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生産わずか19台、フェラーリ500 TRCが競売に登場!「元祖テスタロッサ」、「最後のフェラーリ4気筒」として評価され13億円以上での落札も

2022/07/06

生産わずか19台、フェラーリ500 TRCが競売に登場!一時はフォードのV8エンジンが積まれるも、「最後のフェラーリ4気筒」として評価されて13億円以上での落札も

| ここ最近、希少なフェラーリのレーシングカーの出品が相次ぐ |

このフェラーリ500 TRCは過去にフォード製V8にスワップされ、何度かカラーチェンジも経験

さて、1957年にわずか19台のみが販売されたフェラーリ500 TRCスパイダーのうち1台がRMサザビーズ主催のオークションに登場予定。

このフェラーリ500 TRCスパイダーは最後から二番目の生産つまり18番目の車体ということになりますが、フェラーリの工場を出た後にフレンチブルーへと塗り替えられてポルトガルGPに参戦して5位を獲得、その後ル・マン24時間レースに挑戦するもウォーターポンプの故障によりリタイアを余儀なくされたという経歴を持っています。

1957年末には別のオーナーへと売却され、その後は1958年のセブリング12時間レースはじめアメリカ国内のさまざまなイベントで走行し、これらのレースを走ったのちにホワイトとレッドのツートンカラーに再塗装され、その際にはレッドのストライプが入ることになった、という記録も。

1960年代にはフォード製のV8エンジンを搭載したことも

1960年代に入ると、もともと搭載されていた2リッター4気筒エンジンが破損したためにフォード製V8エンジンが搭載され(エンツォ・フェラーリが激怒しそうだ)、しかし後にこのエンジンが取り外されてフェラーリ製の2リッターエンジンへと換装されていることもわかっています(そしていずれかの段階でこのボディーカラーへとペイントされたようだ)。

なお、この車両はしばらくモータースポーツ活動を停止していたものの、1980年代~1990年代にかけてミッレミリアやAVDオールドタイマーグランプリに参戦し、最近だとアメリア・アイランドやペブルビーチなど、世界の名だたるコンクール・デレガンスに出展されたことで知られているのだそう。

フェラーリ500TRCスパイダーはこんなクルマ

このフェラーリ500 TRCは4気筒エンジンを積んでいること、そして最後の4気筒搭載フェラーリとしても有名ですが、4気筒エンジンを積んだ理由として、当時フェラーリがマセラティの2リッター4気筒搭載モデルに対抗しようと考えたためだとされています。

ベースとなるのはモンディアルの2200ccエンジンで、しかしこれを改良したのはマセラティのエンジニアだったマッシミーノ。

そしてこのエンジンのヘッドがレッドにペイントされていたことから「テスタロッサ(赤いヘッド)=TR」の名が誕生します。

エンジン型式は「V4」、排気量は1984cc、ウエーバー製のキャブレターを備えて出力は180馬力、最高速は245km/h。

ボディはスカリエッティによってデザイン・製造がなされ、初期モデルは500 TR、そして後期型がこの(ちょっとスタイリッシュになった)500 TRC。

車体構造はスチール製チューブラーフレーム、サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン、リアにライブアクセル、ブレーキは前後ドラム式。

フェラーリ500 TRCはフェラーリのファクトリーマシンとして戦ったことはない

なお、ちょっと興味深いのが、このフェラーリ500 TRCはフェラーリのファクトリーマシン(ワークス)としてレースに参戦したことがなく、すべてカスタマーカーであったこと。

そのぶん多くのレースに出場する機会が発生したとも考えられ、実際にルマン24時間、ミッレミリア、セブリング12時間、ニュルブルクリンク1000kmなどのレースにおいてはクラス優勝を飾っています。

ボディサイズに関するデータは残っておらず、わかっているのは「ホイールベース2250ミリ、フロントトレッド1308ミリ、リアトレッド1250ミリ」ということ、そして車体重量が680kgということくらい。

フェラーリ 500 TRCのインテリアはこうなっている

フェラーリ500 TRCは2人分のシートを備え、各パネルやフードはレザーベルトもしくはピン留め。

レーシングカーとしては比較的豪華な作りを持つ部類なんじゃないかと思います。

ペダルの間隔は極めて狭く(相当に操作が難しかったんだろうな・・・)、アクセルペダルはウッド製。

ちなみにトランスミッションは4速マニュアルです。

メーターはイエーガー(JAEGER)製で、それ自体は当時のレーシングカーとしては珍しくないものの、特筆すべきはすべての文字盤にフェラーリのエンブレムが入っていること。

他のメーカーのクルマに使用されるイエーガーのメーターを見ても「その自動車メーカーのエンブレムが入る」例は非常に稀であり、つまりエンツォ・フェラーリはそれだけ(無意識であったとは思うが)ブランディングに注力していたこと、フェラーリというブランドに自信と信念を持っていたこと、そしてイエーガーに「フェラーリのマークを入れさせる」だけの力を持っていたことも推察できます。

なお、フェラーリは勝利を量産することでその名を高め、それによって市販車の販売を有利に進めることができるようになったのは言うまでもありませんが、同時にサプライヤーに対する影響力や支配力も絶大になった、とも。

サプライヤーにとっては「フェラーリにパーツが使用されている」ということが一つのステータスとなり、これと連動する形でサプライヤーのビジネスも有利に進むようになったそうですが(フェラーリに採用されているということで、他自動車メーカーからの取引要請が大量に舞い込むようになり、取引相手を選べるようになる)、こういった事実を背景に、フェラーリの(サプライヤーに対する)交渉力も強大なものとなっていった、ということですね。

そしてこのフェラーリ500 TRCについて、その希少性を背景に、落札価格は800万ドル(日本円で10億9000万円)~1000万ドル(13億6000万円)の間だというエスティメートが出ています。

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参照:RM Sotheby’s, Ferrari

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