日本市場は極めて特殊。世界標準と乖離が大きければ大きいほど販売は伸びない
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メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲンなど輸入車各社が2018年における実績を公開。
これによるとフォルクスワーゲンは2年連続で前年超え、メルセデス・ベンツは輸入車における販売ナンバーワンを獲得。
しかしアウディとBMWは(まだプレスリリースの発行はないものの、日本自動車輸入車組合の数字を見るに)苦しい1年を過ごした模様。
メルセデス・ベンツはここ数年、成長基調にある
メルセデス・ベンツ日本によると、4年連続で輸入車新車販売台数No.1、6年連続でプレミアムブランドNo.1を獲得した、とのこと。
メルセデス・ベンツはそれまで首位であったフォルクスワーゲンに取って代わり、その後は順調にその差を広げ続け、その販売台数は67,531台。※メルセデス・ベンツ日本からのプレスリリースはこちら

なお、ソニー損保の統計でもわかるとおり、メルセデス・ベンツの売上は「CクラスとEクラスに依存して」いて、ここが崩れると一気に販売がおs散る可能性がありそう。
逆に考えれば、SUVなど「BMWに負けている」部分を伸ばすことができれば、販売を大きく伸ばせるということになりますね。
フォルクスワーゲンは「日本だけ」伸びていない
そしてフォルクスワーゲンは2014年に「16年ぶり」に首位を奪われることになり、直後のディーゼル不正事件にて大きく販売を落とすことに(それでも2位はキープ)。
ちなみにフォルクスワーゲンは2013年に発表した中期目標にて「2018年には世界販売を1000万台にする」と宣言し、実際に2018年には1083万台という販売記録を打ち立てています。

一方で日本でも「2018年に11万台」という目標を掲げるも2018年の実績は51,958台にとどまり、つまりは目標の半分にとどまっているわけですね。
これについては「フォルクスワーゲンの成長原動力はコンパクトカーであり、これは世界的に見ると競争力があるが、日本市場では、フォルクスワーゲンのコンパクトカーはトヨタ/ホンダ/マツダ/スズキのコンパクトカーに比較して競争力がない」ということに尽きるんじゃないか、と考えています。
世界的に見ると「フォルクスワーゲンは安価なクルマ」という印象が強いものの、日本だと未だに「輸入車」ということでプレミアムカー的な扱いを受けており、日本におけるVWの人気モデルは「ゴルフとビートル」。

たとえばUp!は欧州だとスズキ・スイフトよりも安価ですが(その価格の安さを理由に購入する層が多い)、日本だとスズキ・スイフトよりも高価となり、「特に購入する理由のないクルマ」となってしまうわけですね。
加えて「ゴルフ」の競合としてメルセデス・ベンツAクラス、BMW 1シリーズが勢力を拡大し、こういった「日本だけが異なる」状況を見る限りでは、今後フォルクスワーゲンが日本で伸ばすのは難しいのかもしれません(ビートルのような個性的なモデルがない限り)。
アウディは今後伸ばせそうにない
そしてアウディについては前年比93.4%という結果(26,473台、日本では4位)で、上位メンバーそしてプレミアムカーメーカーとしてはもっとも落としたブランドに。
その理由としては「全体的に価格帯が上がってしまった」ことにあるんじゃないかと考えていて、割安感が薄れたこと、そしてこれまでアウディだけが持ち得た先進性を「他も持つに至った」ためにアウディの競争力が低下しているんじゃないか、と考えています。
そう考えると「今後も厳しい」のがアウディなのかもしれません。
ちなみに世界販売も3.5%落としていますね。※アウディからのプレスリリースはこちら

BMWは「バランス」型
なお、BMWは突出して売れている車種がない代わりに、3シリーズや2シリーズ、5シリーズ、1シリーズなどがバランスよく売れているブランド。
2018年は前年比97.1%の50,982台をマークし日本市場では3位につけており、数字的にはフォルクスワーゲンを狙える水準にあります(あと1000台くらい)。
そしてBMWは新型車の導入が相次いでおり、3シリーズのフルモデルチェンジ、8シリーズやX7の投入などがあり、X2のデリバリーも期待できるところ。
そう考えると「伸びる余地が大きく」、特定モデルに依存していないので「急激に販売が落ちにくい」ブランドなのかもしれませんね。
