夜勤明け、体調の優れない母親の代わりに働きに出た矢先のことだった

台湾の焼肉レストランにて働く20歳の青年、リンさん。
彼はその日夜勤明けで帰宅したのは午前3時。
そして翌朝5時40分には具合の悪かった母親に代わって(本来母親がゆくはずだった)配達を買って出るものの、眠気に勝てずついつい居眠り運転してしまい、路肩に駐車していたフェラーリ数台へと突っ込んでしまう事故を起こすことに。※報道では三台のフェラーリと報じられるも、画像だと四台が確認できる
報道の観点によって印象が異なる
なお、「20代の若者が朝っぱらにフェラーリに激突」と聞くと、「どうせ朝帰りの酔っ払いが無謀運転でもしたんだろう」という印象を持ちますが、事故から数日後の報道では彼が真面目な青年であることが報じられており、父親を亡くして母親と二人で真面目に働いていたこと、飲酒はしておらず単に夜勤明けで単に疲れていただけであったことが判明。
どこかで読みましたが(出典失念)、たとえば
女子大生が夜、水商売の店で働いている
と、
水商売の女性が、昼間に大学に通っている
とでは”同じ事実なのに”印象が異なるという話があり、前者は「遊ぶ金欲しさに安易な選択をしている」、後者は「何か事情があり、学費を自ら稼ぎながら勉学に勤しんでいる」という印象を受けるわけですね。
それはともかくとして、このリンさんの身の上が報道されるや否や台湾中から同情が集まり、募金が開始されることに。
今回事故に遭ったフェラーリの修理代金は総額で4300万円ほどだとされますが、これはリンさんの毎月の給料(13万円)だと28年分に相当する金額。
「母親を助けようとしたのに、ものごとがより悪い方向へと向かってしまった」
リンさんは保険に加入していなかったようでこの額を支払うことは難しく、事故の瞬間についてこう語っています。
その瞬間、ぼくは「もうダメだ」と思った。
母に迷惑をかけてしまったこと、多くのお金を支払わなくてはならないことをまず心配した。
ぼくは母を助けたかっただけなのに、物事がさらに悪い方向へと進んでしまった。
良い行いをしようとしたのに不幸を招く様子はまるで映画「ビューティフル」のようですが、そんな彼を助けようとする人も多く、報道直後から彼を励ましたり、金銭を提供したいという人も多数登場。
さらに台湾の有力者が基金を設立したとも報じられ、これまでに100人以上が募金を行い、中には一人で70万円以上を寄付した人も。
現在は270万円ほどが集まっているそうですが、この勢いだとすべての修理費用をまかなえるほどの金額が集まるかもしれませんね。
今回の事故が「災い転じて福となし」彼をこの負のスパイラルから救い出すきっかけになることを願ってやみませんが、これが日本だと高須クリニックの高須院長が助けてくれるんだろうな、と思ったりします。
幸いにもけが人はなし
なお、今回の事故においてリンさん自身、そしてフェラーリのオーナーさん達にもけがはなく、まさに不幸中の幸い。
フェラーリはこれからツーリングにでかけるために集まっていて、オーナーさん達は車外に出ていたために人的被害がなかったようです。
駐車していたフェラーリに突っ込んでしまったのは不思議に思うところがあるものの、人は運転中に意識が朦朧とすると前方の車についてゆこうとし、停車中の車であってもその後ろにつこうとして追突事故を起こすと運転免許更新の際に聞いたことがあり、リンさんも「前の車についてゆかねば」と考えてフェラーリの方へ向かったのかもしれませんね。