-X75はターボとスーパーチャージャーとで加給した1.6リッターエンジン(なんと503馬力を発生!)、そしてこれに最高で390馬力を発生するエレクトリックモーターをドッキングさせたプラグインハイブリッド。※ジャガーによる解説はこちら
0-100キロ加速は6秒以下(実際には3秒程度であったとされる)、最高速度は350km/hをマークするポテンシャルを秘めており、その価格は予価で1億円程度だったとされています。
結局のところ、上述のように発売には至らず、5台のみがテスト用に製造され3台はオークションにて販売され、残りはジャガーが展示用として保管することに。
映画用C-X75はV8エンジン搭載の特別製
なお「ボンドカー」としてはアストンマーティンが採用されているものの、悪役の乗るクルマとしてはジャガー・ランドローバーのクルマが採用されることが多く、ジャガーは映画製作側からのオファーを受けて3台のスタントカーを新たに製造した、とされています(007スペクターにおいては、MrヒンクスがC-X75をドライブ)。
ただしこれらのC-X75はスペースフレームを用いて製造されるなどオリジナルのC-X75とは異なる部分が多く(オリジナルはカーボン製シャシー)、エンジンも5リッターV8が採用され、要は「外観が同じで、中は別物のクルマ」。
それでも製造はウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングによるもので、ラリー用のサスペンションを持つなど、むしろ「純粋なレーシングカーに近い」仕上がりとなっています。
今回販売されるのはその3台のうちの1台で、走行は750キロ程度、価格は「ASK」。※映画用には7台が製作されたとも言われるものの、3台以外は走行できないモックで、”スタントカー”ではないのかも
なお、メーター上には「SPECTRE(スペクター)」の文字。
ヴィランの乗る車といえども、007映画に登場したクルマに乗る、というのは格別な満足感が得られそうですね。