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「コレクター一家のもとで」45年を過ごしたフェラーリ275GTB/4が競売に登場!当時の仕様をほぼそのまま残し、これ以上はないコンディション 

「コレクター一家のもとで」45年を過ごしたフェラーリ275GTB/4が競売に登場!当時の仕様をほぼそのまま残し、これ以上はないコンディション

| ただでさえフェラーリ275GTB/4は売り物が少ない |

これ以上優れたコンディションを持つフェラーリ275GTB/4を探すのは難しいだろう

さて、RMサザビーズが開催するオークションにて、1967年製フェラーリ275GTB/4が出品予定。

この1967年モデルは(1965年に発表された初期モデルに対して)いくつかの改良が施されており、リフトを防ぐためのロングノーズもそのひとつ。

ただし最大のトピックはそのエンジンにあり、ジョアッキーノ・コロンボが設計したショートブロック3.3リッターV型12気筒エンジン(タイプ226)に、フェラーリのロードカーとしては初めてデュアル・オーバーヘッド・カムシャフト(DOHC)が採用されることとなっています。

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フェラーリ275系は「最後の世代の」フロントV12エンジンモデルとして多くの人々の記憶に残る

このDOHC採用にあわせ、スカリエッティによって製造されたボディは(背の高くなった)エンジンに対応するため中央部が盛り上げられており、エンジンそのものにはドライサンプ式潤滑装置とウェーバー40DCN/9キャブレター6基が与えられ、これによって先代比20馬力パワフルになり、さらにはドライブシャフトをソリッドトルクチューブに変更することで振動の問題を解決するなど快適性にも注意が払われています。

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この新しい275GTB/4は、フェラーリにとって最もダイナミックなロードカーとなり、その発展型である365GTB/4(デイトナ)とともにクラシックなV型12気筒フロントエンジンの最後の世代として知られますが、1968年の生産終了までにわずか330台しか生産されず、フェラーリの中でも希少な存在となっています。

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このフェラーリ275GTB/4は「コレクター一家の手によって45年間所有されていた」ことも

このフェラーリ275GTB/4(シャシーナンバーは10325)について、フェラーリのエキスパートであるマルセル・マッシーニの調査によると、330の4カム車(改良版)の約203台目であり、アメリカ市場向けに設計され、マイル表示の計器類、パワーウィンドウ、フルレザーシートが装備されています。

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ボディカラーはグリジオ・アルジェント・ペイント、インテリアはネロ・ヴォーモル・コノリー・レザーにて仕上げられており、1967年9月にコネチカット州グリニッジのルイジ・チネッティ・モーターズ経由にて新車としてフェラーリにオーダーされた個体であるという記録が残ります。

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当時のインボイスによれば、同月、カリフォルニア州ティブロンに住むバーネット・サムスキーなる人物がこのフェラーリを最初に購入し、しかしすぐにイタリアのツーリスト・プレートで登録されたことから、バーネット・サムスキー氏はヨーロッパでのツーリングに使うつもりでこの車両を購入したと推測されています(バーネット・サムスキー氏は、フェラーリ本社にてこの個体を引き取っている)。

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その後、モデナのフェラーリ・ファクトリー・アシステンツァ・クリエンティにて整備を受け、1967年10月にミラノからロンドン経由でサンフランシスコに輸出されていますが、1967年12月にバーネット・サムスキー氏はこのフェラーリ275GTB/4を2代目オーナーのG・アーネスト・ロペス氏(カリフォルニア州サンリアンドロ在住の弁護士)に売却。

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G・アーネスト・ロペス氏は275GTB/4を1年ほど所有した後、ネバダ州リノにあるフェラーリのディストリビューター、ウィリアム・ハラー社のモダン クラシック モーターズに売却することに(この際にモトローラのAM/FMラジオが装着されることとなったようだ)。

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その後、このフェラーリ275GTB/4は45年間を同じファミリーのもとで過ごすことに

1971年、このフェラーリ275GTB/4はワシントン州シアトルのウェイド・カーター・フォルクスワーゲンに引き取られますが、このウェイド・カーター・フォルクスワーゲンは、1950年代にオレゴン州セーラムで開業し、その後シアトルにディーラーを設立した著名なディーラーだといい、創業者のウェイド・カーターはアマチュアレーサーでもあり、ベントレー、フェラーリ、ジャガー、ポルシェ、ロールス・ロイスといった名車を含む膨大なコレクションを保有していたようですね。

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その後、このフェラーリ275GTB/4はウェイド・カーター氏のコレクションの中心的存在となり、2001年に同氏が亡くなった後も家族は15年間このフェラーリを所有し続け、2016年3月に売りに出されるまで、約45年間にもわたる一家での所有という驚くべき記録を打ち立てます。

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なお、売却される数年前、少なくとも一度はシートへの張り替え、ブレーキ、マスターシリンダー、スレーブシリンダー、ホイールシリンダーのリビルド、新しいエキゾーストパイプの取り付けなどのメカニカルメンテナンスを受けたそうですが、2016年の売却前準備として、シアトルのレーシングショップ、J&L ファブリケーションズにてキャブレターとディストリビューターをリビルドし、イグニッションシステムを整備したほか、ワイヤーホイールも再調整された、とのこと。

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2016年に売りに出された後、ルイジアナ州を拠点とするコレクター(今回の出品者)がこのフェラーリ275GTB/4を入手ししており、このコレクターの所有期間中にはほとんど走行走行することはなく、エアコンにて温度と湿度が管理されたガレージに保管されていたといいます。

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2017年7月にはバーモント州のショップ、レストレーション&パフォーマンス・モーターカーズへと預けられ、そこではエンジンを中心として、44,855ドルもの費用を投じた大規模整備が施されることに。

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この素晴らしいフェラーリ275GTB/4は、たった4人のオーナーの手を経たのみであり、かつ熱心なコレクターによって保管・メンテナンスされてきたため、極めて良好な状態を保っており、かつマッチングナンバーのシャシー、エンジン、ギアボックスを持っています。

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フェラーリ275GTB/4の売り物が出ることは非常に少なく、その中でもこの個体は非常に優れたコンディションを持っていると考えてよく、未来に向けて保存を考えているコレクターにとっては理想的な一台かもしれませんね。

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参照:RM Sotherby's

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