| ここまで詳細なメルセデス300SLRのレビューは存在しなかった |
おそらく今後もこの2台がメルセデス・ベンツの敷地から出ることはないかもしれない
さて、その価値110億円とも言われるメルセデス300SLRクーペのレビュー動画が登場。
この希少なクルマを紹介してくれるのはお馴染じみスーパーカーブロンディさんですが、その場所はメルセデス・ベンツ「クラシックセンター」。
このメルセデス300SLRクーペはわずか2台のみしか生産されず、その2台とも現在メルセデス・ベンツが保管している、とのこと(つまり門外不出)。
ここでこのメルセデス300SLRクーペがどんなクルマなのかを見てみましょう。
メルセデス300SLRクーペはある意味で「悲運のクルマ」
このメルセデス300SLRクーペは1950年代に様々なレースで活躍した「メルセデス300SLR(ロードスター)」のクーペ版。
メルセデス・ベンツ300SLRロードスターは、スターリング・モス卿がステアリングを握って1955年のミッレミリアを制したことで知られますが、このレースでスターリング・モスと300SLRは、イタリア半島を97.96mph(157.650km/h)の平均速度にて900マイルを走りきり、ミッレミリアの新記録を樹立しています。
-
世界限定75台、メルセデス・ベンツSLRマクラーレン・スターリング・モスが競売に登場!予想落札価格は2.7億、今後も価値は上がれど落ちることはなさそう
| 何年に一度かは売り物が出てくるようだ | さて、ときどき売り物が出てくる「メルセデス・ベンツSLRマクラーレン・スターリング・モス」。これはメルセデスSLRマクラーレンの購入者を対象に75台のみが ...
続きを見る
そしてメルセデスは300SLRのクーペ版を製作し、レースを走らせる予定ではあったものの、折悪しく発生したのが「1955年のル・マン2時間レースでの悲劇」。
プライベートチームの300SLRがトップを争っていた際、ピットストレートにてジャガーDタイプがピットインしようとして減速した折、オースチン・ヒーレー1100Sもそれを避けようとして回避行動を行い、その後ろを走っていたメルセデス300SLRがオースチン・ヒーレー1100Sに乗り上げる形で宙を舞い、そのまま観客席へと落下しています。
300SLRのボディにはマグネシウムが多く使用されていたため勢いよく車体が燃え上がり、結果としてモータースポーツ史上最悪となる「観客83人が死亡、180人以上が負傷」するという事故が起きてしまい、この事件をきっかけに、メルセデス・ベンツはモータースポーツからの撤退を決定することに。
これによって、300SLRクーペのプロジェクトは消滅し、2台のプロトタイプが製作されるにとどまったわけですが、1台は放置され、もう1台はメルセデスのモータースポーツ部門責任者であるルドルフ・ウーレンハウトが毎日通勤に使っていた、と言われます。※現在、メルセデス・ベンツはこの2台をプライベート・コレクションとして保管している
-
【動画】ル・マンで史上最悪の死亡者83名を出したメルセデス・ベンツ300SLR。そのクーペ版を見てみよう
| 栄光と挫折をメルセデス・ベンツに与えたレーシングカー | メルセデス・ベンツが動画にて「300SLR」を紹介。 この300SLRは1955年のミッレ・ミリアでサー・スターリング・モスとファン・マヌ ...
続きを見る
メルセデス300SLRはこんなクルマ
そこでこのメルセデス300SLRですが、有名な「ガルウイングドア」を装備。
なお、このドアが採用された理由は「車体強度を向上させるためにサイドシルを高く分厚くしたたため、クーペ化すると(通常のドアだと)乗り降りが困難になり、その解決策がガルウイングドアだった」から。
たしかにガルウイング採用によって頭上スペースに余裕ができており、乗降がずいぶん容易になってるものと思われます。
なんとか足を引き込むスーパーカーブロンディさん。
ちなみにクラッチペダルはこの左側にあるもので、その右にあるトンネルをまたいで・・・。
右にあるのがブレーキペダルにアクセルペダル(とんでもない配置だ・・・)。
こちらはシフトレバー。
リバース時にはこのロックを外し、それによって現れるスペースにギアを入れます。
スイッチ類はこんな感じ。
こちらはエンジンルーム。
トランクはこのレバーを引いてオープン。
中にはスペアタイヤ。
メルセデス300SLRクーペのエキゾーストサウンドは「爆音」だった
そしてこの動画のハイライト、メルセデス300SLRのエンジン始動ですが、これについてはメルセデス・ベンツのスタッフに任せることに。
なんとか車内に身を滑り込ませ・・・。
エンジンをスタートさせると、このサイド出しマフラーから爆音が発せられることに。
白煙がもうもうと上がりますが、とにかくとんでもない爆音に驚かされます。
それにしてもこの世のものとは思えないサウンド。
時代が異なるとはいえ、これを毎日通勤に使用していたというのは驚きですね。