
| やはり耐久レースを走ってこそのポルシェ |
ポルシェは2017年にル・マン24時間レース含むWEC(世界耐久選手権)から撤退している状態ですが、今回「プロトタイプレースに復帰する」と発表。※画像は今回のアナウンスとともに公開された新型レーシングカーのイメージ
なお、ポルシェの属するフォルクスワーゲングループは最近重要会議を開催したと見え、そこでは(今回のポルシェの耐久レース復帰のほか)いくつかの大きな決定がなされている模様。
ひとつは売却を検討していたランボルギーニとドゥカティについて「売却しない」こと、そしてもうひとつは「ベントレーをアウディ直下に移動させ、アウディに管理させる」こと。
さらに大きな流れとしては電動化推進、加えてシナジー効果の追求、固定費の削減といったところが挙げられています。
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フォルクスワーゲングループが目指すは経営の効率化
こういった決定の根幹にあるのは、現在保有する13ブランド(フォルクスワーゲン、アウディ、ベントレー、ブガッティ、ランボルギーニ、ポルシェ、セアト、シュコダ、MAN、スカニア、フォルクスワーゲン・コマーシャルビークル、ドゥカティ、イタルデザイン)内にて同じ内容の研究開発を行なうという無駄を排したり、同じジャンル(マーケットであっても、モータースポーツであっても)で競わないこと、リソースの共有という”効率化”にあるのだと思われますが、今回のポルシェ「WEC復帰発表」を見るに、(特定分野の)モータースポーツにおいては”VWグループを代表してポルシェが戦う”ということになりそうですね。※それでもアウディとポルシェとは一部セグメントがオーバーラップしている
実際のところ、フォルクスワーゲンそのものはモータースポーツから撤退すると発表されており、こういった端々の発表を見てゆくと「なるほど、あれはここに繋がってくるのか」と思える部分も出てきます。
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ポルシェはハイパーカークラスにも参戦?
なお、ポルシェが新たに使用するのはLMDh規定のレーシングカーだと報道されており、これはIMSAのトップカテゴリのほか、WECのル・マン・ハイパーカークラス、つまりLMHにも参戦が可能とのこと。
LMDhが正式に採用されるのは2023年からなので、参戦はそこからとなる可能性が高そうですが、ポルシェがWECに復帰するのは喜ばしいニュースでもありますね。
現時点で具体的なタイムテーブル、参戦するレースは明らかではなく、しかしポルシェのCEOであるオリバー・ブルーメ氏によると「LMDhカテゴリーは、我々にル・マン、デイトナ、セブリングといったクラシックレースにおいて総合優勝を争う機会を、低コストで与えてくれる」とのことなので、少なくともこれらに参戦するのは間違いなさそう。
さらに、ポルシェの研究開発担当取締役を務めるマイケル・シュタイナー氏によれば、ポルシェは中期的に「ピュアエレクトリック」「ハイブリッド」「内燃機関」という3つに焦点を当てており、ピュアエレクトリックについてはフォーミュラE、内燃機関についてはGTレースにおいてこれを追求しており、今回のLMDhについては「ハイブリッド」となるため、ポルシェの考える”三部作”をここで実現できると認識しているようですね。
ハイパーカークラスでは宿敵「トヨタ」とポルシェとの戦いが再現?
ポルシェとトヨタはル・マンにおいて熱い戦いを繰り広げたものの、トヨタがポルシェに一矢報いる前にポルシェが撤退。
よってトヨタは「手応えのない」ままに過ごしているものと思われますが、ポルシェがル・マン24時間レースのLMHクラスに出場するとなると、すでにこのハイパーカークラスへの参戦を表明しているトヨタとの直接対決が再び見られる、ということになります。
ポルシェはル・マン撤退後も「WEC参戦チームを解体せずに残して」いましたが、もしかすると今回の”来たるべき時”に備えていたのかもしれません。
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ポルシェのオフィシャル動画、「We Will Back」はこちら
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参照:Autosport web, Porsche