| 昔、キミ・ライコネンが観客席に投げてチームから大目玉を食らったことがあるような記憶がある |
メルセデスAMGペトロナス F1チーム所属、バルテリ・ボッタス選手が自身の乗るF1マシンに装着されるステアリングホイールについて解説。
F1マシンは(ペダル以外の)操作をすべてこのステアリングホール上にて行うため、ご覧のように非常に複雑な構造を持っています。
なお、フェラーリはF1からの「技術的フィードバック」とし、最新市販モデルであるSF90ストラダーレのステアリングホイールにF1由来の操作方法を一部取り入れたほか、「手はステアリングホイールに」という思想のもと、ステアリングホイール上で車両操作のほとんどを行えるような設計を行っていますね。
F1のステアリングホイールは最重要保安部品のひとつ
F1のステアリングホイールは、こういった「すべての操作を司る」という性質上、「クラスA」なる最重要部品に指定され、レースごとのメンテナンス、一定距離走行ごとの検査が義務付けられている、とのこと。
たしかに「スイッチが壊れた」となると大事故に繋がりそうですが、そういった話も聞いたことがないので、かなり厳密に管理されているということなのでしょうね。
そしてF1のステアリングホイールはドライバーにあわせてひとつひとつ専用に製造され、形状やスイッチの位置も違う、と解説。
サーキットにもよりますが、一周走るのに50回にも及ぶシフトチェンジを行い、ブレーキバランスやデフ、ディスプレイの設定を2~3回変更することになるようです。
そしてF1マシンの走行中は振動が大きく、かつドライバーはグローブを装着しているために操作環境に優れるとはいえず、ステアリングホイール上には誤操作防止用のカバーというかガードのようなものも装着。
これはコースによって変更できるよう、交換可能な構造を持っています。
なお、メルセデスAMGは腕時計メーカーのIWCとパートナーシップ関係にありますが、こんな感じでグローブに「腕時計がプリント」されているのは面白いですね。
F1マシンのステアリングホイールはこうなっている
そしてF1マシンに採用されるステアリングホイールについてですが、まずはグリップ。
ボッタス選手のグリップはラバー製で、これも当然選手ごとに異なるようですね。
このロータリースイッチはエンジン出力を調整するもの。
16段階という相当に「小刻み」な設定が設けられていることがわかります。
なお、フェラーリはSF90ストラダーレにて、この「ロータリー式」スイッチをステアリングホイール上に取り入れていますね。
こちらはピットレーンのスピードリミッター。
これを押すと速度制限がかかり、コースによっても違うそうですが、ピットレーン規定の時速60キロ-80キロまでしか速度が上がらなくなるそうです。
無線ボタン。
これを押すことでこちらからの音声を送ることができます。
デフの効きもロータリースイッチで調整可能。
カーブの入り口、途中での効きを個別に設定できるようですね。
そのほか「高速カーブ用」の調整スイッチも。
車両を停止させ、ニュートラルに入れる際の「ニュートラル」スイッチ。
ボッタス選手いわく「使ったこと無い」。
それでは動画を見てみよう
こちらがバルテリ・ボッタス選手によるメルセデスAMG製F1マシンのステアリングホイールについて開設する動画、Valtteri Bottas Explains 2019 Mercedes F1 Steering Wheel」。
こちらはドーナツメディアの解説する、F1マシンに装着されるステアリングホイールの変遷動画、「The Evolution of F1 Steering Wheels」。
現在のような複雑なスイッチ類を持つようになったのは、おおよそ2014年あたりのようですね。
関連投稿
1957年から現代まで。F1のステアリングホイール変遷を一覧できる動画が公開に
おなじみドーナツメディアが「1957年から現在に至るまで、F1のステアリングホイール変遷」をたどる動画を公開。
各時代におけるステアリングホイールの素材や加工、そして機能、アイルトン・セナなど固有のドライバーが使用したステアリングホイールも紹介。
各ボタンの機能や、なかなか見ることのできない「裏側」までも動画で見せています(中には珍ステアリングホイールも)。
なお、ドーナツメディアはフェラーリ458とトヨタ86とのニコイチ、「4586」を制作したメディアでもあり、これまでも様々な動画を公開。
なかでもこの「変遷」シリーズは大変参考になります。
F1マシン(ロズベルグ用)のステアリングホイールの機能はこうなっている
motorsport.comにて、メルセデスF1に採用されるステアリングホイールの機能を公開。
ここではF1に使用されるテクノロジーなどを紹介しており、非常に参考になります。
一部を記載すると、下記の通り。
【左上】
オレンジのOTボタン・・・オーバーテイク時にフルパワーになる
赤いBBボタン・・・ブレーキバランス
グリーンのNボタン・・・ニュートラル
青いダイアル(FINE)・・・デフのファインチューン
【左下】
+10ボタン・・・LCDディスプレイのクイックメニュー
黄色のMARKボタン・・・テレメトリーにてマークしたポイントをマーク
【右下】
黄色のLIMITTERボタン・・・ピットレーン走行時の速度制限用
+1ボタン・・・LCDディスプレイのページを1ページづつめくる
グリーンのダイアル(EB)・・・ブレーキバランス
【右上】
RADIOボタン・・・無線でピットクルーと話すときに使用
BB+ボタン・・・ブレーキバランスをポジティブ「+」に変更
DRSボタン・・・文字どおりDRS作動ボタン
グリーンのダイアル(MID)・・・中速コーナーでのデフの効き調整
相当な種類のボタンやダイアルがあり、それぞれ複雑な機能を有していて、走行中に頻繁に触るものはさほど多くないとはいえど、これらを全て記憶していないといけないというのはなかなかの記憶力を要されそうですね。
同じチームといえどもドライバーによってステアリングの形状やボタンの配置も異なるようですが、デフ、ブレーキバランスに関するボタンやダイアルが多くなっているようです。