
| まさかフェラーリ512Mがそこまで希少なフェラーリだとは知らなかった |
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今あらためて見るとフェラーリF512MのフロントにはF40との共通性がかなり多い
さて、非常に希少なフェラーリF512Mがオークションに登場。
この「M」は「モディフィカータ」を示し、改良型という意味となりますが、「456M」「ポルトフィーノM」のように、いわゆる後期型に採用されることがある呼称です。※数字の前の「F」も後期モデルに付与されることが多い
そしてこのF512Mについて、テスタロッサの最終バージョンという位置付けにて1994年に発売されていますが、生産はなんとわずか501台のみだったといい、つまりはとんでもなく「希少」なモデルです。

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フェラーリF512Mはフェラーリの有力顧客のみに割り当てられる
このF512Mについて、公的に「限定モデル」と宣言されていなかったように記憶しているものの、販売対象となったのはフェラーリの中でも「限られたVIP客」のみだったとされ、かなりフェラーリと付き合いの深い顧客であっても入手できなかったと紹介されています。

参考までに、フェラーリ最大の市場であるアメリカであっても50台のディーラーに対して75台の割り当てしかなかったようで、フェラーリ前社長のルカ・ディ・モンテゼーモロ時代に生産されたロードゴーイングモデルのなかでも最も希少なモデルのひとつとして数えられているようですね。

搭載されるエンジンは512TRから継続される「フラット」V12、そしてチタン製コンロッド採用などの軽量化、さらに圧縮比の向上などエンジン内部の改良を重ね、出力は512TRを上回る440馬力。

ちなみにエンジンヘッドカバーには「Testarossa」の文字。

さらにはステンレス製エキゾーストシステムなどの改良により、F512 Mは前後重量配分がほぼ50:50となり、加えてサスペンション、ボッシュ製アンチロック・ブレーキ・システムもアップデートされ、圧倒的なパワーと素晴らしいハンドリングを実現しています。

ホイールはスピードライン製3ピース、F40と512 BB / LMにも似たフロントマスクを採用するなどスタイリングも一新され、ヘッドライトは1970年の512Sや1972年の312PBなどスクーデリア・フェラーリのレーシングカーを思わせる固定式へ(当時導入されたデイライト法にも対応したのだと思われ、テスタロッサで採用されたリトラクタブルヘッドライトが廃止されている)。※今あらためて見ると、NACAダクトがフロントフード上に設けられ、たしかにF40っぽい

インテリアでは、ステアリングホイールの変更、アルミ製アジャスタブルペダルの採用、エアコンの容量アップ、トリムの変更などの改良が行われていますが、シートベルトの装着方法についてはテスタロッサから変更がないように見えますね。

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フェラーリF512Mのボディカラーは厳しく制限されていた
そしてフェラーリF512Mにつき、その個体数の少なさ、販売の制限と共に驚かされるのが「ボディカラーの選択肢の少なさ」。
ほぼすべてのF512 Mは、ロッソコルサ、メタリックブラック、イエローの3色にペイントされてディーラーに割り当てられたそうですが、フェラーリ・スペシャリストであるアルヴィド&エドヴァル・ヴァン・ダーレン夫妻が作成した登録簿によると、501台のF512Mのうち、これら3色以外の色に塗られたのはわずか10台にすぎず、それらを選べたのは有力なディーラーや顧客だけだったのだそう。

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「カスタムを推奨する」今のフェラーリからは信じられないことですが、F40だと「全ての個体はロッソ・コルサにペイント」されており、エンツォフェラーリもホワイトやブラックにペイントされることが許されたのは一握りの顧客だけだったというので、当時のフェラーリは購入そのものの制限に加え、パーソナリゼーションにおいても著しく(おそらくはブランディングのため)制限を行なっていたということがわかります。

今回出品されるフェラーリF512Mは16台目の米国市場仕様車でシャシー100483、1996年8月26日にコロラド州デンバーのフェラーリディーラーに納車された個体だと紹介されています。

インテリアはベージュレザー、そこへカストロ・カーペットが組み合わせられ、エクステリアは極めて珍しいスモーキー・シルバー(カンナ・ディ・フシル・メタリザート)にて仕上げられていることが特徴ですが、この3つのカラー・コンビネーションを持つ個体は、このF512 M”シャシー100756”の1台だけなのだそう。

このフェラーリF512Mは、1996年に納車されたのち、ニュージャージー、オレゴン、フロリダのコレクターの手を経て、2007年7月、カリフォルニア州サンディエゴのコレクター、チャック・スイマー氏のコレクションに加わり、そこで約8,500マイルを走行。

さらにその後の2011年6月、ジェントルマン・ドライバーでありヴィンテージレーサーとして知られるファン・バラジ氏がこの512Mを入手することになりますが、同氏が手に入れた際の走行距離は約12,500マイルにまで伸びており、その後3年間、ファン・バラジ氏はフェラーリ・オブ・サンディエゴで丹念にメンテナンスを受けつつも1,500マイル近くを走破しています。

現在の所有者がこの個体を手に入れたのは2015年8月だそうですが、今回売却を行うに際し、イリノイ州レイクブラフのレイクフォレスト・スポーツカーズのフェラーリ公認サービスファクトリーへと依頼し、ベルトとプーリーの完全整備、スパークプラグ交換、液体洗浄、新しいフィルターを含む大規模なエンジンを下ろしての整備を完了させたと紹介されています。

F512Mは、テスタロッサの系譜の中で最もエキサイティングかつ洗練されたモデルであり、その希少性そして完成度の高さから多くの人がシリーズの中で最も望ましいモデルだと捉えていますが、今回の個体はその中でもさらに高い希少性を持っており、オークション出品前から高い注目を集めているようですね。

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