
| まさかここまでミニが凋落しようとは |
ミニが「需要低下のため」オックスフォード工場の作業員400人を解雇する、との報道。
ミニは他の英国自動車メーカー同様、3月から5月まで工場を閉鎖していますが、5月の生産再開後も「需要が戻らず」、そのために従業員を解雇した上でシフトを3交代から2交代へと減らし、さらには1日あたり1,000台だった生産を800〜900台にまで絞る、とのこと。
なお、現在のところ世界中の自動車メーカーは「悲喜交交」となっていて、需要が戻って増産を行うメーカーもあれば、ミニやマクラーレン、アストンマーティンのように需要が戻らないままのメーカーも。
こうやってみると苦しいのは英国のメーカーばかりであるようにも思えますが、これは「英国のEU離脱(ブリグジット)」も多少なりとも関係しているのかもしれません。
解雇されるのは作業員
報道によると、今回解雇の対象となるのはすべてラインで働く作業員(いわゆるホワイトカラーは影響を受けない)。
そして解雇の対象となる人は9月半ばまでに知らされるとのことですが、事情が事情とは言え、なんとも過酷な現実でもありますね。
ミニの重役でもあるボブ・シャンクリー氏によると「他の自動車メーカー同様、2020年の見通しを変更せざるを得ない。苦渋の決断ではあるが、こうするより他になかった」とのことで、ミニとしても考え抜いた末の決断だったのだと思われます。
捨てる神あれば拾う神あり
なお、幸いなのは「解雇された作業員は、ミニの代理店であるGiグループにて再雇用される」という報道。
これによって、少なくとも生活は保証されることになりそうです。
しかし、一時はかなり好調であったミニが「まさか」こんな事態に陥ろうとはという感じで、ちょうど(ライバルの台頭によって)需要が落ち込んできたところに「ブリグジット」そして「コロナウイルス」というパーフェクトストーム状態となってしまったのかもしれません。
ちなみに現在、日本国内においてはミニの買取価格も急落していて、これは需要そのものが大きく低下している、ということなのかも。
3ドア/5ドアハッチバック以外のモデル、たとえばクロスオーバーやクラブマンの買取は目も当てられない、という話を最近よく聞きます。

米国では作業員不足
参考までに、英国とちょっと事情が異なるのは米国。
たとえばホンダの工場だと、「コロナウイルスへの感染を恐れ、工場の作業員が逃げてしまって工場へと戻ってこない」ため、本来工場では働かないはずのホワイトカラー(事務所勤務)の人々が工場での車両生産に駆り出されているということ。※フォードかGMも似たような事態に陥ったと報道されていた
英国では「余剰人員を切る」という判断がなされているのに対し、米国では「作業員が足りない」ということになり、なんとも不思議な状況がここにあるわけですね。