「SSUV」誕生、国内価格は2574万円(税抜き)
ランボルギーニ・ウルスがついに発表。
ランボルギーニいわく「SSUV(スーパー・スポーツ・ユーティリティ・ ビークル)」という新しいジャンルでの車となり、まさに外観はSUVというよりはスーパースポーツ。
最高速度は時速350キロ、0-100キロ加速は3.6秒、と現在”世界で最も速いSUV”としての登場です。
※ランボルギーニ・ジャパンのサイトでも情報公開済
コンセプトモデルから5年を経ての登場
ランボルギーニは「デザイン、パフォーマンス、ドライビングダイナミクス、ドライビングエモーション」という同社のDNAを体現したスーパーSUVだとしており、「最新の」ランボルギーニらしく4輪操舵も装備。
ウルスのスペックは下記の通りとなっています。
車体重量:2200kg
エンジン:4リッターV8ツインターボ
出力:650馬力
トランスミッション:8AT
駆動方式:4WD(アクティブトルクベクタリング)
最高速度:時速305キロ
0-100km/h加速:3.6秒
乗車定員:5名
なおウルス発表までの経緯は下記の通り。
・生産のウワサが出るもなかなか決定せず
・その後生産を模索しアウディの工場で生産を計画
・それでも生産の決定が親会社のフォルクスワーゲン・アウディから降りず
・イタリア政府がイタリア国内での生産を条件に減税措置を提案→生産決定
・2017年12月4日に発表
スタイルは2012年発表の「ウルス・コンセプト」を踏襲したもので、低く構えたクーペスタイルが特徴。
変更点は前後パンパー、ヘッドライト、フロントフェンダー、テールパイプの処理、ドアミラー(コンセプトモデルはカメラ)、フェンダーアーチのクラディング形状程度で、かなり「コンセプトに忠実な市販モデル」といえます。
名称についてもコンセプトカーで採用された「ウルス」をそのまま用いており、これは自動車メーカー各社を見渡しても「珍しい」例で、当時から市販を前提に考えていたということも推測できます。
なお「ウルス」は欧州に生息していた「世界最大の野生牛」の名称であり、「牛」をエンブレムに採用するランボルギーニらしいネーミングですね。
かなり大きな車にはなりますが、ランボルギーニによると「最新のテクノロジーを採用し、都市部でも運転が容易で、長距離ドライブにおいても快適この上ない」。
さらには「公道だろうとサーキットだろうとオフロードだろうと」最高のパフォーマンスを発揮する、「ウルスには二面性がある」とし、オーナーの要望に応えて「エレガントにも、スポーティーにも」変化する、とのこと。※そのために「イエロー」「メタリックグレー」という、印象の全く異なるボディカラーを発表時に用意したのかもしれない
4リッターV8ツインターボエンジンはもちろんフロントに搭載されますが、スポーツカーらしく「低い位置に」搭載されたもの。
出力は650馬力、ウルスの巨体を難なく加速させ0-100キロ加速は3.6秒とガヤルドLP560-4と同じタイムを誇るのはまさに驚愕。
トランスミッションはトルコン式8ATとなり、アヴェンタドール、ウラカンとも異なるエンジン、トランスミッションを持つことに(低いギアはクロス、高いギアはオープンレシオ)。
なおアヴェンタドールはV12+IRS(シングルクラッチ)、ウラカンはV10+デュアルクラッチを持つのでそれぞれ異なり、ボディ骨格もアヴェンタドールはカーボン、ウラカンはアルミ+カーボンモノコック、ウルスはスチール製モノコック。
4WDシステムもウルス、ウラカン、アヴェンタドールではそれぞれ異なり、ランボルギーニはそれぞれのモデルに対して完全に独立したパーソナリティを与えているようですね。
4WDシステムはウラカンに採用される「ハルデックス5」とは異なり、、センターにトルセン式デフを持つもの。
これはオフローダーという性質を考慮したものと思われ、通常ではフロント:リヤで40:60、最大でフロントの70%、リヤに87%を配分できる、とのこと。
アクティブトルクベクタリングを採用することでヨーをコントロールし、ステアリング操作もより安易になり、かつ安全に走ることができる、と公表されています。
なお、「アクティブ」というからには「内輪にブレーキをかけて相対的に外輪のトルクを増加」させるのでなく「外輪により大きなトルクを配分する」タイプなのかもしれません(もちろん危険な状況ではブレーキも制御)。
