
| アヴェンタドール後継のためにV12エンジンを新設計するのであれば、そのコストをどうにか吸収しなくてはならない |
もしかすると「欧州では登録できなくても、他の国では合法に登録できる」ということも考慮?
さて、ランボルギーニは2024年までに「アヴェンタドール後継」「ウラカン後継」「ウルス」をハイブリッド化し、その後にブランニューモデルとしてピュアエレクトリックモデルを追加するとしていますが、これはつまり「V12エンジン、V10エンジン単体のみを動力源とするスーパーカーの終焉」を意味しています。
なお、ランボルギーニは「V12エンジンはブランドのDNA」としており、ハイブリッドとV12エンジンとを組み合わせて存続させる移行を持っているものの、V10エンジンについては「V6へと置き換えられる」可能性も示唆しており、今後のランボルギーニにおけるパワートレーンは大きく変化してゆくことになりそうですね。
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サーキット走行専用としてV12エンジンのみで走るモデルも存続?
ただし今回AutocarがランボルギーニCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏へとインタビューを行い、その中で「(ハイブリッドではない)V12モデルを追加する計画があるか」という質問を行っており、それに対してステファン・ヴィンケルマン氏からは明確に「イエス」という答えはなかったものの、「サーキット走行限定という用途にて、少量生産のV12モデルを追加する可能性」について触れた模様。
「サーキット走行限定」というのは、もちろん「公道以外では排ガスなどの規制を受けない」ためであり、公道登録不可という免罪符をもって「ノンハイブリッド」V12モデルを存続させるのかもしれません。
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なお、アストンマーティンも同様の意向を示していて、今後は強力にエレクトリック化を進め、2030年以降のラインアップはすべて電動化されることになり、およそ半数強がピュアエレクトリック、残りがPHEVもしくはハイブリッドという構成比を想定しているそうですが、全生産台数の5%はガソリンエンジンのみで走るクルマになるといい、ただしこれについては「ロードゴーイングモデルではない」、つまりサーキット走行専用モデルになる、とのこと。

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そしてランボルギーニはこれと同じ手法を採用する可能性があるとも考えられますが、サーキット走行専用モデルの販売はかなりハードルの高いビジネスで、というのも「その購入代金に加え保管場所を確保でき、そもそもサーキットを走りたいと思う人、サーキットを走る時間がある人」という条件をクリアする必要があるため。
もちろんこういった人々は少なからず存在するものの、「限られた一部の人」であることにはかわりなく、さらには「顧客層が頻繁に入れ替わる」ことがないとも考えられるので、最初の頃は良くとも、モデルを追加してゆくに従い「(購入するのは同じ人ばかりであるため)売れなくなる」ものと思われます。
一部の国では合法的に登録が可能?
となると考えられるのが、これら「ノンハイブリッド」V12モデルについて、名目上は「サーキット走行専用」ではあるものの、まだガソリン車の販売を禁止していなかったり、規制がゆるい国では登録できる仕様にするんじゃないかということ。
そうすれば販売台数も稼ぐことができ、ランボルギーニとしては「新設計」することになるV12エンジンの開発費をより早く吸収できることにはなりそうです。
ただ、そうなると「サーキット走行時」のパフォーマンスを妥協することになるのは間違いなく、「あっち立てればこっち立たず」的な状況に頭を悩ませているのかもしれません。
いずれにせよ、これほどまでに経営判断が会社の行方を左右する時代というのはほかになく、各自動車メーカーのトップについて、重要な、そして難しい判断を迫られる時期が到来したということになりますね。

参照:Autocar