
| ビジネススタイルの差が7月の明暗を分けたが、まだ勝負はわからない |
さて、2020年7月の輸入車登録。
全体としては18,338台を登録し、これは前年比で82.1%という数字です。
メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、BMW、アウディといった上位は販売を回復しつつあり、当面の危機を脱したのでは、という印象も。
反面、振るわないメーカー/ブランドもあるようですが、ここでその内容を見てみたいと思います。
2020年7月の輸入車登録はこうなっている
下は2020年7月の輸入車登録。
前年比100%を超えてきたブランドもいくつかあり、ボルボ、フィアット、ロールスロイス、フォードは前年超えとなっています。
順位(累計) | ブランド | 当月販売台数 | 昨年同期比 | 今年の累計 | 昨年同期比 |
1 | メルセデス・ベンツ | 4,620 | 89.6% | 29,595 | 80.2% |
2 | フォルクスワーゲン | 2,537 | 71.6% | 20,525 | 74.3% |
3 | BMW | 2,498 | 72.9% | 18,318 | 68.1% |
4 | アウディ | 1,476 | 103.8% | 10,761 | 84.5% |
5 | MINI | 1,670 | 92.5% | 10,143 | 70.5% |
6 | ボルボ | 1,310 | 101.2% | 8,737 | 82.7% |
7 | ジープ | 998 | 92.4% | 6,753 | 93.4% |
8 | プジョー | 734 | 71.7% | 5,058 | 78.6% |
9 | ポルシェ | 263 | 44.1% | 4,029 | 105.1% |
10 | ルノー | 470 | 80.5% | 3,481 | 78.6% |
11 | フィアット | 393 | 110.4% | 2,889 | 80.1% |
12 | シトロエン | 352 | 92.9% | 2,301 | 103.9% |
13 | ランドローバー | 224 | 86.8% | 2,076 | 79.6% |
14 | アバルト | 138 | 78.4% | 1,388 | 87.3% |
15 | ジャガー | 106 | 53.3% | 780 | 39.7% |
16 | アルファロメオ | 66 | 41.8% | 762 | 52.3% |
17 | フェラーリ | 47 | 49.0% | 595 | 115.1% |
18 | マセラティ | 63 | 69.2% | 440 | 61.3% |
19 | ランボルギーニ | 21 | 25.6% | 431 | 96.9% |
20 | DS | 73 | 61.9% | 389 | 86.8% |
21 | キャデラック | 31 | 59.6% | 278 | 97.9% |
22 | ベントレー | 48 | 96.0% | 269 | 82.5% |
23 | フォード | 39 | 117.9% | 226 | 97.0% |
24 | ダッジ | 25 | 61.0% | 210 | 89.7% |
25 | ロータス | 15 | 75.0% | 138 | 116.0% |
26 | マクラーレン | 15 | 83.3% | 122 | 58.4% |
27 | スマート | 1 | 0.8% | 119 | 7.7% |
28 | アストンマーティン | 16 | 76.2% | 114 | 60.0% |
29 | ロールスロイス | 18 | 120.0% | 113 | 102.7% |
30 | シボレー | 11 | 20.4% | 109 | 33.4% |
31 | アルピナ | 9 | 90.0% | 90 | 76.9% |
32 | ヒュンダイ | 0 | -% | 9 | 112.5% |
33 | ブガッティ | 0 | -% | 1 | -% |
累計 | 12,439 | 53.4% | 92,410 | 78.7% |
参照:日本自動車輸入組合
在庫車を持たないブランドは「売るタマがなくなる」ことに
なお、先月は前年比100%を超えて驚異の成長を見せたフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェですが、一転して今月は前年比で半分以下に落ち込んでいます。
これらは「在庫をほぼ持たない、受注販売」という運営方法が影響しており、つまり日本で受けた注文を欧州の本社に送り、そこから生産を行って日本へと持ってくるスタイル。
受注自体はコロナ禍においても「減っていない」と言われるものの、3-4月においては本国での生産が行われず、よって「本来、その間に生産され、日本に入ってくるはずだった」車両が入荷しなかったのだと思われます(だいたい、生産の2ヶ月後くらいに到着する)。
そして日本に到着した個体は点検整備を受けて1-2ヶ月後に納車となるのですが、つまり7月に登録するはずだったクルマたちは「コロナ禍によって生産ができなかった」クルマたち。

そしておそらくは、5月の工場稼働開始以後であっても(しばらくは)本格生産に移れておらず、よって8月、9月も苦しい状態が続くのかもしれません。
ただ、それ以降には本国工場にて生産された個体がドバっと入ってくることになり、現在の「登録作業で時間を取られない」期間には積極的な受注活動を行えるため、長期的に見ると「問題はない」と考えています。
反面、在庫を持っているジャーマンスリーやフォルクスワーゲンについては「販売するクルマが豊富」ということになり、実際に7月には比較的多くを登録している模様。
ただ、これらについても「在庫が尽きてしまえば」本国で生産できなかった分だけ「予定していた台数が入ってこない」ということになり、そこはちょっと苦しい事態を迎える懸念も拭いきれません(在庫が切れる前に、生産再開後に作られた車両が入ってくれば問題はない)。
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やはり「ニューモデル」「人気モデル」は大事
そしていつも思うのが、輸入車は嗜好品としての性格が強く、よってそのブランドの販売の多寡は「いい車があるかどうか」に左右されるということ。
たとえば、アルファロメオは少し前に「ジュリア」「ステルヴィオ」といったブランニューモデルを発売して人気化し、それによって大きく販売が伸長。
ただし現在はそれに続くニューモデルがなく、よって7月は前年比41.8%に沈んでいます(もちろんコロナウイルスの影響もある)。

そして明暗が別れたのがアメ車で、日本から撤退したフォードとダッジはそれぞれ46台、25台を登録するも、日本で正規販売を続けているシボレーの登録はわずか11台。
これもコロナウイルスの影響があって正確な判断はできないものの、いい車を持つブランドは正規販売されていなくとも消費者が買い求め、そうでなければ正規販売店を構えていても売上は伸びない、ということなのかもしれません(そう考えると、販売拠点より商品力のほうが重要)。
なお、スマートはなんとわずか1台の登録にとどまり(先月は2台)、このまま日本を撤退するんじゃないかという印象も。
スマートブランドそのものは現在、中国の吉利汽車に譲渡された形となっており、(ダイムラーとは無関係ではないものの)今後スマートは中国色を強める可能性も高いとあって、メルセデス・ベンツはここから手を引きたいのかもしれません。
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