ウルスには「リアホイールステアリング」が装備されますが、これはアヴェンタドールSでも装備されたデバイス。
ポルシェやフェラーリ、ルノーも採用に動いているもので、長いホイールベースを持つ車でも低速/高速ともに機敏な動きを実現することが可能に。
作動するのはすべての速度域においてであり、低い速度域では前輪と逆位相に、高い速度域では前輪と同位相に後輪が切れるのは他メーカーとおなじロジック(ドライブモードによって同位相と逆位相とを切り替える速度は異なる)。
なお切れ角は最大で3度ですが、これによって「ホイールベースが最大で60センチ短く/長くなったのと同じ効果が得られる」としています。
なおデザインについては「LM002を意識した」とのことで、たしかにフロントフェンダーのサイドに設けられたダクトは「それっぽい」印象があります。
加えて2/3はボディ、1/3はウインドウという「ランボルギーニのスーパースポーツモデルにおけるセオリー」を採用することでスポーティーなルックスを実現しているようですね。
そのほかにもミウラやカウンタック(ホイールアーチはガンディーニ風)など過去のモデルを意識したとも述べており、さらには現代のランボルギーニのデザイン的特徴でもある「ヘキサゴン(昔からランボルギーニに採用されるモチーフではあるが、最近は特にそれを強化)」、「Yシェイプ」もアヴェンタドールやウラカン以上に強調されることに。
横から見たラインはランボルギーニの言う「シングルライン・シルエット」、つまり一筆でスパっと描けるフロントからリアまでの流れを持っており、これも「紛れもないランボルギーニ」であることを強調する部分。
サイドのベルトラインは高く、後方に向けて「上がる」ことでウェッジシェイプを強調し、乗員にとっては「囲まれ感」を感じさせるものとなっています。
サスペンションは前後ともアルミ製のサブフレーム(部位によってはスチールとのハイブリッド)を持ち、ピボット・ベアリングを新設計するなど「ウルス専用」。
ショックアブソーバーは「エアサス」となっています。
エンジンマウントもシャシーに影響を与えないように開発され、これによってシャシーの強固さが感じられるフィーリングに仕上がっているようですね。
なおブレーキはカーボンセラミック・ディスクを採用しており、その巨体を減速させるに十分な容量を確保。
サスペンションもそうですが、このあたりはLM002で「重く、車高の高い車」を作ってきたランボルギーニの経験が生きているものと思われます。
ホイールはオプションで21インチから23インチまでを揃え、タイヤは「サマー、ウインター、オールシーズン、オールテレーン、スポーツ」と幅広く用意。
いずれもピレリとの共同開発で、ウルス専用、とのこと。
ウルスのインテリアを見てみよう
ドライビングモードは6種類、「STRADA/ストラーダ」「SPORT/スポーツ」「CORSA/コルサ」「SABBIA/サッビア」「TERRA/テッラ」「NEVE/ネヴェ」。
これをコントロールするのは「太鼓=タンブーロ」をイメージした形状を持つドライブモードセレクター”アニマ”ですが、「アニマ=ANIMA」とは「Adaptive Network Intelligent Management=アダプティブ・インテリジェント・マネージメント」の略で、ステアリングホイールの重さ(切れ角)、アクセル操作に対するレスポンス、サスペンション、4WDシステムのトルク配分、エキゾーストなどを統合して変化させるもの。
なお、このドライブモードの設定による変化はかなり大きいとしており、たとえば「ストラーダ」では極端に快適に、「コルサ」ではスーパースポーツ並みのドライビングダイナミクスを実現するとのことですが、これはサスペンションの硬さだけではなく、車高やロールアングルのコントロールを行う「エレクトロメカニカル・アクティブ・ロール・スタビライゼーション(ランボルギーニには初採用)」の影響も大きいようです。
なおランボルギーにはウルスについて「ラグジュアリー」という表現を使用しており、そのために内装もやはりラグジュアリー。
しかし「二面性を持つ」とも語る通り、スポーティーさと高級さとが同居する雰囲気であり、さらにはオプションでそれぞれの方向を加速させることもできるようですね。
ディスプレイはウラカンと同じ12.3インチのTFT液晶で「アニメーションによるプレゼン機能」つき。
