| ただ、今や情熱的なクルマを作ることは社会的に許されない傾向にある |

カーメディア、Motor Authorityがフォルクスワーゲン北米CEO、スコット・コー氏の「フォルクスワーゲンは、かつて情熱的な車をつくるブランドだった。そして、今後も人々を熱狂させるようなクルマを作ってゆかねばならない」という発言を紹介。
これは本社ではなく北米法人代表の発言でもあり、具体的なアクションが取られているかどうかがわからないので、今後実際にフォルクスワーゲンのクルマがどうなるのかは不明ですが、たしかにかつてのフォルクスワーゲンは情熱的なクルマを作っていたようにも思います(ゴルフⅠやゴルフⅡ世代のGTIはそうだった)。
フォルクスワーゲン「本社」はもう情熱的なクルマを作らない?
ただ、フォルクスワーゲンの社名自体が「人民車」という意味であり、現在はそのまま普及価格帯のクルマを作るにとどまるのもまた事実。
「ビートル」といった個性的な車の生産を終了させ、エレクトリックカーシリーズ「ID」をスタートさせるにあたり、ますます「移動のための足」といった性質が強くなるほか、VWは公共移動手段の開発にも力を入れている、と報じられています。

今回のフォルクスワーゲン北米からの発言については、そういったVW本社の動きとの乖離を感じてはしまいますが、北米ではクルマを移動手段ではなく趣味として捉える傾向が強く、よって車名についても欧州だと「味気ない数字とアルファベット」が多いのに対し、アメリカ車では「マスタング」など感情移入ができる”名前”が多いようですね。
実際に、(一般の人でも)目的地が決まっていなくとも運転を楽しむためにクルマに乗る、つまり「ドライブ」といった行為がアメリカでは普通であるものの、欧州だと「行き先も、用もないのに車に乗るというのは理解できない・・・」という相違もある模様。
たしかにアメリカではスタジアムに土を盛って、クルマ同士の(お互いに破壊し合うような)ガチンコバトルといったイベントも見られ、クルマの捉え方がちょっと特殊なのかもしれません。
さらに「モータースポーツ」が重要視されるのもアメリカのマーケットのひとつの特徴で、そのメーカーがモータースポーツに参戦しているかどうか、がけっこう大きく販売に影響を及ぼすという話も聞かれます。
なんの感情も呼び起こさない車はつまらない
そう考えると、そのメーカーが「情熱的な」、つまり見たり触れたりすることでなんらかの感情変化を感じさせるようなクルマを作ることは非常に重要なのかもしれません。
そういった「感情変化」を感じさせる要素は人によって様々で、自動車メーカーによってもその手法が異なるとは思いますが、「没個性な、単なる移動手段としての」クルマには人々は心を動かされることはなく、かつてフォルクスワーゲンが「情熱的なクルマを作る自動車メーカー”だった”」のと同様、多くのメーカーも昔ほどは情熱的なクルマを作ることが少なくなり、それがまわりまわって、世界規模での「クルマ離れ」に繋がっているのでは、と考えることがあります。
