
| ブガッティは「否定するときには否定をする会社」だ |
さて、少し前に出てきた「リマックがブガッティを買収」という報道ですが、どうやらこれは現実に起こりうる可能性が高くなってきていて、というのも米カーメディアがブガッティのコミュニケーション担当責任者、ティム・ブラーヴォ氏にコンタクトを取ってウワサの真偽を確かめたところ、「ノーコメント」という答えが帰ってきた模様。
つまり否定でははなく「ノーコメント」というところが重要であり、これまでフォルクスワーゲングループにつき、何度かランボルギーニ売却の話が出た際には、噂が出た数時間後という速さで「ランボルギーニは売りに出ていない」と否定を行ったことも。
そのほか、ドゥカティが販売先を探していた際にはそれも否定せず、つまりフォルクスワーゲングループは「事実をちゃんと語る」傾向にあり、よって今回の「ブガッティ売却」について否定をせずノーコメントを貫いたということは「そうなんだろうな」と察するよりほかないわけですね。
ブガッティは「儲かる」ブランド?
そして前出のティム・ブラーヴォ氏が強調した内容として報じられるのが「ブガッティは利益をあげている」ということ。
なお、ブガッティはかつて「ヴェイロンを1台売るごとに6億2400万円の赤字を出していた」と言われるものの、ここ数年はちゃんと利益を出していると報じられており、あらためてそれを主張する形に。
これを今語る意図は不明ではあり、しかしこれは「リマックに売却」という報道から人々が受けるであろう「ブガッティは儲かってないんだな」「ブガッティはもう終わりなのか・・・」という買収や売却に対するネガティブイメージを避けるためだったのかもしれません。
ブガッティをVWに編入した人物の死が状況を変える?
なお、ブガッティは1998年にフォルクスワーゲングループが商標権を獲得していますが、商標権獲得のために動いたのは故フェルディナント・ピエヒ氏。
同氏はポルシェ創業者一族ではあるものの、追い出されるのに近い形でポルシェを出て以来、メルセデス・ベンツやアウディを渡り歩き、アウディでは「クワトロ」という後世にまで残る資産を構築。
その後フォルクスワーゲングループの会長にまで上り詰め、ブガッティに加えベントレーやランボルギーニまでをも傘下に収めています。
さらには数多くのスーパーカー、ハイパーカーコンセプトの製作も主導しており、かの有名な「ローゼマイヤー(8リッターW16エンジン)」も同氏主体のプロジェクト。

そしてこういったコンセプトカー、買収したブランド名を見て分かる通り、同氏は「大排気量、大パワー志向」。
実際にフォルクスワーゲンブランドからも12気筒エンジンを積んだ高級セダン「フェートン」を発売させており、これは目標販売台数の1/4以下だったのに、ディーゼル不正事件で屋台骨がゆるぎ多くのモデルが販売終了となった次期にも(生産が中止されず)生き延びていて、結局は14年もの間に渡り製造されています。
つまりこれは「誰もフェルディナント・ピエヒ氏に逆らえなかった」というひとつの事象を表しているのだとも考えていて、しかし同氏は2019年に82歳にて死去。
そして今、同氏がフォルクスワーゲングループに併合したブランドを「売却しても」いい頃だろうということでなんらかの動きが出ているのかもしれません。