いわゆるウエルカムシークエンスと言えそうですが、これも最近多くのメーカーがこだわるところ。
シートはウルス専用でシートヒーター内蔵、12WAY電動調節機能付き(オプションで18WAY、シートベンチレーションやマッサージ機能も選択可能)。
基本となるレザーのカラーは「Nero Ade」とGrigio Octans」、ほかにも5種のオプションカラーを用意(ランボルギーニのカスタマイゼーション・プログラム、”アドペルソナム”では無限に近い仕様変更が可能)。
テーマは「スポーツ」「エレガント」という二つの基本選択肢があり、シートベルトやステッチももちろん選ぶことが出来るので、かなり幅広い選択肢が存在すると言えそうです。
トリムはピアノブラックもしくはブラッシュドアルミがスタンダード、オプションではウッドやカーボンも選べる模様。
その他コネクティビティ、オーディオも充実し、オーディオについては4チャンネル8スピーカーが標準装備され、バング&オルフセンの21スピーカーシステム+3Dサウンドシステムもオプションで用意。
加えてドライバー・アシストも充実し、「レベル2」を実装。
ハイビームアシスト、前後パーキングセンサー、クルーズコントロールが標準装備となり、衝突回避システムなどはオプション扱い。
リアバンパーの下に足を入れると自動でテールゲートが開くという「他社でおなじみ」の機能も装備されています。
全体的に見ると、ポルシェ、アウディ、フォルクスワーゲン、ベントレーといったブランドを有するグループに属するということもあり、非常にコストパフォーマンスの高い車だと言えそう。
ランボルギーニのデザイン、走行性能を持ち、「世界最速のSUV」である割にはベントレー・ベンテイガより安く、しかもポルシェ・カイエンで培ったであろうオフローダー向けの車両制御システム、アウディの先進性やコネクティビティ、ベントレーの高級さなど「いいとこどり」を実現させたモデルだと言え、これまで二台ランボルギーニを乗り継いだ身からすると「こんなに安くていいのか・・・」という印象もあるほどの価格設、定かつ魅力の高い車。
ランボルギーニがSUV?
現在のランボルギーニは「アヴェンタドール」「ウラカン」というラインアップとなっており、その前は「ムルシエラゴ」と「ガヤルド」。
要は最近のところ車高の低いミドシップスーパースポーツしか作っておらず、そのためランボルギーニ=スーパーカーメーカー、という印象が強いのもたしか。
ただ、ランボルギーニは以前に「LM002」なるオフローダーを発売しており、これは「世界で最初の高級SUV」と言われる車。
その歴史は1977年の「ランボルギーニ・チーター」まで遡ることができますが、これはアメリカの政府関連機関、MTI(Mobility Technology International)から軍用車としての開発依頼を受けたのがはじまり。
ただし他競合に破れて正式採用とはならず(HAMVEEにその座を奪われたと言われる)、ランボルギーニはこのチーター(LM001)開発にかけた費用の「モト」をとるべく市販化を画策。※LM=Lamborghini Militalyの意味で、名称からもルーツが伺える
そうやって1986年に発売されたのが「LM002」となっています(ウルス・コンセプトの右横にあるゴールドの車がLM002)。

urus
なお、LM002はあの「カウンタック」のV12エンジンを積むという、文字通りの「スーパーSUV」であり、とにかくいろいろな意味で「ぶっ飛んだ」車としても有名。
そういった意味では「ランボルギーニがSUV」というのは、過去の歴史を紐解いた場合「当然の帰結」とも言えるもので、ウルスはそのLM002の直系だとも言える車です。
フェラーリやマクラーレンは「レース」をバックボーンに持ちますが、ランボルギーニのスタートはレースではなく「GTカー」であり、そのため過去には「4座スポーツ(さすがに4ドアではありませんが)」も存在。
これまでもそういった4座やSUV含めて様々な車が存在し、よってランボルギーニはフェラーリやマクラーレンに比べると「スーパースポーツ以外のカテゴリへと展開するのに、過去のヘリテージを利用できる」という点で大きく異る、と言えます。
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