BMWジャパンが「BMWにもデイタイム・ランニング・ライトを標準装備する」、と発表。
プレスリリースによるとその内容は下記のとおりですが、先日のアウディの発表に続いての「標準装備」となりますね。※”イカリング”は通称名だと知っていたが、本当は”コロナ・リング”と呼ぶのは初めて知った
BMWはかなり早い段階から、アウディとともにライトの「光り方」にこだわってきたメーカー。
他のメーカーが「光ればOK」「明るければOK」と考えていた時代に、「光る形状」を気にし始め、ライトの光り方をブランディングに取り入れた数少ないメーカーであり、そのために「イカリング」が登場したとも言えます。
そしてこのイカリングはカスタムとしても人気が出るようになり、改造用パーツを入手するために「ヘッドライトの盗難が増加した」とも報じられたほど。
つまりは「消費者が欲しかったのは、単に明るいヘッドライトではなく、発光する形状に特徴があるもの」だったということになりますが、他の自動車メーカーがこれに気づいたとしても、なかなかすぐにはBMWやアウディのような「特徴的な」光り方をするライトをデザインできず、とくにメルセデス・ベンツやポルシェはかなり迷走したように思います。
最近になってメルセデス・ベンツはつり上がった眉のような形状、ポルシェはクワッドLEDという具合にその「光り方」が定着しているものの、その間にBMWやアウディはさらに先に行ってしまった、という感も。
なおBMWとアウディとの「ライト競争」は熾烈で、BMWが「レーザーヘッドライト初公開」と言えばアウディは「レーザーヘッドライト市販車初搭載」と返し、それはOLEDにおいても似たような感じ。
もともとBMWにもデイタイム・ランニング・ライトは機能として装備されていたものの、日本市場向けの車両は「法規的にグレー」だったためにその機能が隠されていただけではありますが、今回アウディが”標準装備化”を発表したことでBMWは「ウチも発表しないとヤバいんじゃないか」と考えたのかもしれません。
こういった、ライトの「光り方」に対する消費者の要望は「ライトが必要十分なほど明るくなった」ことで「次の次元に対する欲求」として出てきたもの、とも考えられます。
ハロゲン時代にはHIDを人々は求め、次には色温度やLEDヘッドライト、その次は「格好良く」光るヘッドライトということになりますが、しかし自動車メーカーとしては「アダプティブヘッドライトのほうが安全性に貢献するのに」と考えているはず。
これが「供給側と消費者とのギャップ(消費者は実用的しかし見た目が普通のヘッドライトと変わらないアダプティブヘッドライトよりも、見た目が格好良いヘッドライトの方がいい。ぼくもそうですが)」と言えるかもしれません。
これは最近普及しつつある「ドリフトモード」にも言えることで、「加速」や「ハンドリング」が満たされた次の欲望として出てきたもの、とも考えられます。
現代の車は高出力化に加えて電子制御によって「誰でも速く」走れ、曲がれるようになっており、となるとこれに満足できなっくなって「次」を求めた、ということですね(機能を求めるという段階から、その機能によって”何が出来るか”という「質」へと欲望が変化している)。
人の欲望はとどまるところを知らないということになりますが(マズローの欲求5段階のようなもの)、今度は何が出てくるんだろう、と考えたりします。