1995年製のポルシェ911(993)カレラRS3.8がオークションに登場予定。
これはGT2に継ぐハードコアな993世代の911であり、ホモロゲーション獲得のために販売されたもの。
エンジンには鍛造ピストン、冷却系にはデュアルオイルクーラーを装着し出力は300馬力に達しますが、これは当時「自然吸気エンジン搭載の911ではもっともパワフルな」数字となっています。
加えて大幅に車体が軽量化されており、遮音材の省略、ウインドウ類を薄いものへ交換し、、内装も簡略化してエアコンやオーディオも「レス」。
エアバッグやヘッドライナーも省くという徹底ぶりですが、これによって重量はGT2よりも軽量な1280キロへとダイエット。
もちろんサスペンションもストラッとともに強化され、ブレーキなどは911ターボのものを流用している、とのこと。
なおこの車両は「クラブスポーツ・エアロパッケージ」を装着していますが、この世代における911のエアロパーツは大きくうねっているのが特徴。
リアウイングの造形もそうですが(ターボだともっとダイナミックな形状)、サイドステップ形状も今ではあまり考えられないデザインを持っていますね(かろうじてこの後の世代、996GT3との共通性が見られる)。
総販売数は不明ですが、アメリカへと輸入されたのは1,114台、とされています。
整備手帳や保証書など書類も完備。
走行距離は25,000キロと少なくはないものの、その希少性を反映して予想落札価格はなんと5600万円。
内装はドアパネルが「平面」となるなど外装以上にスパルタン。
サイドウインドウの昇降は電動機構を残しているように見えます。
スピーカーレスとのことですが、グリルは残っているようですね。
ポルシェは(今でもそうですが)スポーツカーについては「基本性能を高める」ことに重きを置いており、昔から「足回りを固める」「パワーアップ」「軽量化」を追求して運動性能を向上させる、という方向性。
1989年に発表された日産GT-R(R32)はテクノロジーをもって速さを達成していましたが、それはポルシェにとっても驚愕であったと思われるものの、それでも当時発表された911カレラRS(このときは964)は「足回りを固める」「パワーアップ」「軽量化」を突き詰めた車であり、「ああやっぱりポルシェはポルシェだ」と感じた記憶があります。
現在のポルシェにおいて、テクノロジーの追求は「911ターボ」、ピュアな運動性能だと「911GT3」と方向性が分かれており、GT3においてはやはり、昔と変わらない考え方が貫かれているのはうれしいところではありますね。