| BMWとメルセデス・ベンツは昔からこういったやりとりが多い |
ダイムラー(メルセデス・ベンツ)CEO、ディーター・ツェッチェ氏が5月(今日)でその職を退いていますが、今回BMWが同氏に宛てたユーモア溢れる動画を公開。
ライバル会社がそのCEOの退任にあたって動画を作成するということは非常に珍しく、「よくこの内容を公開したな」と思わせる部分も。
なお、撮影にあたってはメルセデス・ベンツの協力や許可なしにはできないだろうと思わせる部分もあり、これは「メルセデス・ベンツ合意」の動画なのかもしれませんね。
動画では哀愁、そして新たなる人生が描かれる
動画では、ディーター・ツェッチェCEO「最後の日」を描いたものとなっていて、多くの人に惜しまれ、感謝されながら去ってゆく同氏の姿からはじまります。
ありがとう。世話になったね、とばかりにIDカードを受付に返却。
受付嬢も涙を堪えるのに必死といった感じで、いかにディーター・ツェッチェ氏が慕われているかもわかりますね。
記念撮影を行う人も多数。
そして会社が用意してくれた運転手付きメルセデス・ベンツSクラスに乗ってダイムラーを去るディーター・ツェッチェ氏。
多くの従業員が感謝と声援を贈ります。
さよなら、メルセデス・ベンツ・・・。
そして自宅まで送り届けてもらい、去ってゆく運転手を見送るディーター・ツェッチェ氏。
そしてここからがBMWのユーモアが発揮されるところ。
「ようやく自由が訪れた」。
ガレージの奥にはクラシカルなメルセデス・ベンツが見えますが・・・。
なんとディーター・ツェッチェ氏がBMW i8ロードスターに乗って登場!
在任中はライバルメーカーのクルマに乗ることは(立場上)許されないものの、そのCEO職を退任した今、本当に好きなクルマに乗れる、という意味なのでしょうね。
ブイーンと走り去るディーター・ツェッチェ氏。
メルセデス・ベンツCEOの後任はオラ・ケレニウス取締役
なお、ディーター・ツェッチェ氏の後任はオラ・ケレニウス取締役。
ディーター・ツェッチェ氏は13年間メルセデス・ベンツのCEOを務めたことになりますが、2006年の就任以後、2007年のクライスラーの売却、直後のリーマン・ショックという辛い時代を経て、品質の向上やプロダクトラインナップの見直しにより、見事業績を回復させた手腕が高く評価されています。
同氏はイスタンブール出身で、パダーボン工科大学卒業後の1976年にダイムラー・ベンツ(当時)に入社し、”叩き上げ”でCEOにまで上り詰めた人物。
業績が悪化した2006年にCEOに抜擢され、「尻拭い」をさせられる的印象があったものの、コストの掛かる本社ビルを売却したり、社名変更を行ったりという抜本的改革を行うなど(いい意味で)”壊し屋”と呼ばれたことも。
「自動車業界でもっとも立派なヒゲを持つ」ことでも知られ、なかなかのファッショニスタとしても有名ですが、いったんCEOを退いた後、2021年にはダイムラーの監査役会長として復帰する、とも伝えられています。
なお、メルセデス・ベンツとBMWはライバル関係にあるものの、けして仲が悪いわけではなく、今回の動画でも「長い間、競争のインスピレーションを与えてくれたことに感謝」とのメッセージも。
過去にはメルセデス・ベンツからBMWへ、そしてBMWからメルセデスAMGへとお祝いのメッセージを交換したこともありますね。
それでは動画を見てみよう
こちらがメルセデス・ベンツ会長「最後の日」を描いた動画、「Retirement is about exploring your wide open future.」。