| マセラティMC12はエンツォフェラーリのシャシーとドライブトレーンを流用して開発されたレーシングカーのホモロゲーションモデル |
マセラティMC12の製造はわずか50台のみ、本来だと博物館に展示されるレベルのレアモデル
さて、ピーターセン自動車博物館がエンツォフェラーリとマセラティMC12のドラッグレースという、非常に貴重なシーンを収めた動画を自身のYoutubeチャンネル上へと公開。
この両者は深いつながりを持っていて、というのもMC12はエンツォフェラーリのコンポーネントを使用して作られたクルマだから。
この背景には、当時まだフェラーリが(マセラティを収める)FCAの管理下にあったことが大きく関係しており、要はマセラティとフェラーリとは「同一グループの会社」であったわけですね。
そこでマセラティが「エンツォフェラーリをベースにしたレーシングカーを開発してレースに出よう」と考え実際に製造したホモロゲーションモデルがMC12ということになります。
マセラティMC12はこんなクルマ
そのためマセラティMC12はエンツォフェラーリと共通のシャシー、そしてエンジンを持っており、2004年のマセラティ創立90周年の折に発表されています。
MC12のレーシングバージョンは「MC12 GT1」として2004年シーズンに参戦していますが、開発期間が非常に短く「わずか4ヶ月で」仕上げなければなかったといい、さらに開発終了間際にGT選手権のレギュレーションが変更されて全長を15センチ短縮する必要が出てくるなどのアクシデントも発生。
それでもイモラ・サーキットでのデビュー戦では2位と3位に入り、そのポテンシャルの高さを見せつけています(ベースとなったエンツォフェラーリの素養が優れていたとも考えられる)。
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全長は5,000ミリ(最初の25台は5,150ミリ)、全幅2,096ミリ、全高は1,205ミリ、搭載されるエンジンは6リッターV12、出力は632馬力、0-100km/h加速3.3秒、最高速は330km/h。
生産台数は2024年に25台、2025年に25台の合計50台のみで、ボディカラーはこの「ビアンコ・フジとマセラティブルー」のコンビネーションのみとなっています。
フェラーリ・エンツォフェラーリはこんなクルマ
そして一方のエンツォ・フェラーリですが、フェラーリの創業55周年に発表されたハイパーカー。
生産台数は399台+1台(ローマ教皇がチャリティ目的にて発注した)、搭載されるエンジンは6リッターV12、出力は660馬力、全長4,702ミリ、全幅2,035ミリ、全高1,147ミリ、0-100km/h加速は3.7秒、最高速度は350km/hというスペックを誇ります。
フェラーリのスペシャルモデルはいずれもカタログモデルとは共通性を持たない場合がほとんどで、そのコンセプトはいずれもモータースポーツに強く根ざしたもの。
エンツォフェラーリについても(快適性が重視されてはいるものの)例外ではなく、車体構造はカーボンモノコックにサブフレームを接続するというレーシングカーライクなもので、その基本性能の高さは(車体やエンジンを共有する)マセラティMC12がレースで立証してくれたとも考えることもできますね。
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実際にエンツォフェラーリとマセラティMC12がドラッグレースを走ったらこうなった
そこで今回エンツォフェラーリとマセラティMC12がドラッグレースを走った結果ですが、3本走った結果ではいずれもエンツォフェラーリのほうが大きくリードした状態でゴール。
これは優劣の問題というよりも、マセラティMC12が「モータースポーツ参戦を前提に作られているので、停止状態からの加速を重視したセッティングになっていない」と考えるのが妥当かもしれません。
なお、動画では(エンツォフェラーリ譲りのV12エンジンをフロントにマウントした)F12ベルリネッタとエンツォフェラーリとの加速勝負も収録されていますが、驚くべきことにF12ベルリネッタのほうがクオーターマイルを速く駆け抜けています。
F12ベルリネッタの登場はエンツォフェラーリの発表から数えて10年後の2012年で、出力も740馬力へと高められており、そのぶんの「進化」がこの差をもたらしたということになるのかもしれません。
エンツォフェラーリとマセラティMC12、F12ベルリネッタの加速勝負動画はこちら
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