フェラーリF12ベルリネッタと488GTBという「同門」によるドラッグレース。
F12ベルリネッタは(812スーパーファスト登場前まで)フェラーリのフラッグシップモデルですが、スペックを見る限りターボパワーの488GTBにはちょっと対抗できないんじゃないかと考えていたものの、さすがの貫禄を見せて終始488GTBをリードしたままゴール。
なお両者のスペックとしては488GTBが3.9リッターV8ツインターボ(670馬力)、重量1370キロ。
F12ベルリネッタは6.2リッターV12(740馬力)、重量1525キロ。
ただしトルクはF12が670Nm/6000回転、488GTBが670Nm/3000回転と(パワーに比べ)逆転しており、パワーウエイトレシオも488GTBが2.04とF12ベリルネッタの2.06より優れた数字。
トランスミッションは両方とも7速DCT、駆動輪は両方とも後輪のみではあるものの、488GTBはトラクションに優れるミドシップ、F12ベルリネッタはフロントエンジンと決定的な差があります。
これら数字を見るとやはり「488GTB優勢」とも思えますが、F12の走りを見ていると、やはりフラッグシップはフラッグシップであった、と言えそうですね。
なおフェラーリV12モデルとV8モデルとの間にも「ポルシェにおける911とボクスター/ケイマン」同様の差があると考えていて、フェラーリの場合V12モデルはその歴史上のイメージ、そしてエンツォのこだわりを反映させた「フロントエンジン」からなかなか抜け出せず(512やテスタロッサはミドシップですが)、そして基本的な運動性能においてFRはミドシップに一歩譲る、というジレンマを抱えているのかもしれません。
ポルシェも同様で、「リアエンジン」よりも「ミドシップ」のほうがレイアウト上優れるにもかかわらず、「911はスポーツカーレンジのトップ」という呪縛があるため、ボクスター/ケイマンのパフォーマンスをあまり上げることができないという状況(何らかのキャップとも考えられる)があり、しかし周囲のライバルがどんどんパフォーマンスを高めてゆく中で「どうする」という困った雰囲気があるようには感じられ、偉大な資産を持つというのも時と場合によっては「それを崩せない」苦しさもある、と気付かされます。
ポルシェの場合は「徐々に」こういった環境が変化しているように思われますが、歴史が長い時間をかけて構築されてきたのと同様、それを変化させるにも「長い」時間が必要とされるのでしょうね。