クラシックフェラーリの中古価格は基本的に下がらない

清水草一氏のコラムによると、フェラーリF355の中古価格は12年前から変わっていない、ということです。
たしかに2015年現在、フェラーリF355の中古を見てみると、900万円台が殆どで、800万円を切るものは存在しない模様。
むしろ600万円台が存在した1993年頃のほうが中古価格が安かった、と言えますね。
先日ガヤルドの中古価格について、10年落ちでも1000万を切らない(たぶんこちらの相場もちょっと上がってきている)という記事をアップしましたが、中古スーパーカーの価格はこのあたりから下がらないようですね。
スーパーカーの相場は日本市場だけではなく世界の需要を反映している
これの原因としては、スーパーカーは「世界中で販売できる」ために日本国内独自の相場を形成するのではなく世界規模で平準化された相場を形成するものであり、とくに需要の高い北米に引っ張られて価格が下がらないことが一因かと思います。
今は円安なので(外国人バイヤーが日本のスーパーカー在庫を購入しているため)この状態を維持しているものの、円高になると中古相場が下がる可能性もあり、しかし現在の日本経済の低迷、北米の好調、世界的な戦争リスクと緊張の高まりという背景を考えると当面円安は続くと見て良さそうです。
そう考えるとしばらくスーパーカーの中古相場は高止まりするとも考えられ、今ちょっと旧いスーパーカーの中古を購入してしばらく乗って売却してもさほど損はしない、とも考えられますね(状況によっては差益が出るかも)。
新車価格の上昇も一つの原因だ
もうひとつの要因としては、スーパーカーの新車価格が高くなってしまったこと。
ガヤルド発表時(2005年)は新車価格1800万円だったのに、ガヤルド最終モデルでは新車価格2530万円。
フェラーリにおいても360モデナが新車価格1700万円くらいだったのに458では2500万円となり、ほぼ倍のレベルまで(10年で)新車価格が上昇しています。
フェラーリは(もっと買いやすい)エントリーモデルを作らないのかと聞かれた時に、フェラーリ前社長ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏は「中古フェラーリがそれ(エントリーモデル)だ」と発言していますが、まさにそれを表すように現在の新車価格に対する「エントリーモデル」としての機能を中古フェラーリ及びスーパーカーが果たすことになっており、そのため新車価格に引っ張られて中古相場も高止まりしていると考えてよいでしょうね。
中古スーパーカーはもはや投資物件としての性質も
ただし10年前と価格が変わらないといえども車は消耗品の集まりなので機能的にはどんどん低下しており、つまりは相対的に「割高」になっていることは間違いありません。
クラッチや(モデルによっては)タイミングベルトの交換、エンジンやトランスミッションのオーバーホールなど大きな出費も予想される走行距離に達しているモデルもあるでしょうし、一昔前のモデルは整備性が格段に悪く不具合箇所を発見するにも今の車のような便利な診断機能もありませんので、それなりに整備に時間と費用がかかる個体もあるでしょうね。
そのあたりの問題がクリアできれば、「ちょっと古いスーパーカー」は(買ってからまた売ることを考えると)非常にお得な選択肢なのではないか、とは思います。
同様に日産GT-R(R35)も中古相場が高止まりしており、年初に中古で購入して年内に売ればほとんど損をしないのではないかと考えたりするのですね。