| もし発売されていたらすごく売れていたような気がする |
ブガッティが「市販したかもしれない」コンセプトカー3台を公開。
ブガッティの現行ラインナップは「シロン」のみですが、シロン、そしてその前のヴェイロンが販売されていた頃から常に存在したのが「第二のブガッティ」のウワサ。
つまりはヴェイロンやシロンに加えて発売するクルマということで、これについては「4ドア」「SUV」「シロンよりもコンパクトなスポーツカー」といった様々な話が出ています。
実際に前ブガッティCEOが「4つのニューモデルを計画中」とも語っていて、いずれも実現の一歩手前であったのかもしれません。
今回、ブガッティが公開したのはそれらのウワサがあったことを証明するコンセプトカーたちですが、各々の内容を見てみましょう。
ブガッティ・アトランティック・コンセプト
ブガッティはかつて「シロンの下」に位置するハイパーカーの発売を検討していた時期があり、その際に開発されたのがこの「ブガッティ・アトランティック・コンセプト」。
その名から推測できるとおり、「世界で最も美しいクルマ」と評される1936年型ブガッティ・タイプ57アトランティック(アトランティーク)をイメージしたもの。
実際にブガッティはこれを発売する計画を持っていて、まずは当時(スケッチには2015年とある)のペブルビーチに出展して反応を見ようとしたそうですが、折悪しく発覚したディーゼル不正事件によって”お蔵入り”することに。
フロントグリルやボンネット上に入るラインはタイプ57アトランティック(のスプリットウィンドウ)をイメージしたものだと思われ、サイドにはシロン同様の「Cライン」が見られます。
こちらはその内装。
シロンにも通じるデザインを持っていて、しかしよりシンプルかつより軽快な印象を受けますね。
とくにセンターコンソールあたりはシロンに比較しても近代的でテクノロジーを感じさせるものとなっています。
トランクスペースは広く、2シーターながらも2名分のスーツケースやバッグがらくらく収まる仕様に。
雰囲気的にはスポーツカーというよりはGTカーといった感じですね。
こちらはシロンとの比較。
アトランティック・コンセプトはフロントエンジンであるため、シロンとはプロポーションが大きく異なるということがわかります。
こちらは「アトランティック・ロードスター」。
クーペに続き、ロードスター版も計画されていたそうですが、ディーゼル不正事件にて「すべてが変わった」ということになりそうですね。
なお、このアトランティック・コンセプトの開発には18ヶ月を要し、パワートレーンはV8ツインターボもしくはピュアエレクトリック両方が考慮されていたとのこと。
こちらはガソリンエンジン搭載モデル。
フロントにV8を積み、後輪を駆動することがわかります。
こちらはピュアエレクトリック版。
車体のセンターにバッテリー、インバーター、モーターを集中させ、ロールセンター、前後重量配分の適正化を図っているようですね。
ちなみにモーターは4つで、それぞれのモーターがそれぞれの車輪を駆動する4WDレイアウトを持っています。
この「エレクトリックモデル」については、ポルシェ・タイカンの開発チームと共同にて計画が練られた、とのこと。
ブガッティ・ヴェイロン・バルケッタ
これはヴェイロンが現役であった2008年にブガッティのデザイン開発部門によって考えられたもので、ヴェイロン・グランスポーツ・ヴィテッセをベースにしながらもさらにシンプルなバルケッタへと改装したもので、今流行りの「スピードスター」ということに。
ウインドウはラップアラウンド、そして座席後方には吸気もしくはエンジン冷却のためのシュノーケルつき。
面白いのは”2008年の時点で”すでにディーヴォに通じるヘッドライトのデザインを持っていたことで、自動車のデザインというのは、その会社の中で長い時間をかけて実現されたり、いったんはボツになってもなにかの拍子で実現するケースもある、ということがわかりますね。
ブガッティW16クーペ「レンブラント」
そして最後の一台はW16クーペ・レンブラント。
ちなみにヴェイロンにも「レンブラント」なる限定モデルが存在しますが、このレンブラントとはブガッティ創業者、エットーレ・ブガッティの実弟であるレンブラント・ブガッティの名。
ブガッティはその車名やシリーズ名に対し、ブガッティと縁が深い人物の名を与える傾向にありますが、このW16クーペ・レンブラントもその例にもれない、ということになりますね。
【動画】ブガッティ創業者の弟の名が付与された限定モデル「ヴェイロン・レンブラント」。オーナーの俺がその内外装を紹介しよう
このW16クーペ・レンブラントは、その姿こそアトランティック・コンセプトに似ていますが、V8ではなくシロンと同じ8リッターW16クワッドターボを積むフロントエンジンGT。
ポジション的にはシロンの上を想定していて、数々の専用パーツが与えられる計画であったといいます。
なお、デザイン的にはヴェイロン・バルケッタにも似たものを持っていて、しかし(テールランプ等を見るに)これがのちの「世界で最も高価なクルマ」であるブガッティ・ラ・ボワチュール・ノワールにつながっていったであろうこともわかります。
ブガッティはなぜガリビエールを発売しなかったのか
ブガッティは2009年に4ドアサルーン「ガリビエール・コンセプト」を発表していますが、こちらも販売されること無くお蔵入り。
今回、その理由についてもブガッティによって明確にされていて、これによると「市販化にあたってのデザイン変更が困難だったから」。
ガリビエールコンセプトを発表した後、ブガッティ経営陣は顧客からのフィードバックをもとに「全長を1500ミリ、前高を150ミリ増やすように」という指示をデザイナーに与えたものの、実際に調整してみると”とうていブガッティとは呼べないシロモノになってしまった”とのこと。
こういった「巨大化」の要望は主に中国マーケットからであったと言われますが、当時はまだSUVブームが到来しておらず、「背の高いブガッティ」を発売することが許されない雰囲気があったのかもしれませんね。
ただ、同じ時期にランボルギーニは4ドアサルーン「エストーケ」を発表していて、こちらも「発売秒読み段階」まで行ったとされながらも計画はガリビエールともどもキャンセルに。
当時の背景としては「リーマンショック」があり、これによって(高級品市場が大きく縮小したために)エストーケ計画がポシャってしまったとされますが、ガリビエールについてもこれが影響したことは間違いない、と考えています。
VIA:CARSCOOPS