
| さすがはロールスロイス、考えることのスケールが異なる |
そしてネーミングはまた「現実ではない、儚い存在」から
さて、ロールスロイスは昨日に「歴史的な発表を行う」と予告し、そして本日発表されたのがロールスロイス初のピュアエレクトリックカー「スペクター(SPECTRE)」。
現在ロールスロイスはBMW傘下にあり、BMWと共通するプラットフォームを用いて電動化を進めるのではないかと言われていましたが、今回「独自のスペースフレーム・アーキテクチャ」を採用すると発表しています。
なお、ロールスロイスはガソリン車(新型ファントム以降)においても独自設計のプラットフォームを採用しており、今後BMWとは距離を置く戦略を採用するのかもしれません。

ロールスロイスの車体は「もともと電動化に対応」
今回のスペクターに採用されるスペースフレーム・アーキテクチャは、新型ファントムにて導入されたプラットフォームをベースにしているといい、ガソリン車と電気自動車とで(プラットフォームの)共有が可能になったことについて、「そもそもファントム開発時からピュアエレクトリック化」を想定していたために可能になったといいます。
ファントムが発表されたのは2017年ですが、ロールスロイスは驚くべきことにその6年前の2011年にピュアエレクトリックコンセプト「102EX」を発表しているので、やはり新型ファントムが「電動化を想定して設計された」のは(ハッタリではなく)間違いないということになりそうですね。

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「スペクター」は「レイス」の置き換え?
なお、今回公開されたスペクターの画像を見ると、そのシルエットは「レイス」に近く、よって将来的にレイスと置き換えられる可能性も(レイスとドーンはモデルライフ末期)。
シルエットはレイスに酷似しており、長いボンネット、2ドアのボディスタイル、スーサイドドア(逆開きドア)、傾斜したルーフラインなどが見え、ボディはロールス・ロイスの特徴的なプロポーションを保っていますが、セクシーな曲線と盛り上がったなフェンダーによって「より筋肉質」となっています。
カモフラージュ用に貼られたシートには「現在のデザインとは全く異なる」「完璧にノイズレス」という文字が見られ、相当にロールスロイスが自信を持っていることがわかりますね。

今回このスペクターを紹介するのはロールスロイスCEO、トルステン・ミュラー・エトベッシュ氏ですが、同氏は車名の由来について、「スペクターとは、偉大な力と幻影の代名詞である異世界の生き物であると同時に、儚い姿で存在感を示すもので、その空間を支配し、現れると同時に、爽快感、エネルギー、陰謀の跡を残して消えてゆく存在」だと説明。
つまりは「クラウド」「ファントム」「ゴースト」のように、儚い存在、実態のないもの、手に取ることができないものをイメージした「ロールスロイス伝統の」ネーミングだと言えるかもしれません。※スペクター発表前には「サイレントシャドウ」が車名として採用されるんじゃないかと考えられていた
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ロールスロイス・スペクターは2023年第4四半期に発売予定
さらにトルステン・ミュラー・エトヴェッシュ氏は、「スペクターは、このタイプ(EV)では最初で最高の超高級車」だと称し、「これはプロトタイプではなく本物であり、目に見える形でテストされ、2023年の第4四半期にお客様に最初のお届けをする予定だ」とコメント。
つまりはこのカモフラージュの下に隠される車体は「市販モデル同様」だと考えてよく、ロールスロイスはこの車両をもって「400年の使用に耐えうることを前提とし、世界中のあらゆる条件、あらゆる地形で250万kmの旅に出る予定」だとされています。

ロールスロイスはなぜピュアエレクトリック化に熱心?
ロールスロイスは上述の通り「2011年の時点で、すでにピュアエレクトリックコンセプト」を製作しており、これはかなり早いタイミングだと言えます。
その後ロールスロイスは再びエレクトリックコンセプト「EX103」を発表していますが、気になるのは「なぜロールスロイスはそこまでピュアエレクトリック化に熱心なのか」。
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これについてはいくつかの理由があるとは思われ、まず現代のロールスロイスは「V12エンジン」をほかブランドとの差別化要素として掲げており、しかしこれが遅かれ早かれ(環境規制で)失われてしまうことを恐れていたんじゃないかと思います。
同じだけのパワーを発揮するにはV8エンジンでも問題はなさそうですが、ロールスロイスの顧客が「ベントレーと同じような」エンジンを積むクルマを受け入れたり、小排気量エンジンとハイブリッドを組み合わせたクルマを受け入れるとはちょっと考えにくいとも認識しています。

であれば、いっそのこと「まだ誰もやろうとしていない」ピュアエレクトリック超高級車を作ったほうがロールスロイスらしく、他社と差別化できると考えた可能性が高そう。
実際にロールスロイスは「我々の顧客は、ほかの老朽化したブランドに比べて遥かに柔軟性があり、新しいものを受け入れる受容性を持っている」と語っており、「ロールスロイスは完全なる静寂を実現した車内で知られ、それを維持し、さらに高いレベルに引き上げるためにもピュアエレクトリックは非常に相性がいい」とも(ロールスロイスの顧客は「成功した人々」であり、成功する人ほど変化に寛容、かつ新しいことに積極的だとしている)。
こういった事情がロールスロイスを「フルエレクトリック」へと駆り立てたのだと考えていますが、あとはそのスペックそして内外装についての公開が待たれます。
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