| いっときのBMWはとにかく大排気量、パワー志向であったようだ |
BMWはけっこう過激な自動車メーカーであったこともよくわかる
さて、BMWはかねてより「発売されなかったプロトタイプ」をときどき公開していますが、今回もまたそういった「生産の許可が下りなかった」クルマたちを紹介しています。
これらは現在ミュンヘンにあるBMWミュージアムにて展示されており、動画に登場する内容としては「M5コンバーチブル、V12エンジンを搭載したZ3、ル・マン用レーシングカーと同じエンジンを積んだM8」。
いずれも劣らぬ強烈な個性を放ちますが、ここでその内容を見てみましょう。
M5コンバーチブルはワンオフに終わる
まず動画のトップを飾るのはM5コンバーチブル。
M5はセダン、もしくはワゴンボディの「ツーリング」しか存在せず、よってこれをコンバーチブル化するのは至難の業であったかと思われ、動画を見る限りでは、ドアはフロントのみが生かされており、後部ドアはリアフェンダーへと統合されているようです(後部ドアは開閉しない)。
なお、「4ドアコンバーチブル」を作ることは(後部ドアの支柱の強度の問題で)非常に実現が難しく、おそらくはBMWもこのM5コンバーチブル製作においてかなり頭を悩ませたのかも。
インテリアにおいても「普通のM5」ではなく、フルオープン化されたことでシートベルトの取付部がピラーからシートへと移動しています。
大人4人がゆったり乗れるハイパフォマンスカー、そしてオープンモデルとしてはかなり魅力的な存在でもありますね。
このほか、ソフトトップを収納するために大きなリアトランクを備えたりといった外観上の変更はあるものの、足回り、そしてエンジン含むドライブトレーンは通常のM5と同一なのだそう。
発売に至らなかった理由については触れられておらず、まさに「悲運のクルマ」といったところですね。
BMW Z3”V12”は「やりすぎ」
そして次はZ3(Mロードスター)にV12エンジンを突っ込んでしまったというクルマ。
当時の8シリーズに積まれていた5.4リッターV12エンジンを無理やり押し込んだもので、「よく入ったな」という印象があるものの、予想通り重量配分がとんでもないこととなっており、「やりすぎ」という評価とともにお蔵入りになったと紹介されています。
ちなみにですが、ぼくはBMW Z3に乗っていたことがあり(2リッター6気筒モデル)、この状態でも前後重量バランスがかなり悪かったと見え、リアバンパーの中に「おもり」が仕込まれていたのを発見した際には大変なショックを受けたことを思い出します(パッケージングにて前後の重量配分を最適化せず、重量増加を承知の上で、安易におもりを取り付けることによって問題を解決したため。それ以来、ぼくはBMWに対して不信感を持っている)。
ちなみにこの個体はけっこう有名な存在だそうで、これまでにも様々な場面に登場しているようですね。
BMW M8にル・マン・レーサーのエンジンを搭載したことも
こちらのM8は以前に別の動画にて紹介され、のちにル・マン24時間レースを走ったレーシングカーに搭載されるエンジンの「ベース」でもある6リッターV12エンジンが装着されています。
ちなみにこのエンジンはドライサンプを採用しており、エンジン搭載位置を下げたためにオイルクーラーを設置する場所がなくなってしまい、燃料タンクともどもリアトランク内に移設されることとなっています。
さらに、オイルクーラーとエンジンとのオイルの循環は「ルーフ内に通したパイプ」をもって行うのだそう。
なお、驚くのは「アイドリングが2000~3000回転」ということで、このクルマに関してはむしろ「発売しなくて正解だったな・・・」という感じです。
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ちなみにこのM8プロトタイプは20年ほどその存在が隠されていたとのことですが、最近になってようやくレストアがなされることに。
BMWは過去にも「7シリーズにV16エンジンを押し込んだ」ことがあり、けっこう過激なことをやっていたんだな、と驚かされますね(割と大排気量が好きだったようだ)。
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そのほか動画では3.0CSLや・・・。
3.0CSLオマージュ、M1オマージュといったコンセプトカーも登場し、その豪華な展示内容を見ることができます。
BMWが「発売されなかったクルマたち」を紹介する動画はこちら
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参照:BMW M