| フェラーリはV12エンジン搭載モデルについて新たな製品ポートフォリオを組むものと考えられる |
そしてこれはおそらく、フェラーリの売上と利益を飛躍的に押し上げるはずだ
さて、イタリアはモデナにてスーパーカー専門のスパイビデオを届けてくれるVarryx氏。
今回はフェラーリの新型V12エンジン搭載モデルのプロトタイプを収めた動画をYoutube上に公開しています。
なお、このプロトタイプはこれまでにも何度か目撃されており、外観上は「フロントが延長され、ボディがワイドになったローマ」といった感じですね。
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プロトタイプに限りなく接近
なお、今回の動画はこれまでとは若干異なり、「かなり接近しての」撮影に成功しており、まずは停車中のローマ風プロトタイプから。
そしてこの個体が動き出したところを撮影していますが、ここは(地面についたブラックマークからして)フェラーリがよく車両の展開に用いる場所なのかもしれません。
Varryx氏によると、そのサウンドはV8とは異なるV12エンジンサウンドだと表現していますが、たしかに言われてみると「それっぽい」ような気も。
さらに路上を走る姿も捉えることにも成功し、たしかにこれまでにないほど近距離での撮影に成功しているようです(フェラーリのドライバーが一瞥をくれている)。
はたしてこの試作車の「中身」は?
このプロトタイプについて、見た目はたしかにローマに近いものの、よくよく見るといくつかのパネルにギャップがあり、フロントバンパーには追加で開口部が設けられ、さらに前後フェンダーがワイド化されているように見え、リアハッチもおそらくはローマとは異なるものが装着されているもよう。
つまりはローマに見せかけているもののローマではないのは明らかで、これまでに囁かれている通りに「新型V12モデル」のテスト車両だと考えるのが妥当かもしれません。
ただ、ここでいくつかの疑問があり、まずはV12エンジンを積むとしても、それが自然吸気なのかターボなのか、そしてハイブリッドなのかハイブリッドレスなのか。
フェラーリはこれまで「なんとしても自然吸気のままV12エンジンを搭載する」としており、つまりターボを避け、ハイブリッドについても「それは小排気量エンジン向けの解決策である」として見送る意向を示しています。
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実際のところ、プロサングエについては、この時代に「まさかの」V12自然吸気エンジン搭載にてデビューしており、これを見るとフェラーリは自然吸気のまま、V12エンジン単体で環境規制に対応させる方法を見出した可能性もありそうです(もしくは、全体におけるハイブリッドモデルの販売比率を高めることでCO2排出規制のペナルティを最小に抑え、それを支払う方向で覚悟を決めているのか)。
参考までに、数少ないV12エンジン搭載車を作っている自動車メーカーであるアストンマーティンは「V12は2025年まで」とし、ロールス・ロイスも今後はピュアエレクトリックへと移行することで段階的にV12エンジンを廃止し、ランボルギーニはノンターボながらもハイブリッド化によってV12エンジンを存続させることとなっています。
そんな中で「自然吸気V12エンジンをハイブリッド化せずに搭載する」ことは非常にチャレンジングではありますが、フェラーリとしては「これだけは譲れない」のかもしれませんね。
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フェラーリはラインアップを拡大中
そしてもうひとつの疑問が「なぜ812スーパーファストの外観ではなく、ローマのパネルを流用しているのか」。
これについては明白な回答が見つからず、可能性としては「ローマのような、ロングノーズ・ショートデッキというプロポーションを持つ」新しいラインアップを追加するのでは、ということ。
フェラーリは現在そのラインアップを拡大しており、V12モデル(812スーパーファスト)のオープンモデルである812GTSを追加し、これを「カタログモデル」として販売していますが、ここ最近の(というか、ここ数十年の)傾向から見て、フェラーリとしてはかなり異例かと思われます。
ただ、こういった戦略について、販売台数を現在から35%増加させ、2025年には「年間1万5000台を売る」という方針を考慮すると理解が容易となり、つまりラインアップを増やさないままに販売台数を増やしてしまうと「1台あたり」の販売数量が大きくなってしまい、よって希少性が薄れてしまうわけですね。
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そのために「1台あたりの販売台数を抑え、しかしラインアップ数を増やす」という方針を採用しているのだと考えられ、つまり同じ15,000台であっても、「1,500台×10車種」ではなく、「1,000台×15車種」といった計算にてこれを達成するということですね。
そして現在フェラーリは過去のデザインに回帰する傾向があり、ローマのような「ライフスタイル系のエレガントなモデル」はその典型。
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それと同時に、V8およびV6モデルについても、「フロントエンジンのライフスタイル系(クーペとオープン)」「ミドシップエンジンのスーパースポーツ系(クーペとオープン)」という展開になるのではと考えており、こうやってフェラーリは販売台数を増やしつつも希少性を維持するのかもしれません。
新型フェラーリV12モデルの試作車を捉えた動画はこちら
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参照:Varryx(Youtube)