>フェラーリ

かなりレアな「ボディ下半分がブラックに塗装されていない」フェラーリ512BBがオークションに登場!逆風の時代に登場したため生産台数が少なく、今では「希少車」に

かなりレアな「ボディ下半分がブラックに塗装されていない」フェラーリ512BBがオークションに登場!逆風の時代に登場したため生産台数が少なく、今では「希少車」に

| 実は「ボディ下半分のブラック」は当時オプション扱いだった |

ここまで完成されたデザインを持つフェラーリは他にないと思う

さて、ぼくが最も好きなフェラーリ、512BB(1976年〜1981年)がRMサザビーズ主催のオークションに登場。

このフェラーリ512BBは「フェラーリ初のロードゴーイング・ミドシップ」であった365GT4 BBの発展版であり、環境規制に対応するためにエンジンの排気量を増加させて5リッターとし、エンジン型式はそのまま「180度V12」を継続しています。

車名の「512BB」とは5リッターV12、ベルリネッタ・ボクサーを意味し、ベルリネッタとは「自宅からサーキットに乗って出かけ、レースを走った後にまた自走して帰ってくることができる」2ドアクーペを指し、ボクサーとはもちろん水平対向エンジンを意味します(実際のところ、この512BBのエンジンはボクサーではなく180度V型である)。

2

ただしアメリカ市場では512BBの販売が見合わせられる

なお、当時アメリカでは排ガス規制がどんどん厳しくなっていて、さらにはガソリン価格の高騰、速度制限の厳格化といった逆風が吹き荒れており、よってフェラーリは365GT4 BBの販売を終了させただけではなく、この512BBの(カナダとアメリカ市場への)導入すら見送ることに。

21

ただしアメリカのフェラーリコレクターたちはこの魅力的なミドシップスーパーカーをなんとしても手に入れたいと考え、今回売りに出される512BBをアメリカ市場にて合法に登録したドナルド・L・ウェーバー氏もその一人。

5

ドナルド・L・ウェーバー氏は、コネチカット州グリニッジの名門ディーラー、ルイジ・チネッティを通じて、この1979年式フェラーリ512BBを新車で入手したといいますが、実際に登録するにはアメリカの法律に沿った連邦化プロセスを受ける必要があり、この作業は、カリフォルニア州ハーバーシティのオートモーティブ・コンプライアンス社が担当したと記録されています。※連邦政府への登録に成功した経緯は、文書や書類で詳細に記されており、この車両に添付されている

15

ボディカラーはロッソ・キアロ、しかし珍しいのはボディの下半分を(オプションの)ブラックにペイントしていないこと。

これによって随分雰囲気が(よく見かける512BBとは)異なっていますが、この仕様もなかなかにスマートであり、これはこれで「アリ」なんじゃないかとも思います。

25

なお、テールランプは365GT4 BBの3連から2連へ(テールパイプも同様)。

1

「Ferrari」エンブレムはブラック仕上げ(おそらくは後にペイントしたのだと思う)。

8

デザインはもちろんピニンファリーナ。

なお、ボディパネルは356GT4 BBで採用されていたFRPから、アルミやスチールへと(コストダウンのため)置き換えられていますが、これによって重量が120kgほど増加しています。

17

ホイールは伝統の星型、そしてスピナーつき。

4

512BBはフロントのデザインの美しさに加え、リアセクションにおいても優れたデザインを持っており、どこから見てもデザイン上の破綻がなく、ぼく的には「完璧」なクルマです。

210

1985年にはインテリアの張替えが行われる

ドナルド・L・ウェーバー氏はこの512BBをずっと手放さず、1985年にはカリフォルニア州ヴァンナイズにあるリチャード・インテリアに依頼し、レッドのヘッドライナー、レッドのカーペットにドアパネル、ブラックレザーのシートに赤いパイピングを施すなどのカスタムを行っています。

16

そのほかステアリングホイールはモモ・プロトティーポへ、そして純正エアクリーナーの代わりにウェーバー製キャブレターのベロシティスタックを装着するなど機能面でのカスタムも実施することに。

28

このレッドとブラックのインテリアにつき、「あまり見たこと無いな」と思っていたのですが、どうやら「後にカスタムしたため」こういった斬新な仕様となっているようですね。

13

その後もドナルド・L・ウェーバー氏はずっとこのフェラーリ512BBを所有し続け、ようやく手放したのが2021年。

もちろん同氏はずっと大事にこの512BBを載っており、2013年から2014年にかけて行った整備の請求書には、燃料と冷却システムの整備、エンジンアウト・サービス、キャブレターのクリーニングとシンクロナイズが記されており、高度なケアを行ったということもわかります。

10

入念なメンテナンスは現在の(2人目の)所有者のもとでも継続されており、2022年10月にはフロリダ州ドーラルのアジール・モータースポーツによって追加のエンジンアウト整備行われ、さらにはタイミングベルト、シール、ガスケットの交換に加え、ウォーターポンプ、クラッチスレーブシリンダー、スロットルケーブルなどの付帯部品もリビルトまたは交換がなされている、とのこと。

20

フェラーリ512BBは、1981年に登場したフューエルインジェクションの512BBiまでを含めても、わずか929台しか生産されておらず、しかしその後のフェラーリの方向性やデザインを示唆する重要なモデル。

7

とくにこの512BBは、走行距離も少なく、履歴、資料、写真、請求書、取扱説明書などがポーチに収められており、素晴らしいコレクションとなるのは間違いなく、多くのコレクターの注目を集めることになりそうですね。

117

合わせて読みたい、フェラーリ関連投稿

フェラーリ伝統の命名「ベルリネッタ」とは何なのか?初代ベルリネッタは1956年の250GTベルリネッタ、その後のベルリネッタを見てみよう
フェラーリ伝統の命名「ベルリネッタ」とは何なのか?初代ベルリネッタは1956年の250GTベルリネッタ、その後のベルリネッタを見てみよう

| 「ベルリネッタ」とはフェラーリが最初に使用した名称ではないが、今やベルリネッタ=フェラーリでもある | 一部例外を除く「ベルリネッタ」単体、もしくは「GTB」として使用されることが多い さて、フェ ...

続きを見る

フェラーリ
なぜV12エンジンはフェラーリにとってDNAそのものなのか?V12エンジンのルーツ、変遷、F1での終焉、そして現在、さらにはその未来

| やはりV12エンジン搭載フェラーリはどこかで手に入れておかねばならないだろう | ひとくちにフェラーリのV12といえど、様々な世代や形式がある さて、フェラーリがそのDNAともいえる「V12」エン ...

続きを見る

フェラーリがピニンファリーナ・デザインを振り返る。1951年から60年以上にわたる協業の歴史の中でとくに印象に残るモデル7選
フェラーリがピニンファリーナ・デザインを振り返る。1951年から60年以上にわたる協業の歴史の中でとくに印象に残るモデル7選

| すでにパートナーシップは解除されているといえど、現代のフェラーリが持つ要素の多くはピニンファリーナが作り上げたものだった | ときどき、フェラーリのデザインがピニンファリーナでなかったら、と考える ...

続きを見る

参照:RM Sotherby's

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->フェラーリ
-, , , , ,