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製造時そのままの塗装と内装を保持したフェラーリ288GTOが競売に登場!「元祖スペチアーレ」としてその評価は揺るぎなく、288GTO最高額で落札される可能性も

2022/11/06

製造時そのままの塗装と内装を保持したフェラーリ288GTOが競売に登場!「元祖スペチアーレ」としてその評価は揺るぎなく、288GTO最高額で落札される可能性も

| ここまで程度のいいフェラーリ288GTOはそうそう出てこないものと思われる |

これまでのフェラーリのスペシャルモデルのうち、唯一のホモロゲーション用モデルでもあり、その価値は非常に高い

さて、過去最大規模の気象フェラーリが出品されるロンドンにて開催のオークション(RMサザビーズ主催)。

今回はフェラーリ初のスペチアーレ、288GTOの出品情報が公開され注目を集めています。

もともとフェラーリはレーシングカーコンスタクターとして創立されていますが、その活動資金を稼ぐために(顧客のアドバイスに従い)レーシングカーを公道用に改装して販売したのが「市販車ビジネスの始まり」だと言われています。

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しかしフェラーリの市販車はモータースポーツとはどんどん乖離することに

よってフェラーリの市販車は「レーシングカーとの境界線が曖昧な」ハードなクルマであったものの、実際には多くのセレブに支持されるアイテムとなってしまい、中にはちょっと日和ったモデルが登場したのもまた事実。

1980年代になるとその傾向がさらに強くなり、よってフェラーリ創業者、エンツォ・フェラーリが「コンペティションの原点に立ち戻るべき」と考えて製作したのがこの288GTOだと言われます。

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この288GTOはグループBに参戦するためのホモロゲーションモデルという位置づけではあるものの、当時のグループBはランチア・デルタS4、フォード・コスワースRS200等の4WD勢で争われており、後輪駆動の288GTOに勝ち目がないのは明らかだったため、そもそもエンツォ・フェラーリはグループBに参戦することは考えていなかった(何らかの事情で288GTOの開発をグループB参戦にこじつけた)という説もあるもよう。

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ただし実際にフェラーリ288GTOはグループBのホモロゲーションに必要な200台を製作して(最終的には272台となる)1985年6月にホモロゲーションを取得し、しかし1986年にFIAは(事故の発生を受け)グループBの廃止を宣言してしまい、そのため288GTOはモータースポーツに参戦することなく終わっています(フェラーリにとっては結果オーライだったのかも)。

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それでもこの288GTOは、チーフエンジニアのニコラ・マテラッツィが「真のフェラーリの復活を意味する」を宣言したとおり、その顧客には熱狂的に歓迎されることになり、ホモロゲーション取得のために必要な台数を大幅に超える受注を集めることになったわけですが、そこでフェラーリは「モータースポーツに直結したスペシャルモデルは大きな利益を生む」と判断したと言われます。

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それがのちのF40、F50、エンツォフェラーリ、ラフェラーリ、ラフェラーリ・アペルタに繋がることになり、これらはいずれも(ほかの市販モデルに比較し)モータースポーツおよびそのテクノロジーを色濃く反映したクルマとして企画されているわけですね。

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ただ、こういったスペチアーレについて、多大な利益貢献を行うほか、もう一つ重要な役割があるとぼくは考えていて、それは「フェラーリのイメージの先鋭化」。

これは288GTOにてエンツォが目指したことでもありますが、こういったスペチアーレの存在がぼくらに「フェラーリが何であるか」を再認識させているのかもしれません。

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288GTOに積まれるのは2.8リッターV型8気筒ツインターボエンジンですが、この排気量は(R32 GT-Rのように)レギュレーションにあわせ逆算して決定されたものであり、「2800cc、V8」ということから「288」と命名されています。※GTOは「グランツーリスモ・オモロガータ」の略

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車体は308から発展させたもので交換スペースフレームをベースとしており、ボディパネルはカーボンファイバーとケブラーにて成形され、そのスタイリングはピニンファリーナによるもの。

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車体デザインの際にはかつての250GTOを連想させる3本スリットなどが用いられており、フェラーリの比類なきモータースポーツの歴史にオマージュを捧げる一方、アグレッシブさとエレガンスが完璧に融合されたデザインを持っているようにも感じられますね。

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このフェラーリ288GTOはこんな経歴を持っている

そこでこのフェラーリ288GTOについて、シャシーナンバーは56399、ボディカラーはロッソコルサ、インテリアカラーはペッレネラ、新車注文時にはエアコンとパワーウインドウがオプションにて装着されています。

1985年6月11日に完成し、フェラーリの工場にて納車が行われ、ニューヨークとオーストリアのザルツブルグに住む2人の医師が共同で所有していた、とのこと。

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当初はイタリアの輸出用ナンバープレートで登録されており、1985年7月10日にチャールズ・ポッツィS.A.にて最初の整備を受け、その際の走行距離は3117km。

1986年3月5日にはニューヨークナンバーにて再登録され、実際にはアメリカには入国していないものの、1988年から2000年まではニューヨークナンバーにてイタリア国内を走行していようですね。

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1991年4月には、二人の共同オーナーのうち一人がもう一人のシェアぶんを買い取ってこのクルマの唯一のオーナーとなり、その後2002年5月18日にオークション経由にて売却したという記録が残ります。

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なお、フェラーリ・ディーラーからの整備に関する請求書も付属し、2006年から2009年までのものだと合計5,000ユーロを超えており、2009年6月9日にはフェラーリの専門家であるマルセル・マッシーニによって検査され走行距離は13,063kmであることが認証されたほか、その後2010年3月24日にはフェラーリ・クラシケの認証を受けて"Red Book "を受け取ることに。

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なお、このフェラーリ288GTOはボディ、シャシー、ディファレンシャル、エンジン、ギアボックスのマッチングナンバーを保持しており(つまり載せ替えなどが行われていない)、さらに驚くべきことに工場出荷時のロッソ・コルサ(外装)とペッレネーラ(内装)をそのまま保持していることも判明しています。

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その後このフェラーリ288GTOは、2010年7月23日に英国にて3番目のオーナーに販売され、保管されている請求書によると、2010年に2,026ポンドをかけて整備とパワーウインドウのモーターの修理を行っており、翌年7月にはDKエンジニアリングがエンジンとギアボックスを取り外し、両ユニットとエンジンルームのスチーム洗浄を含む8,000ポンド以上の作業を実施したこと、その際にはターボチャージャーが2基ともリビルトされ、多くの改善作業や定期メンテナンスと並行し、大規模な整備が行われたこともわかっています。

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DKエンジニアリングでの整備後まもなく、3代目オーナーは2012年2月、このフェラーリ288GTOを現在のオーナーへと売却し、その際には冷却システムのテストと修理を行い、バルブタイミングの調整も行ったほか、2017年には、フェラーリのスペシャリストであるティム・サムウェイズのもとで、新しいクラッチ、メジャーサービス、タイミングベルトと補助ベルトの交換など、約14,000ポンドが費やされてメンテナンスが行われ、直近だと2022年9月にDKエンジニアリングにてベルハウジングの再密閉とクラッチレリーズベアリングの交換に4,792ポンドが費やされています。

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現在の走行距離は(年式に比較して)比較的少ない23,069km、そして取扱説明書や、ツールキット、スペースセーバー・スペアホイール、ジャッキバッグが付属しており、オリジナルのペイントと内装を保持していることを考慮すると非常に高い価値を持っていると考えてよく、オークションでは相当な高値にて落札されることになるかもしれませんね。

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参照:RM Sotherby's

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